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役所広司に世界が拍手!「カンヌ映画祭」の裏事情と最高賞監督の戦い 厳しい現実と希望の欠片

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ライター:#まつかわゆま
役所広司に世界が拍手!「カンヌ映画祭」の裏事情と最高賞監督の戦い 厳しい現実と希望の欠片
ジュード・ロウ 第76回カンヌ国際映画祭 撮影:まつかわゆま
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パルム・ドール受賞監督が文化軽視の仏大統領に反旗

そして今年、とうとうパルム受賞者が声を上げた。史上三人目の女性パルム・ドール監督ジュスティーヌ・トリエだ。

ジュスティーヌ・トリエはフランスの監督で、ドイツ人女優サンドラ・フラー(『トニ・エルドマン』)を主演に、夫殺しの容疑をかけられた作家の裁判を描く『アナトミー・オブ・ア・フォール』を出品した。プレゼンターのジェーン・フォンダからトロフィを受け取ったトリエは、共同脚本の夫アルチュール・アラリ(『ONODA 一万夜を越えて』監督)をはじめとするスタッフ・キャストに感謝をささげ、そのままマイクに向かってステイトメントを発表し始めた。

第76回カンヌ国際映画祭 撮影:まつかわゆま

簡単に説明すると、フランスの文化予算は「文化的例外」収益の高さで文化の価値を測らない、ということを基本にしてきた。それをマクロン大統領は収益重視にし、今までのようなマイノリティや女性・若者といった収益が読めない作り手の補助をカットしたのである。年金改革に反対する国民の声を無視し、今度は文化の作り手たちを無視するマクロンに対する批判をぶち上げたわけだ。

よくぞ言ってくれたと、会場は盛り上がり拍手やスタンディングオーベーションがおこり、受賞者の記者会見でもステイトメントへの支持を表明する記者もいた。文化大臣がすぐさま「あなただって補助金をもらっているのに失礼な」とツイートした(デ・ジャヴ感のある話だ)のに対して、「金をもらったら口をつぐめというのか」との反論が即炎上、ステイトメントへの共感も多く寄せられ、翌日のニュース・ショーなどでは討論会が行われていた。

政治的発言はタブーとする米アカデミー賞や日本の文化・芸能界とは大違い。クリエイターは政府に対して物申す存在であるべきだし、カンヌ映画祭は社会にコミットする映画祭なのだと世界に示す出来事となった。

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