今年の夏はエドワード・ヤン監督作を劇場で観る!
劇場初公開『海辺の一日』&代表作『恐怖分子』
エドワード・ヤン監督の長編第3作『恐怖分子』(1986年)が2026年8月21日よりリバイバル公開中。監督デビュー作である『海辺の一日』が劇場初公開された今夏、多くのアジア映画ファンが再びスクリーンに引き寄せられている。
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)らと共に「台湾ニューシネマ」を牽引し、2007年に59歳の若さでこの世を去るまで、映画史に燦然と輝く傑作を遺したエドワード・ヤン。彼がレンズ越しに見つめ続けたのは、急速に近代化する都市・台北と、そこで生きる人々の孤独、すれ違い、そして一筋の希望だった。
日本では1996年に劇場公開された『恐怖分子』は、80年代半ばの台北を舞台にした群像劇。少女のいたずら電話をきっかけに、医師の夫と小説家の妻、カメラ好きの青年、不良少女など、見知らぬ人々の日常が不条理に交錯し、やがて予想もしない悲劇へと転がっていく様を冷徹かつ鮮烈に描き出している。
『恐怖分子』は2026年8月21日(金)よりBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国公開中
公式サイト
エドワード・ヤン作品を今すぐ配信で観る!
40年を経ても全く色褪せない『恐怖分子』の劇場体験を入り口として、エドワード・ヤンのキャリアを彩る、あるいは彼と深く結びついた他の傑作にも触れてみてはいかがだろう。ということで、今すぐ各種配信サービスで鑑賞できる、『恐怖分子』の前後に鑑賞をおすすめしたい5作品を紹介する。
🚴映画史に輝く金字塔『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991年)
もし『恐怖分子』のほかにエドワード・ヤンの代表作を挙げるとしたら、それは間違いなく本作だろう。1960年代初頭の台北で実際に起きた未成年による殺人事件をモチーフに、当時の複雑な社会情勢や鬱屈した青春の痛みを、およそ4時間という長尺で描ききった大傑作だ。
闇と光を巧みに操る圧倒的な映像美、そして細部まで徹底的に作り込まれた世界観。一度足を踏み入れたら抜け出せなくなるほどの重厚な映画体験が待ち受けている。
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💞変容する都市の人間模様『エドワード・ヤンの恋愛時代』(1994年)
『牯嶺街少年殺人事件』から一転、90年代の経済成長に沸く台北を舞台に、若きエリート層の恋愛や人間関係をコミカルかつシニカルに描いた都市型群像劇。
お金や地位、愛や友情への価値観が目まぐるしく変わる中で、「本当に信じられるものは何か」を手探りする若者たちの姿は、現代の私たちが抱える空虚さと見事にリンクする。テンポの良い会話劇と、ヤン監督ならではの洗練された画面構成が魅力だ。
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👥孤独な魂たちの共鳴『カップルズ』(1996年)
『恐怖分子』から10年。再び現代の台北にカメラを向け、複数の若者たちの交錯する運命を描き出した作品。ヤクザ、起業家、外国人など、さらに多様化した都市のノイズの中で、もがきながら生きる若者たちの孤独や怒り、そして焦燥感がスクリーンから溢れ出す。
『恐怖分子』の冷徹なスリル~サスペンスから一歩踏み込み、不器用ながらも必死に生きようとする登場人物たちに向けられた、ヤン監督の温かな眼差しや希望の兆しを感じ取ることができる一編。
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📸人生をまるごと抱きしめる遺作『ヤンヤン 夏の想い出』(2000年)
カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、ヤン監督の集大成にして長編遺作となった珠玉の名作。台北に住む中流家庭の一家を軸に、結婚式から始まり葬式で終わるまでの日々の悲喜こもごもを、8歳の少年・ヤンヤンの視点を交えながら静かに見つめる。
「後ろ姿は見えないから」とカメラで人々の後ろ姿ばかりを撮るヤンヤン。生と死、老いと青春、後悔と再生——人生のすべてを肯定するような優しさと包容力に満ちたこの作品は、観る者の心に生涯消えない温かい記憶を残してくれる。台北と東京などが舞台となり、イッセー尾形らも出演。
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🐦️台湾ニューシネマの熱き連帯『冬冬の夏休み』(1984年)
本作の監督は盟友の侯孝賢だが、エドワード・ヤンが音楽を担当し、さらには俳優としても出演。少年・冬冬とその妹が、田舎の祖父の家で過ごすひと夏をノスタルジックに描いた名作だ。
当時の台湾ニューシネマの監督たちは、互いの作品にスタッフやキャストとして参加し合い、熱い連帯感の中で映画作りをしていた。ヤン監督の洗練された都会的な眼差しとは対照的な、侯監督のおおらかで牧歌的な世界観に、ヤンがどう彩りを添えているのか。台湾映画の幸福な黎明期を感じられる貴重な一作。
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