「はみだし者が孤独を抱えながら戦う」空条承太郎のモデルはあの名優 『荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟』

「はみだし者が孤独を抱えながら戦う」空条承太郎のモデルはあの名優 『荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟』
『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』

1986年から連載が始まった『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ。現在Netflixでは第6部となる『ストーンオーシャン』のアニメ版が独占配信されるなど、いまでもその人気は衰えをみせない。

シリーズの作者である荒木飛呂彦氏は映画愛好家でもあり、自身の映画愛と作品の面白さのカギについて綴った著書『荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟』(集英社)を2013年に上梓した。

荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟 (集英社新書)

荒木飛呂彦×イーストウッド対談

全七章の章仕立てで進む同著だが「イーストウッドはジャンルだ」と、まるまる一章をかけて作品と人物の魅力について語ったのが、映画俳優で監督としても活躍するクリント・イーストウッドだ。

荒木氏は2012年9月に雑誌の企画でイーストウッドと対談。同著では「とても感慨深い体験だった」と振り返っており、自身の作品に多大な影響を与えたことを明かしている。

初期のイーストウッドといえば『荒野の用心棒』といったマカロニ・ウエスタンの作品が有名だが、当時監督のセルジオ・レオーネから「演技したり、余計なことをしたりするな。立っているだけでいいんだ」と言われ、それが自身のキャラクターを確立していったという。

荒木氏は「その遠くを見て荒野に黙って立っているイメージは、はっきりと空条承太郎に投影されました。承太郎もあまりアクションをしないし、言葉少なにスタープラチナを繰りだすのみ。イーストウッドのように立っているだけで絵になることを目指したキャラクターなんです」と、第3部『スターダストクルセイダース』の主人公、空条承太郎のモデルがイーストウッドであることを告白している。

年を取ったらこういう人物になりたい

また、荒木氏はイーストウッドの作品には「社会からはみだす男の美学」があると解説しており「はみだし者が孤独を抱えながら戦う」というのは『ジョジョ』シリーズ全体を通じた要素になっているそう。荒木氏の作品に、イーストウッドがどれだけ大きな影響を与えたのかをうかがい知れる。

イーストウッドとの対談を通じ、恰好よさにほれぼれしたという荒木氏は「年を取ったらこういう人物になりたいと感じずにはいられませんでした。思わず神格化しそうになった僕は、あの日、現実の中にイーストウッドという神話を見たのかもしれません」と、この章を結んでいる。

同著では数々のイーストウッド関連作について、荒木氏独自の視点で解説をしている。興味のある方はぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。

Netflixアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』独占配信中

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