「タランティーノの登場は映画祭の事件」
オープニングを翌日に控えた13日午後14時15分(現地時間)から、ティエリー・フレモー総代表の記者会見(Meeting with the Press)が行われた。開幕前に映画祭側が記者会見を開くのは昨年に引き続き2度目。昨年、これまで正式上映の前に行われていたプレスのスクリーニングを、正式上映と同時か、その後に動かすというスケジュールの大改革を行ったため、その釈明のために開いたのがきっかけだ。なぜプレス・スクリーニングを後ろに動かしたかというと、正式上映の前に作品の情報が漏れるのを防ぐための、いわばネット対応(レッドカーペットでのセルフィーも禁止になった)。今年は情報解禁の時間も設定された。
-なぜタランティーノの映画がコンペに入ったのか?
「タランティーノの作品がカンヌに出品されることが重要。カンヌの歴史上、重要な人物であるし、映画祭の友人でもある。彼の登場は、ペドロ・アルモドバルやテレンス・マリック、ダルデンヌ兄弟同様、映画祭の事件である。」
-噂の芳しくないアラン・ドロンに名誉パルム・ドールを贈る理由は?
「名誉パルム・ドールはノーベル平和賞ではない。彼個人ではなく、俳優としての彼に名誉を与えるのだ。彼は矛盾が多い人物で、極右の党首との付き合いもあるが、赤狩りでハリウッドを追われたジョセフ・ロージーに『パリの灯は遠く』を撮るチャンスを与えてもいる。欠陥のない人間はいない。俳優としてのドロンは素晴らしい。」
ほか、“相変わらず女性監督が少ないのはなぜか?”などの質問に、フレモー総代表がさすがの弁舌で次々に答えていった。ヴェネツィア映画祭では最終日にディレクターとプレジデントの記者会見があったが、カンヌ映画祭では去年までなかった。
きっかけはともあれ、セレクションや映画祭の方針について直接質問をぶつけられるこんな機会をこの先も続けていってほしい。
文・写真:齋藤敦子(text&photo by Atsuko Saito)
カンヌ映画祭スペシャル2019
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2019年5月25日(土)カンヌ映画祭授賞式 日本独占生中継ほか、受賞作&関連作計6作品放送