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「悪魔の手なんか存在しない、これはあんたの手なの」少女の“左手”が握る家族の絆、そして幸せの行方とは?『左利きの少女』本編映像

「悪魔の手なんか存在しない、これはあんたの手なの」少女の“左手”が握る家族の絆、そして幸せの行方とは?『左利きの少女』本編映像
『左利きの少女』©2025 LEFT-HANDED GIRL FILM PRODUCTION COMPANY LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

昨年のカンヌ国際映画祭に正式出品され、その年の「アカデミー賞」台湾代表作品に選出、さらに、同賞の国際長編映画部門にショートリスト入りを果たした『左利きの少女』が全国公開中。このたび、日本での大ヒットを記念して、主人公・イージンが悪魔の手と祖父から言われた“左手”にまつわる貴重な本編映像が解禁となった。

ツォウ・シーチン、初単独監督

「第77回カンヌ国際映画祭」でパルム・ドールに輝き、米・アカデミー賞作品賞など5部門を受賞した『ANORA アノーラ』(24)でインディーズ映画界を熱狂させ、時代の寵児となったショーン・ベイカー。その彼と大学生時代に出会い、『テイクアウト』(04)で共同監督デビュー、以降はプロデューサーとして『タンジェリン』(15)、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(17)、『レッド・ロケット』(21)などで彼を支えてきたのが、本作で満を持して単独監督デビューを飾った台湾出身のツォウ・シーチンだ。「第98回アカデミー賞」国際長編映画賞 台湾代表に選出され、同賞の最終候補15作品にリストイン、「第26回東京フィルメックス」では観客賞を、「第20回ローマ国際映画祭」では最高賞を受賞するなど、広く支持を集めた。

ツォウ監督の出身地である台湾・台北に実在する「通化街夜市(臨江街観光夜市)」でロケーションが敢行された本作は、5歳の左利きの主人公・イージンが祖父から“左づかいは悪魔”と叱られたことに端を発している。実はツォウ監督も“元”左利きの少女で、祖父から右手を使うように助言を受けた実体験を基にしている。

賑やかな喧騒と色彩豊かな都会の片隅に暮らすシングル・マザーの母親、姉、そしてイージンの3人。厳しい生活のなか、困難を乗り越えようと奮闘する姿を、幼いイージンの目線を中心に据えてエネルギッシュかつ繊細に活写した本作は、人間の清濁を飲み込んだ家族ドラマとして共感を呼び、思いもよらないサプライズと感動をもたらす。ベイカーに強く勧めたことで『タンジェリン』が生まれたように、ツォウ監督はiPhoneを駆使して街の奥へと自在に入り込み、そこで生きる人々の日常を立ち上がらせた。古いしきたり、世代間のギャップ、“左利き”をモチーフとした制約……。パーソナルな物語に文化的・社会的背景を織り交ぜながら、自分らしさを肯定する、温もりの感じられる作品に昇華させている。

本編映像では、祖父から「左手を使うな、左手は悪魔の手だ!」と強く叱責されたイージンが、その悪魔の左手で盗みを繰り返していたことが発覚、店主から姉のイーアンに一報が入るという何ともショッキングなシーンから始まる。イージンの子供ながらに母親や家族を想う気持ちが盗みにまで膨らんでしまったという点が観る者の心を締め付ける。

妹のイージンに「悪魔の手」のいきさつを聞いたイーアンは祖父母の家へと向かう。「左手は悪魔の手だろ。使わないようにちゃんとしつけろ!」と言い放つ祖父に対して、「左利きは普通。悪魔の手なんかないって言って」と強く求めるイーアン。そしてイージンに「悪魔の手なんか存在しない、これはあんたの手なの」と言って聞かせる場面は、この物語の本質に迫るシーンだ。

ツォウ・シーチン監督の実体験から着想を得たとされる本作だが、古いしきたりに翻弄される現代人の側に立って物語を構成している。「無意識の習慣の中には間違っていることも多い。今回は、そうした偏りが今の時代にはそぐわなくなってきていることを描きたかった。今は誰しもが働きに出て、女性も、母親たちもお金を稼ぐ。自分自身の伝統を築いていくべきだと思う」とシーチン監督が語るように、他者の痛みを理解し、多様性や時代の変化に対応することが重要なのだと気付かせてくれる重要な一場面。イージンの思わぬ行動に我々大人たちもハッとさせられたことだろう。忙しない日々の暮らしの中で、子供たちから与えられる大切な気づき。5歳の少女と彼女を取り巻く多世代家族の面々にはどんな結末が待ち受けるのだろうか。全編を通して監督が描きたかった要素が、これらシーンに凝縮されていると言っても過言ではない、貴重な本編映像だ。

『左利きの少女』©2025 LEFT-HANDED GIRL FILM PRODUCTION COMPANY LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

『左利きの少女』は絶賛上映中

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