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日本熱狂『RRR』大ヒットへの道! 配給ツイン&宣伝Pが明かす『バーフバリ』から紡ぎ続けた「届けたい」の想い【前編】

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ライター:#BANGER!!! 編集部
日本熱狂『RRR』大ヒットへの道! 配給ツイン&宣伝Pが明かす『バーフバリ』から紡ぎ続けた「届けたい」の想い【前編】
『RRR』S.S.ラージャマウリ監督、NTR Jr.、ラーム・チャランのサイン入りポスター

インド発の超大作『RRR』が2022年10月21日に公開されてから約1か月。多くの映画ファンから「いま一番おもしろい映画!」と大絶賛が沸き起こり、初冬の日本を『RRR』の熱風が席巻している。

『RRR』©︎2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

BANGER!!!でも公開前から総力を挙げて『RRR』をプッシュしてきたが、かつての『バーフバリ』シリーズ(2015年/2017年)がそうだったように、本作にもヒットの影の立役者が存在する。まずは、『バーフバリ』応援上映企画の中心人物でもあった、株式会社ツイン古田雄揮氏。『RRR』では同社史上最多となる劇場数を確保し、『バーフバリ』を超える大ヒットに貢献した。もう一人は、株式会社マンハッタンピープル原悠仁氏。プロモーション全体のプランニングを務め、インド映画の宣伝は初めてながら今回の大ヒットに導いた人物だ。

ということで今回、まだまだ熱狂継続中の『RRR』の“大ヒットへの道”を伺うべく、古田氏と原氏に独占インタビューを敢行。大規模上映を成功に導くまでの苦労や、S.S.ラージャマウリ監督とNTR Jr.ラーム・チャランの初出し来日秘話、さらに日本のファンへの大感謝まで、たっぷり語っていただいた前後編のインタビューをどうぞ。

『RRR』(左から)ラーム・チャラン、S.S.ラージャマウリ監督、NTR Jr. (撮影:白井晴幸)

「『バーフバリ』よりも公開規模を大きくしたかった」

―『RRR』の大ヒットおめでとうございます! 改めて、興行の状況はいかがですか?

古田:ありがとうございます。2週と6日(11月9日時点)で2億円を突破しました。日本で上映されたインド映画史上、最速です。『バーフバリ 王の凱旋』の興行収入が3億円だったので、それ以上の興行成績になると思っています。

『RRR』はIMAX上映がとても人気で、グランドシネマサンシャイン池袋さんなどでは連日、満席が続いていました。IMAX上映は11月10日(木)までで一旦終了しましたが、復活上映ができるよう交渉中です。

:私も昨晩、グランドシネマサンシャイン池袋さんに伺いましたが、満席で、拍手も起きていて、公開から3週間ほど経っても最後まで盛り上がっていました。IMAXには、これまでインド映画に触れたことのない多くのお客様にもお越しいただけたことが嬉しかったです。

IMAXは迫力のある映像も音もすべてを体験できるため満足度がとても高く、映画館ならではの高揚感を味わえますよね。音楽フェスに行ったときに、それまで聴いたことのなかったアーティストのパフォーマンスが良くて一目惚れしてしまう、そんな感覚かと思います。

※記事掲載日の2022年11月21日(月)では、累計19万人動員、2.8億円を突破!

―『RRR』はツインさんとしても大きな宣伝費を投じ、日本で「大作」と言われる規模感である200館以上の映画館を押さえて、勝負に出た作品ですね。

古田:本当にそうですね。2Dが209館、IMAXが31館、合わせて240館と、ツインとしては最大規模です。『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2017年)がこれまでの最大規模でしたが、その倍のスクリーン数になります。

『RRR』を買付けた時はまだ作品が完成していない状態で、少しだけ映像を観られた程度だったので、正直ここまで広げることは考えていなかったんです。ただ『バーフバリ 王の凱旋』(2017年)が36館スタートで、最終的に90館強ほどだったので、それよりは大きくしたいと思っていました。

まずは100館ほどで考えていたんですが、実際に本編をフルで鑑賞したところ、ツインの中でも「この作品はすごいぞ!」という声があがりまして。弊社代表の加畑からも「もっと公開規模を広げられないかな? 150とか200とか」という話が出てきて、これまで僕自身その規模で劇場をブッキングしたことがなかったので驚きましたし、かなり挑戦的な目標でした。でも、『バーフバリ』のラージャマウリ監督最新作ということもありましたが、最終的には『RRR』の作品そのものの力を信じて、自信をもって準備を進めていきました。

―『RRR』鑑賞後は、その世界感にどっぷり漬かっていて、すぐにYouTubeでナートゥダンスの映像を再生したくなりますし、何度も何度も観たくなる作品です。

:絶対、観ますよね(笑)。作品も素晴らしいですし、音楽のキャッチーさも光っています。

古田:僕も最初に観た時に脳裏に焼き付いて、『RRR』のことしか考えられなくなりました。

「ラージャマウリ作品の面白さを真摯に伝えること」

―『RRR』は何度もクライマックスが訪れるような、見どころ満載の作品です。まるで<少年ジャンプ>のバトル漫画を読んでいるような、見開きのキラーショットを楽しみに読んでいる感覚になります。友情・努力・勝利も詰まっていますし。

古田:“少年ジャンプ感”は分かります(笑)。まさに少年漫画を読むような感覚で楽しめますね。

:ラージャマウリ監督はキラーショットを大事にしていく作り方なので、『RRR』は、マンガやアニメに慣れ親しんでいる日本の観客との親和性が高い作品と言えると思います。

『RRR』©︎2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

―宣伝担当として『RRR』の魅力を知ってもらうために最も伝えたかったことは何ですか?

:私は『RRR』の関係者向けの試写から宣伝プロデューサーとして合流させていただいたのですが、ちょうど欧米での配信が始まりアメリカでも爆発的に盛り上がっていたので、インド映画の枠を超えた作品と捉えていました。世界中の人々を魅了し、もはや“インド映画”や“アクション映画”というカテゴリーを超えた、“凝縮されたエンタメの結晶”のようなものが来た――そんな勢いを持った作品ということを、まず伝えたいと思いました。

実際に『RRR』を観て思ったのが、ただ映画を鑑賞するというのではなく、「映画体験」そのものを体現している作品ということです。“浴びる”という表現がここまで適切な映画はないでしょう。IMAXで観たい! と思う気持ちは、よく分かります。鑑賞後に“疲労回復する”とか“観るサウナ”と表現されている方も多かったようですが、まさに私も同じような感想を持ちました。なので、俳優たちや物語が素晴らしいのはもちろん、そのすべてを超えて誰もがエンタメとして楽しめる“体験”というものを全面に押し出したいと思いました。

『RRR』©︎2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

―『バーフバリ』の宣伝から学んだことで、今回『RRR』で活かされたものはありますか?

古田:僕たちもラージャマウリ監督の作品が本当に面白いと思っているので、真摯にその想いを届けることが大事だと考えています。『バーフバリ』のときは、その気持ちが皆さんに伝わったと思っています。

:私は『バーフバリ』には携わっていなかったので、様々な資料に目を通すだけでなく、『バーフバリ』のSNSを過去からさかのぼって、多くの投稿をシェアしてくださったファンの方々のアカウントなども拝見して、とにかく勉強しました。そこで、これまで経験したことがないほどの熱量を感じたんです。ファンの皆さんには作品を個人で楽しむだけでなく、その感動をお隣にいる人にも届けたいという方が多くて、他の映画では考えられないパワーを感じました。ラージャマウリ監督の精神に感化されて、楽しいものを伝えようという良い空気感が連鎖していますね。

古田:『バーフバリ』は、ファンの皆さんがSNSで発信することで広まっていった、皆さんが育ててくださった作品だと思っているので、本当に感謝しかありません。

『RRR』©︎2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

「『RRR』を広める軸の1つはBANGER!!!さんだった」

―『バーフバリ』を楽しんでいただいた皆さんを大切にしつつ、さらに広げていくためにどんな施策を行いましたか?

:それはまさにBANGER!!!さんですよ。

古田:僕もそう思います。ご自身のことなので書きづらい部分もあるかと思いますが、そこは記事に書いて伝えてほしいところです。

:『RRR』の宣伝の軸が2つあるとしたら、その1つは本当にBANGER!!!さんでした。(※上映前から一定期間、『RRR』とBANGER!!!のコラボ企画を展開)

―ありがとうございます!!!

:どうしても公式では、まんべんなく発信して伝えないといけないので、他の映画と同じような情報になってしまう部分もあり、『バーフバリ』のファンの皆さんにとっては物足りないのでは? と思っていたんです。熱いファンのためのWEBサイトを作りたいと思っていたときに、BANGER!!!さんが『バーフバリ』の時からずっとインド映画を応援されていて、濃厚な記事を出されていたので、今回しっかり組ませていただきたいと思いました。

古田:BANGER!!!さんの記事は本当に詳しく書かれていて、とても勉強になるんです。ご自身のことなので遠慮されるかもしれませんが、ここはしっかり記事に書いてください(笑)。

『RRR』ラーム・チャラン (撮影:白井晴幸)

:ラージャマウリ監督や俳優陣のインタビューでは、公式ではなかなか質問できないことも聞いていただき、皆さんに発信してくださったので、とても助かりました。ファンが楽しめるコンテンツをたくさん出していただいたことで、皆さんにとってのプラットフォームになって良かったと思っています。「BANGER!!!さんに運営に入ってほしい」という投稿をSNSで見かけたときは驚きましたが、私たちがBANGER!!!さんを通じてやりたかったことが、それだけ伝わったのだと思います。

もう一つは具体的な施策ではないのですが、いかに『バーフバリ』ファン以外の方に伝えるかというところです。そこで、各業界のオピニオンの方に連絡を取り、作品を観て気に入ってくださった方にSNSで熱量高く発信していただくことができました。中でもゲームクリエイターの小島秀夫さんにはとても気に入っていただけて、来日の際にはラージャマウリ監督との対談も実現しました。ファンの皆さんの盛り上がりの“炎”を、オピニオンやアーリーアダプターの方々に感じ取ってもらい、そこから色んなところに少しずつ届いていけばいいなと思い、火の粉の飛び先を増やしていったイメージです。

ラージャマウリ監督の3Dスキャンをしている様子@コジマプロダクション(撮影:マンハッタンピープル 原悠仁氏)

―こちらこそ、『バーフバリ』のときと同じように素晴らしい経験を『RRR』でもさせていただきました。ありがとうございます! 当時『バーフバリ』が盛り上がってきた頃、古田さんとバラーラデーヴァ王役のラーナー・ダッグバーティさんを日本に呼びたいというお話をして、一緒に招聘しましたね。その来日がちょうどBANGER!!!の立ち上げタイミングだったので、『バーフバリ』の情報も積極的に発信しましたし、ファンの皆さんから色んなリアクションをいただき、多くのことを学ばせていただきました。

古田:2018年の東京コミコンは忘れられないですね。“『バーフバリ』コール”が会場に響いていて、本当にすごかった。この業界に入って良かったと思った瞬間でした。

ラーナー・ダッグバーティ@東京コミコン2018

―ラーナーさんが東京コミコンのステージに登場したときの熱狂ぶりは鮮明に憶えています。鳥肌が立ちましたね。あんなに感動的な光景に立ち会うことができて、とても幸せでした。

『RRR』は2022年10月21日(金)より全国公開中

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『RRR』

舞台は1920年、英国植民地時代のインド。
英国軍にさらわれた幼い少女を救うため、立ち上がるビーム。大義のため英国政府の警察となるラーマ。
熱い思いを胸に秘めた男たちが運命に導かれて出会い、唯一無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに究極の選択を迫られることに。
彼らが選ぶのは、友情か?使命か?

監督・脚本:S.S.ラージャマウリ
原案:V.ヴィジャエーンドラ・プラサード
音楽:M.M.キーラヴァーニ
出演:NTR Jr. ラーム・チャラン

制作年: 2022