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ただれたマスクが醸し出す殺人史! ついに完結『ハロウィン THE END』監督が語る「見えないもの」の恐ろしさ

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ライター:#市川夕太郎
ただれたマスクが醸し出す殺人史! ついに完結『ハロウィン THE END』監督が語る「見えないもの」の恐ろしさ
『ハロウィン THE END』©2022 UNIVERSAL STUDIOS
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「自由の象徴としてバイクが描かれるのは大好き」

―本作では街の除け者コーリー・カニンガムという青年が、古いKAWASAKIのバイクを手に入れて、束の間の自由を謳歌する場面があります。バイクが自由と破滅の象徴として念入りに描かれていて、同じバイク乗りとしてそのオールドスクールな姿勢に大変感動しました。それに劇中で、ジョン・ウー監督/ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の『ハード・ターゲット』(1993年)の映像が使われていますが、これもバイク・アクションが印象的な作品です。監督はバイクに何か特別な思い入れがあるんですか?

ありますね! ただ、若い頃は乗っていたんですけど、今は乗っていないんです……。

―それはなぜですか?

バイクに乗らなくなったのは……やっぱり僕も、バイクって自由だ! と思っているのはたしかなんですが、ヘルメットを被らなきゃいけないじゃないですか。それってちょっとどうなの? 本当に自由なのか? っていう(笑)。ただ、今おっしゃったように映画というものの中で、自由の象徴としてバイクが描かれるのは僕も大好きなんです。今作のバイクに関しては、トニー・ビル監督の『マイ・ボディガード』(1980年)にインスピレーション受けた……というか、ほとんどそのまんまです(笑)。

―青春映画の名作『マイ・ボディガード』には学校のいじめられっ子と、誰ともツルまない一匹狼が、ふたりでバイクの修理をしてギュッと距離が縮まる場面がありましたね。

今回、劇中ではちゃんとノーヘルで、それこそしっかり自由の象徴として表現したかったんですが、バイクに乗ってもらったコーリー・カニンガム役のローハン・キャンベルは、ほとんどバイクに乗った経験がなかったんです。なので撮影はけっこう苦労したんですけど、ちゃんと「自由」を感じてもらえたのなら嬉しいですね。

『ハロウィン THE END』©2022 UNIVERSAL STUDIOS

―監督の手がけてきた『ハロウィン』三部作は、毎度印象的な殺害シーンがありますが、本作ではマイケルを挑発しているラジオDJが殺される場面が最高でした。あそこでTHE CRAMPSの「I Was a Teenage Werewolf」という楽曲を使っていますよね。THE CRAMPSが大好きなので嬉しくなっちゃいましたが、曲名と同タイトルでティーンエイジャーが狼男になる映画『心霊移植人間』(1957年:原題『I WAS A TEENAGE WEREWOLF』)、またそれを元にしたとされるマイケル・J・フォックス主演の『ティーン・ウルフ』(1985年)もありますが、何か意味はあるのですか?

特に意味はないんです(笑)。ちなみに僕もTHE CRAMPSの大ファンで、今回映画で使われている楽曲は、全部自分が好きな曲で構成しようと思ったんです。あのDJ殺害のシーンに関しても、「好き」という以外に特に深い理由はなくて、合わせてみたらピッタリとハマっただけなんですよ。とてもゴアなシーンではあるけれど、あの楽曲に合わせることでユーモアも生まれて楽しいシーンになりましたね。

「見えるものより、見えないものが恐ろしい」

―あの、僕は監督の『スモーキング・ハイ』(2008年)の大ファンなんですが……。

ありがとう!

―『スモーキング・ハイ』のほか『ロード・オブ・クエスト ~ドラゴンとユニコーンの剣~』(2011年)などにも出演していて、『ハロウィン』三部作すべての脚本にも関わっているダニー・マクブライドさんとは、どこで出会って、どういったキッカケで映画の脚本まで一緒に書かれるようになったんですか?

彼とはノースカロライナ大学の芸術学部で一緒だったんですよ。学寮の2つ先の部屋がダニーで、コメディやホラーの感覚がめちゃくちゃ似ていて気が合ったんです。いま僕は自宅もオフィスもサウスカロライナにあるんですが、すぐ近くにダニーも住んでいて、今日もこれから一緒に牡蠣を採りにいくんですよ(笑)。

―ほんとに仲が良いんですね(笑)。

TVドラマはダニーが、映画の場合は僕がリーダーという感じで棲み分けして、いつも一緒に作っているんです。お互いが好きなものを共に掘り下げていっている、という感覚ですかね。ビジネス的にもパートナーであり、良き友人でもあるんですよ。

―そんな仲良しのダニー・マクブライドと監督は、『エクソシスト』のリブート版(2023年公開予定)でも脚本を一緒に書かれていますよね。『ハロウィン』三部作を手がけた経験は活かされましたか?

もちろんです。オリジナルの『ハロウィン』と『エクソシスト』は同じホラーとはいえまったく違うタイプのもので、当然リブート版に関しての僕らのアプローチも『ハロウィン』とは違いました。ただ、共通点があるとすれば、「見えるものより、見えないものが恐ろしい」ということなんです。映画的に簡単に言えば、照明の使い方ですね。恐ろしいものを、どの程度見せるか、見せないか。その塩梅は『ハロウィン』三部作でとても勉強になりました。

―そちらの公開も楽しみにしています! ありがとうございました!

取材・文:市川夕太郎

『ハロウィン THE END』は2023年4月14日(金)よりTOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開

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『ハロウィン THE END』

殺人鬼ブギーマンことマイケル・マイヤーズが再びハドンフィールドを恐怖に陥れた事件から4年が経ち、街は少しずつ平穏な日常を取り戻しつつあった。マイケルの凶刃から生き延びたローリー・ストロードは孫娘のアリソンと暮らしながら回顧録を執筆し、40年以上にわたりマイケルに囚われ続けた人生を解放しようとしていた。
しかし、暗い過去をもつ青年コーリーが、4年間、忽然と姿を消していたマイケルと遭遇したことをきっかけに、新たな恐怖が連鎖し始める。ついにローリーは、長年の因縁に決着をつけるべく、マイケルと最後の対峙を決意するー!!

映画史に恐怖を刻み続けた大ヒットホラーシリーズの完結作がついに、幕を開ける!!

監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
製作総指揮:ジョン・カーペンター ジェイミー・リー・カーティス
      ダニー・マクブライド デヴィッド・ゴードン・グリーン

出演:ジェイミー・リー・カーティス
   アンディ・マティチャック ローハン・キャンベル
   ウィル・パットン カイル・リチャーズ ジェームズ・ジュード・コートニー

制作年: 2022