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米アカデミー映画博物館で「映画の物語」を体験したい!! ギレルモ・デル・トロ、スパイク・リーが博物館の魅力を語る

米アカデミー映画博物館で「映画の物語」を体験したい!! ギレルモ・デル・トロ、スパイク・リーが博物館の魅力を語る
アカデミー映画博物館(Academy Museum of Motion Pictures)、外観
写真:ジョシュ・ホワイト(Josh White)、JW Pictures/©Academy Museum Foundation

米国の現地時間2021年9月30日(木)にグランドオープンするアカデミー映画博物館。映画製作にまつわる芸術、科学、そしてアーティストたちに捧げられたアメリカ最大の施設となる同館内の展示やプログラムの詳細が明らかになった。

アカデミー映画博物館、断面図
©Renzo Piano Building Workshop/©Academy Museum Foundation

アカデミー映画博物館の展示体験「映画の物語」

ロサンゼルスのアカデミー映画博物館に設置された「ブルース・ザ・シャーク(Bruce the Shark)」インスタレーション。©Academy Museum Foundation

アカデミー映画博物館の入口では、『ジョーズ』(1975年)の巨大サメロボット「ブルース」が観客を出迎える。サバンビルのグランド・ロビーにある、入場無料のスピルバーグ・ファミリー・ギャラリーから来場者の展示体験は始まる。ガラスで覆われ、見上げるようなギャラリーは、広さ2900平方メートルという3階までにわたる常設展示「映画の物語」への入口となっており、来館者は映画の父・リュミエール兄弟から現在に至る、映画の歴史の変遷をスクリーンで見ることができる。

Introduction to Stories of Cinema in the Spielberg Family Gallery, located in the Academy Museum’s Grand Lobby, ©Academy Museum Foundation/Image by WHY Architectur

2階、3階へと続く、映画の複雑かつ多様な歴史を紹介する「映画の物語」の各ギャラリーでは、映画製作にまつわる技術と科学のすべてが語られる。映画と同じように、展示も定期的に変わり、さまざまな映画やアーティスト、時代、ジャンルなどにスポットが当てられる。

映画の発展を総括するただ一つの物語など存在しないという観点から、この展示では、さまざまな視点による、映画製作に関する複数の物語を取り上げる。

Gallery of Oscar statuettes in Stories of Cinema, ©Academy Museum Foundation/Image by WHY Architecture

「映画の物語」には、監督スパイク・リーペドロ・アルモドバル、作曲家ヒドゥル・グドナドッティル、そして音楽デザイナーのベン・バートらアカデミー賞受賞者との協力でデザインされたギャラリーがある。見学を通じて、非凡な映像アーティストたちの作品への熱意、影響についての理解を深めることができる。

スパイク・リー監督は「僕のオフィスに来る人の多くは、オフィスの壁を見て言うのです、“ここは博物館のようですね”と。今、それが現実の博物館に展示されることに、喜びでいっぱいです。 僕のコレクションは、僕の愛、影響を受けたものを全世界に見てもらうためのものです。

博物館に見に来るのを、若者達、特に公立校の生徒達の必修授業にしてほしいと思っています。博物館の前に黄色いスクールバスが駐車するのを見たいのです。

若く美しい精神が映画に触れ、未知のものに出会い、彼らの中で何か起こるかもしれません。そして言うのです。“ねえ、映画監督になりたい!”とね。」とコメントを発表した。

Pedro Almodóvar’s Installation gallery in Stories of Cinema, ©Academy Museum Foundation/Image by WHY Architecture

3階に進むと、ローレックス・ギャラリーへと続く。ここでは世界的映像アーティストが、企画ごとに共同でキュレーションを行う。オープニングのインスタレーションは、映画監督のペドロ・アルモドバルが担当。ギャラリーで観客はペドロの視覚と音の世界に包まれ、彼の影響力、美学、そして作品に深く浸ることができる。

ペドロのインスタレーションを出ると、4つのギャラリーで体験する「世界とキャラクターの創造」へとつながる。いかに映画で一つの世界観・概念を作り上げていくかについて、監督のギレルモ・デル・トロは、次のように説明している。

「映画制作者として、世界観を創出するため、すべてが一貫して存在することを求めます。生き物やセット、衣装、そして照明が異なる波長であってほしくありません。

映画がこの世に誕生した同時期に、リュミエール兄弟が労働者が工場から出る様子や、電車が駅に到着する記録映像をつくり、ほぼ同時期に全く違う伝統がメリエスによって生み出されました。それは、想像力の賜物です。

私たちは、この宇宙の中で自分の居場所を理解するために、アートの中に、日常生活を超えるなにかを必要とします。“宇宙での存在意義”という壮大な疑問を理解するために、天使や悪魔、そして空想の生き物を必要とします。

『両棲人間』(1961年)を展示に含め、モンスター達への愛の物語を表すというアイデアは、私自身が子供の頃にグアダラハラで『大アマゾンの半魚人』(1954年)を観て心がとらえられたという話を、どのように表現するか考えた時から始まりました。原点となるハリウッドまで遡り、モンスターの視点から物語を伝えているわけです。

博物館が、映画制作に関する話やそれに費やされる技術などの話を伝えることは、そこに費やされる職人技のレベルを、多くの人が瞬時に理解できるという点で重要だと思います。私たちは小道具、セット、衣装、特殊効果の制作を通して都市を作り、家を作り、舞踏場を作り、世界全体を作り出すのです。」と話した。

また、「映画の物語」では、『オズの魔法使い』(1939年)に焦点を当てたギャラリーを展示。名作の実現に向けたさまざまな分野の舞台裏について全てを知ることができる。

そこからつながるギャラリーでは、キャストと演技、衣装やヘアメイク、メイクを通じた役柄の創造、音楽デザインのさまざまな要素、物語の作成、そして撮影の世界を掘り下げていく。

「宮崎駿」展

宮崎駿(撮影:Nicolas Guerin)

博物館の4階にあるマリリン・アンド・ジェフリー ・カッツェンバーグ・ギャラリーは、オープニング記念企画となる「宮崎駿」展が行なわれる。300以上の展示品を通じて、 『となりのトトロ』(1988年)やアカデミー賞受賞作品『千と千尋の神隠し』(2001年)を含む宮崎駿のアニメ作品の世界を堪能できる。

日本国外で初めて公開されるものを含む、オリジナルのイメージボード、キャラクター・デザイン、絵コンテ 、レイアウト、背景画、ポスター、セル画などのダイナミックな展示、またワンシーンの大規模上映や没入型環境を通じて、60年に及ぶ宮崎監督のキャリアについて知ることができる。

『風の谷のナウシカ』(1984)イメージボー
ド 宮崎駿
© 1984 Studio Ghibli・H

『ハウルの動く城』(2004)美術ボード
© 2004 Studio Ghibli・NDDMT

「宮崎駿」展の後、「再生:黒人のシネマ 1898~1971」が展示される。ワシントンD.C.にある国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館のキュレーターと共同で制作した展覧会で、黒人アーティストが映画業界にもたらした功績について探求する初めての試みとなる。

2021年4月からバーチャル・プログラムを予定

2021年9月のグランドオープンに向けて、同博物館は、2021年4月からバーチャル・プログラムを計画。スパイク・リー監督によるバーチャル対談や、映画産業のリーダーたちを招いたパネル・ディスカッション、ギャラリー・ツアー、映画上映、ワークショップ、家族連れや学生向けの教育プログラムなどを予定している。日時は未定のものが多く、詳細は公式サイトで確認したい。

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