恐怖! 人食いサメ映画の始祖『ジョーズ』放送!! 傑作ゆえにトンデモ化していくホラーアイコンの宿命

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ライター:知的風ハット
恐怖! 人食いサメ映画の始祖『ジョーズ』放送!! 傑作ゆえにトンデモ化していくホラーアイコンの宿命
『JAWS/ジョーズ』4K Ultra HD+ブルーレイ 発売中 価格:6,589円(税込)/『ジョーズ2』Blu-ray 発売中 価格:2,075円(税込) 発売・販売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント

このたびCS映画専門チャンネル ムービープラスで『ジョーズ』および『ジョーズ2』の日本語吹替版が放送されるとのこと。よって今回は、『ジョーズ』シリーズ全4作を簡単に紹介していこう。未見の方は予習がてら、すでにシリーズ制覇済みの方は復習がてらご一読いただければありがたい。

『JAWS/ジョーズ』©1975 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

何度見てもやっぱり名作『ジョーズ』

言わずと知れたスティーヴン・スピルバーグ監督作『ジョーズ』(1975年)。「突如としてアミティ島のビーチに現れし規格外のホホジロザメを巡り、主人公のマーティン・ブロディ署長、海洋学者フーパー、ベテラン漁師のクイントが人食いザメ退治に出る」というプロットは、のちの“サメ映画”ほかパニック映画ジャンル全体に多大な影響を及ぼしている。

『JAWS/ジョーズ』©1975 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

「前半はパニック・ホラー映画、後半はアドベンチャー映画である」との評がしばしば聞こえるところだが、前後半ともにきっちり“人食いザメの恐怖”を描いているという点では一貫しており、その二部構成のまとまり具合は芸術的。前半いささか頼りない様子のブロディが、最後の最後、無敵の怪物ザメ相手にいよいよ覚悟を決め、一か八かの一騎打ちを挑む、あのクライマックスは手に汗握るもの。

『JAWS/ジョーズ』©1975 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

現場で本来使うはずだった模型の故障が頻発したせいではあるが、極力サメそのものを画面に映さず、カメラワークや音楽、樽や板切れを用いた演出でサメの存在感をカバーしたそのセンスも抜群。本作以降に出た数多くの低予算サメ映画が、後年『ジョーズ』に倣って同じ手法を用いることとなる。もっとも、後続のサメ映画に『ジョーズ』ほどうまく上記演出をやれている作品はまっこと少ないようだが。

『JAWS/ジョーズ』©1975 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

なお、『ジョーズ』のメガ・ヒット以降、ホホジロザメ=残忍な人食いザメというイメージが急速に広まり、定着してしまったとのこと。かといってホホジロザメが安全無害というわけでもないのだが、「現実のサメは『ジョーズ』シリーズに出てくるような殺人マシーンではない」ということは理解しておくべきだろう。

“怪物”としてのサメを全面に押し出した『ジョーズ2』

続く『ジョーズ2』(1978年)は、前作から3年後のアミティ島が舞台。「再び現れたホホジロザメに対し少々ノイローゼ気味となり、周りからの信頼を失ってしまうブロディ署長。前回頼りにしていたフーパー、クイントはおらず、彼は孤立無援の戦いを強いられる」……といった内容の正統続編だ。

『ジョーズ2』©1978 Universal Studios. All Rights Reserved.

さすがに初代『ジョーズ』には及ばないにせよ、「あの最高におもしろく、社会現象まで巻き起こした『ジョーズ』の続編を作らなければならない」という重圧の中で、『ジョーズ2』は本当によくやっていると言えるだろう。物語途中で顔に黒い火傷を負ったサメの姿は前作以上の怪物であり、初代『ジョーズ』をどこか静かな恐怖をウリとしたアニマル・パニックだとするなら、本作はいわばモンスター・パニック、怪物がより“怪物”らしく前に出て、ド派手に暴れ回るような作風をウリとしている。モーターボート破壊シーンや、ヘリコプター襲撃シーンなどがそのいい例だろう。

『ジョーズ2』©1978 Universal Studios. All Rights Reserved.

前作の焼き直しじみた脚本、やや影の薄い新キャラクターたちなど課題も多いが、決して楽しめなくはない続編である。少なくとも、のちの2本に比べれば。

“飛び出し”を意識しすぎた結果トンデモ化『ジョーズ3』

さて、ここから何かがおかしくなってきた『ジョーズ3』(1983年)。主人公はブロディ署長の息子の一人マイケルであり、舞台は水族館に移行。「彼が勤める“海底王国”周辺でまたしても人食いザメが暴れ回り、ついには水族館に侵入する」という、トンデモパニック色チョイ増しくらいのストーリーである。

『ジョーズ3 (2D/3D)』
Blu-ray発売中
価格:2,075円(税込)
発売・販売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント

劇場公開時に『ジョーズ3D』というタイトルを冠していた本作は3D映画、よって画面奥からなにかが飛び出してくるような演出を多用しているが、それゆえどこか一本調子でもある。もちろんサメはちっとも怖くはないし、ラストでえらく自己主張してくるイルカは噴飯物。ちょっとしたラブ・ロマンス要素を追加された脚本は、過去作ほどの盛り上がりに欠ける。後半のサメの襲撃シーンにいくつか見応えはあるものの、やはり“マニア向けの作品”にはなってくるか。

なお『ジョーズ』シリーズの3作目は、もともと過去作のパロディ映画として構想が練られていたそうな。が、そのアイデアはボツになり、代わって本作という名の怪物が生まれた。

荒唐無稽な“シックスセンス”対決へ!?『ジョーズ4』

そして現時点でのシリーズ最終作が、『ジョーズ4 復讐篇』(1987年)。『ジョーズ’87 復讐篇』なる邦題でご存じの方も多いだろうか。

『ジョーズ4/復讐篇』
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価格:2,075円(税込)
発売・販売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント

ストーリーは「三度人食いザメを打ち倒してきたブロディ一家に復讐心を抱くホホジロザメが、オカルトじみた探知力でその関係者を強襲、一族を根絶やしにせんとする。一方、ブロディ署長の妻エレンは、謎の力でサメの襲来を察知。両者は最後の戦いに挑む」という、シリーズいちの荒唐無稽さだ。

『ジョーズ4/復讐篇』
©1987 Universal Studios. All Rights Reserved.

これだけでも不安を覚えるというのに、マイケルのキャラクター設定に前作と齟齬が生じていたり、肝心のサメの襲撃シーンがやけに少なかったり、サメの模型の作りもチャチかったりと、ボンクラ度が急激に上昇している。過去作を踏襲したシーンの一部にちょくちょく感慨深いポイントはあるが、全体的には『ジョーズ』シリーズらしからぬトンデモ・パニック映画だ。

以上が、かなりざっくりした『ジョーズ』シリーズの紹介となる。個人的なオススメは『2』までだが、興味があれば『3』以降を鑑賞してみるのもいいだろう。

文:知的風ハット

『ジョーズ』1&2および日本語吹替版はCS映画専門チャンネル ムービープラス「ジョーズ イッキ観!」で2022年5月放送

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