津田寛治オフィシャルインタビュー解禁 音楽ファンとミニシアターファンに贈る『ボールド アズ、君。』

津田寛治オフィシャルインタビュー解禁 音楽ファンとミニシアターファンに贈る『ボールド アズ、君。』
『ボールド アズ、君。』©コココロ制作/Cinemago
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・井澤の、「(珠は)ずっと本気だった」という台詞が2回も出てきて、井澤は「今はたまたま皆の目に見えるやり方をしているだけで」と説明していますが、津田さんは、日の目を見ない裏の努力などについて思うことはありますか?

「珠はずっと本気だった」という時の珠って、人に隠しているということもなければ、見せているということもないと思うんです。たまたま見えたというだけで。努力しているところは隠す必要も見せる必要もないと思って普通にやっていればいいことだと持って、あまり意識したことはありません。

・井澤の、「しょうがないなんて、なんでそんなふうに思ったんだっけ?」というモノローグのシーンは、他のシーンとトーンが違って、重みがありましたが、どのような思いで演じましたか?

客商売なので、お客さんが入ってなんぼというところがあって。その中で自分の好きなことをやるというのは本当に大変だと思うんです。こうだと思った映画をかけ続けるという映画館の支配人の重圧って、僕らの世界とは比べ物にならないものがあると思います。誰からも注目を浴びないことがあっても、心折れずに自分のラインアップを守っていくんじゃないですかね。珠ちゃんに「もっと人気のある映画をかければいいじゃん」と言われて、「そんなことしたらみんな来なくなっちゃうでしょ」と言うやりとりがありますが、お客さんと自分の感性を信じて、そういった映画をかけ続けることの大変さが身に沁みれば染みるほど、支配人のセリフや決断の勇気が伝わってきます。

・完成した映画をご覧になっていかがでしたか?

出てくるミュージシャンがみんなキャラが立っていて、そういう方々のパワーは凄いと思ったし、岡本監督の突き詰めていく世界というのが長編映画になった分、増幅されている感じがありました。監督の中でいろんなものが見えているんだなと。たくさん観た岡本監督の短編を並べると、色々模索しているというのはわかるんだけれど、自分の芯がブレないのは、無意識に強烈な芯を持った方なんだろうなと思います。音楽に対する愛情がありながらも、ある特定の人に向けた映画ではないというのも凄いと思います。いろんな人が観て、ちゃんと心に響く映画になっているというのは、岡本監督が大好きなツールを使って、自分が一番大事にしているものを描いているからだと思います。

・本作の見どころはどこだと思いますか?

演奏シーンですよね。一番最初に演奏するところもめちゃくちゃかっこいいし、出演しているミュージシャンはやっぱり演奏しているところを撮ってほしいというかお客さんに観てほしいと思っていると思います。演奏シーンの力が強いのが、一番の見どころだと思います。

・読者にメッセージをお願いします。

本作の芯にあるものとして、音楽で人の心を動かしたいという思いが一つ大きくあるんです。役者の芝居やストーリーも人の気持ちを大きく動かしますけれど、監督はそれを使いながらも、最終的には音楽で人の気持ちが動いてほしいとも思われているんだなというのを映画を観て思いました。スマホとかで観ていると伝わらない部分もあると思うので、監督が伝えたい音というのを存分に味わうには、劇場で観るのが一番だと思います。ぜひ劇場で観てもらいたいです。

【あらすじ】

人付き合いが苦手な南條珠(なんじょう・たま/伊集院香織)は、小学生の頃からシネコンとは一線を画すこだわりのラインアップのミニシアターを自分の居場所としていて、支配人の井澤雄一郎(いさわ・ゆういちろう/津田寛治)を神様と呼んで慕っている。
そんな珠にとって、ロックバンド“翳(かげ)ラズ”のボーカル・瓶子結衣子(へいし・ゆいこ/後藤まりこ)はもう一人の自分を救ってくれた神様。中古ギターを入手して、スーパーギターバトルで優勝するほどの実力になるも、さらに上を目指して練習する日々。翳ラズの記事を読み、次の翳ラズのライブチケットは必ず入手すると決意を新たにする。
そんなある日、珠がバイトをする居酒屋に、たまたま瓶子結衣子がやってきて、珠がアップした“弾いてみた動画”を見ていたことが発覚。珠は「翳ラズと同じステージに立って直接お礼を言うこと」を目標に、さらに動画制作に精を出すが、行きつけのミニシアターが翳ラズのライブのタイミングで閉館するということを知り…

『ボールド アズ、君。』は3月29日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開

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