アサイラム版「DUNE」は、1分くらいで考えたような単純明快SFパニック 『プラネット・デューン/砂漠の惑星』

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ライター:知的風ハット
アサイラム版「DUNE」は、1分くらいで考えたような単純明快SFパニック  『プラネット・デューン/砂漠の惑星』
『プラネット・デューン 砂漠の惑星』DVD発売中
税抜価格:¥4,800
販売元 ‏ : ‎ アルバトロス
発売元:ニューセレクト株式会社
Ⓒ 2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

2021年、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作『DUNE/デューン 砂の惑星』が公開となった。かの大作家フランク・ハーバートの“デューン・シリーズ”を、今再び映像化せんと試みた、このSFドラマ。1984年のデヴィッド・リンチ監督版『デューン/砂の惑星』に見られた直球の悪趣味さが消え去った代わりに、ヴィルヌーヴ監督の過去作『メッセージ』(2016年)のような重苦しい静けさが特徴と言えるだろうか。一方で、淡々と専門用語が飛び交うとっつきにくさは変わらぬままだが、原作からして映像化は至難の業と言われ続けてきた小説であることは考慮すべきだろう。

アサイラム印の単純明快SFパニック

さて、低予算早撮りの便乗商法でおなじみの映画スタジオ・アサイラム社もまた、同時期に“デューン”の名を冠する作品をリリースしている。その名も『プラネット・デューン/砂漠の惑星』(2021年)。原題は『PLANET DUNE』だが、その内容に本家『DUNE』のような難解さは欠片も見られず、むしろ1分くらいで考えたかのような単純明快さを持ち味とするSFパニック映画となっている。というわけで今回は、アサイラム社がひり出した砂虫もとい『プラネット・デューン/砂漠の惑星』を紹介しよう。

『プラネット・デューン 砂漠の惑星』Ⓒ 2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

なお本作では、デヴィッド・リンチ監督版『デューン/砂の惑星』に出演したショーン・ヤングが主要人物の一人を務めている。どうもそのキャスティングからは、アサイラム社の“してやったり”感を見て取れなくもない。

『トレマーズ』の“グラボイズ”系クリーチャーがウネウネ登場

未来世界。宇宙に進出した人類は、様々な惑星に調査隊を送りこんでいた。ある時、辺境の惑星で貨物船が消息を絶つ。救助を命じられたアメリカ宇宙軍のアストリッドたちは現地に急行するが、そこは砂丘と荒野が広がる<砂漠の惑星>だった。絶え間ない地殻変動と、火山噴火。そして砂漠の地中には、この惑星の支配者である巨大モンスターの《ワーム》が潜み、獲物を待ち構えている。この危険極まりない不毛の惑星で、アストリッドたちは生存者を救出し、生還することが出来るのか?(公式HPより引用)

『プラネット・デューン 砂漠の惑星』Ⓒ 2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

やはりストーリーは、いつものアサイラム作品のそれだ。例によって独断専行を上司に咎められたヒロインが、未知の怪物から仲間を救ってその功績を称えられ、名誉を取り戻すというお決まりのもの。そこにちょっぴり昨今の世界情勢(近年はロシア絡みが多い)を交え、主要人物の台詞には手当たり次第“理系”っぽいワードを挟んでみたりもする。そして、ちょっとした口論でしばしば尺を稼ぎがち。ここまでは良くも悪くも安定したクオリティーと言えるだろう。

問題はSFパニック映画の体裁を取っており、作中に巨大殺人生物“ワーム”を登場させているにもかかわらず、ろくすっぽ人が死なないこと。主要人物にそれなりの人数を用意しておきながら、そのほとんどがダラダラ生き延び困難を切り抜けてしまっているため物足りない。もう少しやられ役がいてもよかったのではないだろうか。怪物の襲撃シーンのレパートリーも乏しく、いわゆる『トレマーズ』シリーズの“グラボイズ”系統のクリーチャーがウネウネ這っては迫り来るばかり。映像面はこの手の作品として及第点に達しているがゆえに、そこを活かし切れていないことにもったいなさを感じる。

『プラネット・デューン 砂漠の惑星』Ⓒ 2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

主人公のキャラクター造形はなかなかメチャクチャだ。物語序盤のヒロインは「杓子定規な上司に背き救助活動を優先したことで、理不尽な懲罰を受けている」という設定。ところが途中から、そのヒロインは“親の形見”と称して宇宙船内に密造酒を持ち込んでいたことが発覚(懲罰中の出来事)。当初は“つまらないルールよりも、信念と人命を重んじる女性”だったはずのヒロインが、どうも“普通に決まりが守れないだけのダメ人間”みたいなイメージになってしまっている。この問題はヒロインに限らず、彼女を処罰した上司や、そのまた上のお偉方さえ、物語の進行に応じて主義主張を調子よくコロコロ変えるため、誰も彼も中身がスカスカ。とはいえ、この類いのツッコみどころは笑えるだけ可愛げがあるだろう。映像作品としての必要最低限の体裁は整ってはいるものの、やはりスパイスが足りないと言わざるをえない。それでもツッコミを入れながら年始に鑑賞してみてはいかがだろう。

『プラネット・デューン 砂漠の惑星』Ⓒ 2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

文:知的風ハット

『プラネット・デューン/砂漠の惑星』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2023年1月放送

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『プラネット・デューン/砂漠の惑星』

宇宙に進出した人類が、様々な惑星に調査隊を送り込んでいる未来世界。ある日、辺境の惑星で貨物船が消息を絶つ。救助を命じられたアメリカ宇宙軍のアストリッドらは現地に急行するが、そこは絶え間ない地殻変動と火山噴火、そして巨大モンスター、ワームに支配された“砂漠の惑星”だった!

監督:グレン・キャンベル タミー・クレイン
出演:ショーン・ヤング、エミリー・キリアン、シエナ・ファラル

制作年: 2021
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