「シルヴェスター・スタローン VS リチャード・ギア」の舞台裏
言わずと知れたハリウッドを代表する二大スター、シルヴェスター・スタローン(80)とリチャード・ギア(77)。俳優としての接点は薄いように思える両者の間に、じつは半世紀もの長きにわたる“深い溝”があることはあまり知られていないだろう。
その原点となる出来事が、このたび本人の口から生々しく語られることとなった。9月29日に出版されたスタローンの新たな回顧録「The Steps」では、1974年の映画『ブルックリンの青春』の現場で勃発した流血寸前のトラブルの詳細が明かされている。
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「なあ監督、あいつの歯をへし折ってもいいか?(怒)」
ことの発端は、同作の初期の撮影セットにさかのぼる。ロバート・デ・ニーロらとともにキャスティングされていたスタローンだが、ギアとの相性は初めから最悪だった。即興演技中、ギアはスタローンのTシャツを乱暴に掴み、その爪をスタローンの肌に深く食い込ませたという。
「やめろ」と警告したにもかかわらず、2テイク目でもギアは同じ行為を繰り返した。スタローンは著書のなかで、「彼にその気はなかったのだろうが、私の内なる感情の鍋をかき混ぜ始めていた」と静かなブチギレ具合を回顧。いわく、怒りが頂点に達したスタローンは、共同監督のスティーヴン・ヴェロナに向かってこう直訴したという。
「現実世界でこんなことをされたらやるようなリアクションを、ここでアドリブでやってもいいか?」
不穏な問いかけにヴェロナ監督が「どうするつもりだ?」と問うと、スタローンは「どうするって? あいつの歯をへし折ってやるんだよ」とオラオラ全開で回答。当然ながら監督からは「やめてくれ!」と制止されたという。
「暴力沙汰にはしたくないんだ」「もう遅えよ…」
ギアの降板を決定的にした“チキン事件”とは
そんな二人の間の張り詰めた緊張感は、数日後のコニーアイランドでのリハーサル中に、ついに決壊する。
凍えるような寒さをしのぐため、キャストたちは車の中で昼食をとっていた。スタローンがホットドッグを持って車に乗り込んだ直後、反対側のドアからギアが乗り込んできた。しかも彼の手には、アルミホイルに包まれた「マスタードまみれのギトギトのチキン」が握られていた。
それを見て「俺に垂れるぞ」と警告するスタローンに対し、ギアは「気にするな」と一蹴。しかしその直後、チキンの脂がスタローンの脚にボタボタとこぼれ落ちたのだ。
堪忍袋の緒が切れたスタローンは、ギアの胸ぐらめがけて強烈な肘打ちを食らわすと、車を降りて彼の側に回り込み、後部座席から力ずくで引きずり出した。
ギアは細い声で「おい、暴力沙汰にはしたくないんだ」と弁明するも、スタローンは「もう遅えよ……」と冷たく言い放ったという。
結局、一触即発の二人の間に監督が割って入ったことで本格的な乱闘は免れたものの、両者が共演不可能であることは誰の目にも明らかだった。「どちらかが去らねばならない」という状況のなか、監督はスタローンを残すことを選び、ギアを解雇することになったようだ。
なお、その後デ・ニーロも別作品のために降板し、二人の代役としてペリー・キングとヘンリー・ウィンクラーがキャストに加わっている。
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ダイアナ妃を巡るバトルと現在も続く不仲
スタローンによれば、ギアはクビにされたことで彼に激しい恨みを抱き、現在に至るまで彼を毛嫌いしているという。2006年のインタビューでスタローンが語ったところでは、ギアにまつわる下品な「スナネズミの都市伝説」を世間に流した張本人がスタローンだと思い込んでいる節すらあるそうだ。
二人の因縁はこれだけにとどまらない。エルトン・ジョンが2019年に発表した自伝によれば、1990年代に開かれたディナーパーティーで、ダイアナ妃と親しげに話すギアにスタローンが激怒(※自分もナンパしようとしていたらしい)。廊下で今にも殴り合いの喧嘩を始める寸前だったところを、エルトンの現夫デヴィッド・ファーニッシュに目撃されている。
ちょっとした演技のすれ違いから始まり、ダイアナ妃を巡る一触即発の事態にまで発展したハリウッドスター同士の半世紀に及ぶ確執。プレイボーイなイメージのあるギアだけに多方面で恨まれていそうではあるが、一方的にボロカス言われているのは少々気の毒ではある。
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