稲垣吾郎主演『恋のすべて』絶賛上演中! “恋と嘘の一晩”を描く 絶品ジャズが彩るミュージカル・コメディ

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ライター:石津文子
稲垣吾郎主演『恋のすべて』絶賛上演中! “恋と嘘の一晩”を描く 絶品ジャズが彩るミュージカル・コメディ
『恋のすべて』撮影:田中亜紀

恋と嘘の一晩が幕を開ける

稲垣吾郎主演のミュージカル・コメディ『恋のすべて』が、東京建物Brillia HALL(池袋)で上演中。寒さとコロナ禍の鬱屈をひととき忘れさせてくれる、小粋で楽しくロマンチックな大人のためのミュージカルだ。

ミュージカル・コメディ 『恋のすべて』

『恋のすべて』の舞台は、1930年代アメリカの架空の街モブタウン。ラジオと映画とスウィング・ジャズの全盛期だ。稲垣演じる、しがない探偵ニック・テイラーはラジオにある曲をリクエストをするのが日課。そこへ缶詰会社の社長クラーク・キャンピオン(羽場裕一)が訪れ、破格の謝礼で奇妙な依頼をしてくる。それは「娘を君との恋に落としてくれ」というものだった。

『恋のすべて』撮影:田中亜紀

クラークの一人娘コニー(花乃まりあ)は19歳。クラークは、富豪の息子テディ(松田凌)が彼女に求婚しようとしているのが気に入らないと言うのだが、どうやらそれだけはない様子。そこにテディの母で富豪未亡人のカミラ・モーリー(北村岳子)、クラークの愛人で歌手のザラ(石田ニコル)も絡んで、恋と嘘の一晩が幕を開ける――。

『恋のすべて』撮影:田中亜紀

稲垣“あて書き”のシリーズも20年、7作目!

嘘をついたり恋の罠は仕掛けるものの、本物の悪人は出てこない。ハリウッドの名作コメディ『或る夜の出来事』(1934年)や『フィラデルフィア物語』(1940年)(と、そのミュージカル版『上流社会』[1956年])、さらにウディ・アレンのノスタルジックなコメディ『ラジオ・デイズ』(1987年)などを彷彿とさせる、洒落たミュージカルとなっている。脚本と演出を手掛けたのは、劇団ラッパ屋の鈴木聡。

『恋のすべて』撮影:田中亜紀

稲垣と鈴木の顔合わせは、2003年の舞台「謎の下宿人 サンセット・アパート」から20年、本作で7作目となる。毎回、稲垣を想定してのあて書きであり、彼の年齢とともに、大人のちょっと切ないコメディとしての色合いが強まってきた。さらに2013年に始まった「恋と音楽」シリーズからは、作曲家でジャズ・ピアニストの佐山雅弘が音楽監督となり、ヒロインに宝塚出身者を迎えてのミュージカル形式となっている。

このシリーズは稲垣吾郎のパブリック・イメージとは異なる軽妙さと明るさ、持ち味であるエレガントさ、そしてソフトな低音を響かせるクルーナー(前述の『上流社会』のビング・クロスビーとフランク・シナトラに代表されるジャズ・ボーカリスト。声を張らず、マイクの響きを利用して甘く歌う)としての魅力を引き出し、稲垣の代表作の一つとなった。だが2018年の「君の輝く夜に ~FREE TIME,SHOW TIME~」を最後に、佐山雅弘は惜しくも逝去。『恋のすべて』では音楽監督を青柳誠が担当し、「恋と音楽」シリーズ同様にジャズをベースにしつつ、時折、グランド・ミュージカル風の朗々たるメロディも挟み込んでいる。

『恋のすべて』撮影:田中亜紀

「お芝居をしている間は、甘くキラキラした夢の中にいるみたい」

『恋のすべて』では、前述した稲垣の魅力に加えて、どこかのほほんとした善良さが今まで以上に生かされており、恋は仕掛けるものの、嘘を突き通せない男がピッタリだ。

稲垣吾郎が「鈴木聡さんのお芝居は、僕にとってはお仕事とは思えないほど楽しくて、自分へのご褒美みたいな感じです。お芝居をしている間は、甘くキラキラした夢の中にいるみたいな感じがします。そんな世界をみなさんにも劇場で楽しんでいただけたらと思います」とコメントするように、劇場にいる間は、世の憂さは忘れられるというもの。それこそがエンターテインメントの醍醐味だ。

『恋のすべて』撮影:田中亜紀

鈴木聡も「1920年代から1930年代のアメリカ文化に惹かれます。狂騒のジャズエイジからほっと一息ついたラジオデイズへ。華やかでスタイリッシュ、それでいて、繊細でせつない。だからでしょうか、この時代、稲垣吾郎さんに似合う感じがするのです」と語る。

舞台上のキャストも宝塚娘役トップスターだった花乃まりあをはじめ華やかだが、古いラジオを思わせるアールデコ調のセットもスタイリッシュさを演出。そこで本物のジャズバンド(pf.青柳誠、vln.高橋香織、b.バカボン鈴木、g.三好“3 吉”功郎、perc.仙波清彦)が演奏しているという、洒落た設定だ。そして映画ファンにはお馴染み、オーソン・ウェルズが起こしたラジオ時代の大事件もアクセントになっている。

撮影:藤井美樹

エンターテインメントを止めないために

当初の2022年2月11日から2日遅れの開幕となったが、上演直前にコロナ陽性が判明した石田ニコルの体調も無事回復し、妖艶なクラブ歌手という、まさにハリウッド映画のようなキャラクターを立体的に演じていて魅力的だ。そして、何よりこのシリーズを支える北村岳子の名コメディエンヌぶりと、圧倒的な歌唱力。稲垣、羽場、松田を従えてスウィングを歌う姿は絶品だ。羽場裕一の軽妙洒脱さ、そしてちょっとアンセル・エルゴートを思わせる松田凌も、グッド・オールド・デイズな世界に馴染んでいる。

カーテンコールで、稲垣は「この状況の中、劇場に足を運んでくださるみなさまのおかげでこうして舞台に立つことができます」と感激していたが、エンターテインメントを止めないために、舞台上も客席側も力を尽くしていると言える。SHOW MUST GO ON! 生の舞台の楽しさを多くの人にぜひ味わってもらいたい。

文:石津文子

【公演概要】
モボ・モガ プロデュース ミュージカル・コメディ 『恋のすべて』

2022年2月13日(日)~2月27日(日)

東京建物 Brillia HALL

出演:
稲垣吾郎
花乃まりあ 石田ニコル 松田凌
北村岳子 羽場裕一

作・演出:鈴木聡

【入場料】
S席 \11,500/A席 \6,500/車イス席 \11,500(税込・全席指定)
*未就学児童入場不可 *営利目的の転売禁止
※チケット情報に関しての詳細は公式サイトでご確認ください。

 

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モボ・モガ プロデュース ミュージカル・コメディ 『恋のすべて』

ニック・テイラーは探偵。過去に大切な探偵仲間シドを事件で亡くしている。シドの未亡人に送金しているためいつもお金がない。

クラーク・キャンピオンは、手広く事業を行う経営者。コニーという箱入り娘がいるが、最近、テディ・モーリーという若者が娘の周りをうろついていることを苦々しく思っている。ただ、富豪の未亡人でテディの母、カミラ・モーリーに投資を頼んでいる手前、テディを追い払うことはできない。

テディはどうやらコニーにプロポーズをしようとしているらしい。クラークは、カミラからの投資の契約が終了するまで、コニーをテディから遠ざけるという任務をニックに依頼する。

「娘を君との恋に落としてくれ」
破格の依頼料に、仕事を引き受けるニック。

一緒に時を過ごすうち、二人の間には「恋のような感じ」が漂いはじめる。さらにクラークは、自分の愛人ザラ・エイミスを使ってテディを誘惑しようとする………。

制作年: 2022
出演:
  • BANGER!!!
  • 映画
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