『バーフバリ』監督最新作など2019年公開情報&インド初の映画博物館 現地レポート【インド映画NOW】

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ライター:松岡環
『バーフバリ』監督最新作など2019年公開情報&インド初の映画博物館 現地レポート【インド映画NOW】
マハラシュトラ州プネーの映画館「マンガラー」(2018年撮影)
今年も話題の尽きないインド映画の最新情報をお届け!2019年3月にインドを訪れたアジア映画研究者の松岡環さんが、インドで公開予定の話題作と、ムンバイにできた映画博物館を現地レポートしてくれた。

2019年もインド映画から目が離せない!現地で話題の作品とは

2019年3月にインドに行き、ニューデリー、ムンバイ、チェンナイと回ってきたのだが、どこでも映画館は相変わらず大賑わい。チェンナイでは、地元の言語タミル語の映画以外は英語字幕が付いていることを発見。映画料金も他の2都市に比べて安く、インドでインド映画を見たい、と考えている人にはぴったりだ。普通の席の料金を比べてみると、ニューデリーは300~500ルピー(約500円~800円)なのに対し、ムンバイは200~300ルピー(約350円~500円)、チェンナイは高くても200ルピーで、ほとんどが100ルピー台なのである。物価の違いと、課される娯楽税率の違いによって、料金が変わってくるのだ。

四半期のヒットBEST3

1位『Uri: The Surgical Strike(ウリー:ピンポイント攻撃)』

2019年最初の四半期のヒット作だが、ボリウッド映画では、『Uri: The Surgical Strike(ウリー:ピンポイント攻撃)』がダントツのヒットとなった。2016年にインド軍で実際にあった、パキスタン領内のテロリスト拠点へのピンポイント攻撃作戦を描いているのだが、これまでにないスピーディーな戦争アクション&サスペンス映画であることに加え、インド軍の愛国的軍事行動が人々の共感を呼んで大ヒットに繋がったようだ。主演は『SANJU/サンジュ』でサンジャイ・ダットの親友を演じたヴィッキー・カウシャルで、『Uri~』のヒットによりトップ男優の仲間入りを果たした。

2位『Gully Boy(路地裏の青年)』

続いて、ムンバイのスラムに住むラッパー志望の青年を主人公にした『Gully Boy(路地裏の青年)』もヒット、ラップ音楽の存在がインド中の人々に認識されることとなった。こちらの主演は、『パドマーワト 女神の誕生』などのヒットで「3大カーン」以上の人気を誇るランヴィール・シン。相手役は『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!』(2012)で日本でもお馴染みのアーリアー・バット。2人ともイスラーム教徒の役なのだが、ムスリム女性とは思えない言動を見せるアーリア-・バットが魅力的だ。

3位『Total Dhamaal(大騒ぎ総集編)』

これに人気コメディシリーズの最新作『Total Dhamaal(大騒ぎ総集編)』も加えた3本が、この四半期のヒットと言える。

やはり強い大御所俳優映画

南インドでは、『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1998)のラジニカーント主演作のタミル語映画『Petta(ペッタ)』がヒット、ラジニ作品はやはり強い。

また、最近公開されたマラヤーラム語映画『Lucifer(ルシファー)』では、モーハンラールが変わらぬ貫禄ぶりを見せて映画をヒットに導くなど、大御所俳優の安定した人気が目立つ。

マラヤーラム語映画のもう1人の大スターであるマムーティは、タミル語映画『Peranbu(思いやり)』を撮ってヒットさせており、いずれもカリスマ性は全然衰えていない。

テルグ語映画は、『バーフバリ』のプラバースが主演するアクション映画『Saaho』の公開日がやっと2019年8月15日に決まり、期待が高まっている。『バーフバリ』のS.S.ラージャマウリ監督の新作『RRR』も、年内に完成するようだ。日本でも、各映画配給会社で争奪合戦が繰りひろげられるかも知れない。

ムンバイに国立インド映画博物館完成!

「国立インド映画博物館」外観

他の話題としては、ムンバイに国立インド映画博物館(National Museum of Indian Cinema)が完成し、2019年1月19日より一般に開放された。ムンバイの旧市街のほぼ中心部の、アラビア海寄りの住宅街にあり、ジャスロック病院という有名な病院の斜め向かいに位置する。入場料は、インド人20ルピー、外国人500ルピー(約800円)。12歳以下の子供と、学生(学生証の呈示が必要)は無料。休館日は月曜と祝日で、開館日には朝11時から夕方6時まで開いている。

「国立インド映画博物館」内観

展示は、かつて個人住宅だった旧館と、ビル様式の新館とに分かれており、旧館ではインド映画の歴史を辿る展示が1階と2階に、また新館では、2階から5階にかけて映画製作の様々な技術面の展示を展開しており、全部見て回るとゆうに3時間はかかる。新館の展示は、ブルーバック撮影とか見学者が参加できるものも多いので、子供たちが喜びそうだ。どんな展示が見られるのかは、博物館の公式サイト(※下部に掲載)を参照してほしい。入場料を払った時にもらえるリーフレットがアップされている。

写真撮影は、携帯はOKだがカメラは不可。新館の1階にはシアターが複数あり、上映も行われる予定のようだが、まだ本格化していない模様。ミュージアムショップはなく、また、新館の最上階がフードコートになるばずが、2019年3月半ば時点では開店していなかった。まあ、何せお役所が作ったものなので、不備な点は多いものの、インド映画に関心のある人にはあれこれ楽しめるスポットとなっている。

「国立インド映画博物館」展示物

ここの展示に使われたパネルの現物は、おそらくプネーのインド国立映画資料館(National Film Archive of India)が収集した物だと思うが、実はムンバイには、国立映画資料館以上に熱心に映画資料を収集している民間団体がある。映画遺産財団(Film Heritage Foundation)といい、まだビルの一部を借りて収集庫を作り、収集物を保管しているだけで公開はしていないが、映画資料保存のためのワークショップを各地で開いたりと、積極的に啓蒙活動を行っている団体である。

「映画遺産財団」シヴェーンドラ・シン・ドゥンガルプル所長とアシスタント

「映画遺産財団」シヴェーンドラ・シン・ドゥンガルプル所長とアシスタント

所長はシヴェーンドラ・シン・ドゥンガルプルというまだ若い男性で、話していても映画への愛をひしひしと感じる人だ。彼の映画資料保存のセンスは素晴らしく、先日は特別に収蔵庫をアシスタントの女性に案内してもらったのだが、丁寧に保存されている紙資料や監督たちからの寄贈資料を見て、インド国立映画資料館もこれぐらいできればなあ、とため息が出た。すべて寄付でまかなっているので、経済的には大変なようだが、多くの若い職員が活き活きと働いていて、将来への希望を感じさせた。

こんな風に、側面からも支えられているインド映画界。今年も日本で多くの作品が見られそうだ。

文:松岡環

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