イ・ジョンジェ初監督作!チョン・ウソン共演『HUNT』インタビュー!実際の大統領暗殺計画を元に描く【カンヌ映画祭レポート】

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ライター:石津文子
イ・ジョンジェ初監督作!チョン・ウソン共演『HUNT』インタビュー!実際の大統領暗殺計画を元に描く【カンヌ映画祭レポート】
『Hunt』(左から)イ・ジョンジェ、チョン・ウソン©若山和子

『HUNT』W主演イ・ジョンジェ&チョン・ウソンにインタビュー!

Netflix『イカゲーム』で世界的スターとなったイ・ジョンジェ。彼の初監督作品『HUNT』(狩り)が、カンヌ映画祭ミッドナイト・スクリーニング部門で5月20日に上映され、大喝采を浴びた。

初監督とは思えぬ技量を発揮したイ・ジョンジェ、そしてW主演したチョン・ウソンにインタビュー!

『Hunt』(左から)イ・ジョンジェ、チョン・ウソン©若山和子

映画の舞台は1983年。韓国の情報機関、国家安全企画部に北朝鮮のスパイがいることが発覚。パク・ピョンホ(イ・ジョンジェ)とキム・ジョンド(チョン・ウソン)はお互いを疑いあう。

実際にあった全斗煥大統領暗殺計画を元に描くスパイ・アクション大作であり、イ・ジョンジェが初監督でここまですごい映画を作ったことに正直驚いてしまった。カンヌで充実感いっぱいのイ・ジョンジェと彼を支えるチョン・ウソン。長年の親友でもある二人が、映画への思いをじっくりと語ってくれた。

――チョン・ウソンさんが映画監督を目指して準備していたことは有名ですし、短編もいくつも撮っていましたね。でもイ・ジョンジェさんが監督デビューを先に果たしたのは、驚きました。そして、こんなにすごい映画を作ってしまったことにも。

イ・ジョンジェ
「おっしゃる通り、僕は映画監督になろうとは思ってはいなかったんです。それよりもプロデューサーはやりたい、とは思っていました。

そこで、この作品の権利を獲得し、主役二人のうちどちらかを演じようと思ったんです。オリジナル・シナリオの権利を買った後、映画化に向けてまずリライトに取り組みました。それを一緒にやってくれるプロの脚本家、映画監督を探して、たくさんの人と会ったんですが、なかなか適任者に会えなかったんですよ。

そこで、もう自分で監督もやってしまえ、と思ったわけです(笑)。だって、この題材についてものすごく時間をかけてリサーチをしたし、リライトに取り組んだので、一番この映画について理解しているのは僕自身だったんです。だったら自分で監督するのもありだな、と。」

『Hunt』イ・ジョンジェ©若山和子

チョン・ウソン
「パーフェクトな監督でしたよ。僕にとっては(笑)。真面目にいえば、彼とは純粋に長年の友人ですし、会社(アーティスト・カンパニー)を共同経営するビジネス・パートナーでもあり、お互いのことをとてもよくわかっています。彼がこの作品を作るためにどれほど献身していたか、よく見ていましたから。

イ・ジョンジェは俳優として30年近いキャリアがあります。演技をすることと、監督することは別とはいえ、彼は映画作りについて、そして脚本についてもとても良く理解しています。そして映画というビジネスについても。ですから、彼が監督することになんの疑問も感じませんでしたし、素晴らしい仕事をしてくれることを期待していました。

僕たち二人が長年の友人あることは韓国では良く知られていますが、仲良しごっこで映画作りをしているかのようには思われたくありませんでした。だから、僕も彼も非常に熱心に働きましたよ。撮影セットでも、僕たちはこれに賭けているということを行動でも示したつもりです。だからこそ、こんな素晴らしい映画になったんだと思います」

『Hunt』チョン・ウソン©若山和子

――でも、監督志望だったチョン・ウソンさんより先に、イ・ジョンジェさんが長編監督デビューしてしまって、ちょっと嫉妬(笑)、は感じませんでしたか?

イ・ジョンジェ
「そんなわけないですよ(笑)。彼ももう映画を撮ったんですよ」

チョン・ウソン
「そう、まだ公開されていないだけで、実は長編の監督をしたんです。でも、僕と彼の映画は全く違うジャンルなんですよ。僕は彼に対してジェラシーを感じたことなんて全くありません。何より重要なのは、『HUNT』という映画を一緒に作れたこと、そしてそれを彼が完璧に成し遂げたこと。だから親友として、共演者として、そしてビジネスパートナーとして、イ・ジョンジェのことをとても誇りに思っていますし、成功を喜んでいます」

『Hunt』第75回カンヌ映画祭

――初監督で、政治問題に挑んだのはなぜですか?とてもリアルで1983年の話ではあるけれど、まるで現在のトピックとしてとてもホットに感じられます。

イ・ジョンジェ
「この映画のコアにあるメッセージは“我々は、衝突するべきではない”ということです。掲げる理想や主義が違うからといって、対決するべきではありません。

当時の韓国が直面していた政治問題がストーリーの背景にはありますが、それが僕がこの映画を作ったメインの理由ではなんです。

1980年代の韓国というのは、他の国に比べて、情報統制がされていました。虚偽の情報で人々をコントロールしようとする人々がいて、なかなか本当のことがわからなかった。

実は不思議なことに、この2022年という現在においても、情報を操作して自分たちの利益へと誘導しようする、そういう人間や集団というのはまだ存在しているんです。だからこそ、我々は主義や主張の違いで衝突したり、対決してはいけない、というメッセージを込めたつもりです」

――スパイ・アクションではありますが、政治家の不正に対して憤りを隠さないし、次の時代へのメッセージがあります。あなたが主演した『イカゲーム』も、大きな不正への怒りがあり、不正は正されるべきだ、という主張を感じます。シーズン2では、そこがさらに描かれるのでしょうか?

イ・ジョンジェ
「この映画はエンターテインメント作品です。でも、扱っているトピックやテーマには社会問題があるし、それを物語に織り込んではいます。監督としては、それを声高に主張するのではなく、いかに娯楽映画の中にその点を自然に溶け込ませるかに苦心したつもりなので、そこを感じとってもらえたのはとても嬉しいです。

『イカゲーム』ももちろん、一大エンターテインメント・シリーズでした。でも同時に、この『HUNT』と同じく、ファン・ドンヒョク監督は社会問題を盛り込んでいました。『HUNT』も『イカゲーム』も、まずは娯楽として皆さんに楽しんでいただき、その後で、そこに隠されていたテーマについて、いろいろなことを話してもらえたら嬉しいですね。

『イカゲーム』のシーズン2では、1で描き切れていなかった点をきっとファン・ドンヒョク監督がカバーしてくれると思います」

『Hunt』イ・ジョンジェ、筆者・石津文子、チョン・ウソン©若山和子

取材・文:石津文子

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