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顔面血まみれシャラメに恍惚 ピュアな“人喰い”男女の逃避行ロマンス『ボーンズ アンド オール』 ルカ・グァダニーノがヴェネツィア監督賞受賞

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ライター:#BANGER!!! 編集部
顔面血まみれシャラメに恍惚 ピュアな“人喰い”男女の逃避行ロマンス『ボーンズ アンド オール』 ルカ・グァダニーノがヴェネツィア監督賞受賞
『ボーンズ アンド オール』© 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

ティモシー・シャラメ主演、ルカ・グァダニーノ監督による最新作『ボーンズ アンド オール』が2023年2月17日(金)より全国公開。『君の名前で僕を呼んで』の再タッグ、新鋭テイラー・ラッセルのヴェネツィア国際映画祭・新人俳優賞受賞、そして<青春“人喰い”ロマンス>という斬新なテーマで多くの映画ファンの期待を集めていた作品だ。

人喰いシャラメ、ぜんぶ見せます

本作の鑑賞前に気になるのは、やはり“どこまで見せているのか”という点だろう。安心してください……と言うべきか否かはともかく、本作は予告編などから想像できる以上に“しっかり見せて”くれていて、衝動を抑えられなくなった主人公・マレンと、彼女を守る(隠す?)ために各地を転々としてきた父親との冒頭シークエンスからギョッとさせてくれるし、こりゃあ深刻だぞ……と、親子と一緒に頭を抱えたくなる。

『ボーンズ アンド オール』© 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

級友に対し“やらかして”しまい孤独の身となったマレンは、父親が残した衝撃エピソード満載の肉声カセットテープをお供に、同じく“イーター”だったという母を探す旅に出る。そこでまず出会うのが、ナイトの称号を持つ名優マーク・ライランス扮する超怪しいおっさん、サリーだ。無意識イーターなマレンに“作法”や“スキル”を論じるサリーはかなり強烈なキャラクターだが、なんだか近所にいそうなリアルな存在感を纏っているのは、端々から“歴史”が感じられる衣装やキモい小道具など丁寧な設定のおかげだろう。

『ボーンズ アンド オール』© 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

さすがにサリーと行動を共にするのはしんどいのでは……という観客の心配を汲んだかのように、こっそり逃げ出したマレン。その先で偶然出会う同世代のイーターが、シャラメ演じる青年リーというわけだ(グランジな出で立ちで顔面血まみれなシャラメにうっとり……)。ある一定のルールを課してはいるものの、基本行き当たりばったりで“喰べて”きた放浪者のリーだったが、欲求をコントロールしたいと願うマレンと出会ったことでライフスタイルに変化が訪れる。

『ボーンズ アンド オール』© 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

シャラメとテイラーの存在感に恍惚

劇中、マレンとリーの出会いにベタな“トゥンク”描写はなく、若者たちがナチュラルに惹かれ合っていくキラキラした瞬間を捉えた、ピュアな青春ロードムービーとしても秀逸(物語上いろいろとギリギリな時代だったであろう80年代を舞台にした理由もなんとなく分かる)。

撮影中、フレームに収まるシャラメたちを見て、モニター越しに「いいね、すごくいいよ、完璧だ!」なんて呟いているグァダニーノ監督の姿が目に浮かぶほど、スクリーンに映るシャラメとテイラーの姿は美しく神々しい(バリエーションは少なめだが衣装もキュート)。

『ボーンズ アンド オール』© 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

もちろん本作における“人喰い”はメタファーで、具体的に何を示しているかは観る側に委ねられる。その描写は意外なほど直接的だがグロテスクさは薄く、どこか官能的ですらあり、血が苦手な人でもじいっと見入ってしまうだろう。とはいえ“喰う”のは重罪なわけで、つまり本作は『俺たちに明日はない』や『トゥルー・ロマンス』のような犯罪者の逃避行ロマンスとして、いわゆる“普通の生き方”ができない二人に対して観客が共感を覚えるよう、とても魅力的に描いている。

『ボーンズ アンド オール』© 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

また本作には、“いつも笑顔だけど実はヤバい人”を演じさせたらピカイチなマイケル・スタールバーグが『君の名前で~』に続き登場。いまや売れっ子ホラー監督となったデヴィッド・ゴードン・グリーンと共にトラッシーな先輩イーターを演じていて、ニッチな人喰い業界にもウザい奴いるじゃん……と絶望させてくれる。

ちなみに『悪魔のいけにえ』っぽいカットが一瞬あるのだが、はたしてオマージュなのかどうか、ぜひ劇場で確かめてほしい。

『ボーンズ アンド オール』は2023年2月17日(金)より全国公開

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『ボーンズ アンド オール』

生まれながらに人を喰べる衝動を抑えられない18歳の少女マレン。
彼女はその謎を解くために顔も知らない母親を探す旅に出て、同じ宿命を背負う青年リーと出会う。
初めて自らの存在を無条件で受け入れてくれる相手を見つけ、次第に求めあう二人。
だが、彼らの絆は、あまりにも危険だったー。

監督:ルカ・グァダニーノ
原作:カミーユ・デアンジェリス
脚本:デヴィッド・カイガニック
出演:ティモシー・シャラメ テイラー・ラッセル
   マーク・ライランス

制作年: 2022