往年の“怪獣特撮”感もアリ?『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』は後出し設定連発もギリ許せる便乗続編

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ライター:知的風ハット
往年の“怪獣特撮”感もアリ?『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』は後出し設定連発もギリ許せる便乗続編
『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』DVD発売中
価格:¥ 5,280 (税込)
発売:ニューセレクト株式会社
©2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

アサイラム、またも怪獣王に便乗

2021年、アダム・ウィンガード監督作『ゴジラVSコング』が公開。小栗旬演じる芹沢蓮の極端な台詞の少なさなどが取り沙汰されながらも、前作に続く超ド迫力の大怪獣バトルがきっちり用意された上で、かつ思わぬサプライズも仕込まれている同作、賛否両論さまざまな声や鋭い指摘はあったものの、個人的にはおおむね満足している。

そして案の定アサイラム社もまた、同作に乗っかったSF怪獣映画を繰り出した。題して『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』(2021年/原題『APE VS. MONSTER』)だ。

『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』©2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

このアサイラム社、以前にも『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)に乗っかった前作『ロード・オブ・モンスターズ』(2019年)を出しており、そちらは「デカいヒトデ怪獣“テング”と、なんかゴーレム的な存在が戦う」という元ネタの面影もない内容だったが、本作では一応「デカいサルとトカゲが両方出てきてラストでちゃんと戦う」という、便乗元を踏襲したストーリー展開となっている。

というわけで今回は、コロナ禍にもくじけず世に映像作品を送り出し続ける(ともかくそのガッツは素直に賞賛されてしかるべきだ)映画スタジオ、アサイラム社の『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』を紹介していこう。

余談だが、作品としてはおそらく前作『ロード・オブ・モンスターズ』の方が、まだまともにおもしろいのではないかと考えられる。

『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』©2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

同コラム2回目の「エリック・ロバーツ出すぎ問題」

冷戦時代。当時のアメリカとソ連がなんと協力し合い、極秘で打ち上げていたという宇宙探査船が今になって地球に墜落。搭乗させられていたチンパンジーの“エイブラハム”は外宇宙物質の影響により、超巨大モンスターへと変貌を遂げていた。

『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』©2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

科学者のリンダやエヴァは、犠牲を出しつつもエイブラハムを捕らえることに成功。ほっとしたのも束の間、宇宙探査船に付着していた外宇宙物質に接触した野生のトカゲが急成長し、第二の脅威と化す。続いてエイブラハムが隔離施設から脱走し、各地で被害を出す2匹の大怪獣。

『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』©2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

事態の収拾を図り奔走するリンダとエヴァだが、一連の事件の裏には地球制服を狙うエイリアンの陰謀が……。というのが本作の概要である。

監督は『トップガン』(1986年)のパチモン『トップガンナー』(2020年)のダニエル・T・ラスコ。キャストには、もはやアサイラム作品の常連と化したエリック・ロバーツの姿が。ちなみに彼、前作『ロード・オブ・モンスターズ』にも別人役でちゃっかり出演している。というか上述の『トップガンナー』にも出演している。

『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』©2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

ツッコミどころもギリ笑って流せるパニックアクション

アサイラム作品にしては、脚本が筋道立っている。とにかく無駄でグダグダで尺稼ぎの意図がミエミエ、といったようなシーンも少ない。主役の二大巨大生物に関わる設定の後出し連発や、2匹の怪獣を生み出した外宇宙物質に関するささやかな描写の矛盾、そして後半からの突飛な展開(じつは黒幕はエイリアンで全部そいつらが悪かったのだ!)は気になるが、まあ別に笑って流せる程度のもの。

『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』©2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

ざっくりしたストーリーに対しても、そこまで不満はない。むしろエイリアンオチに関しては、日本の昔の怪獣特撮っぽくて好印象なくらいだ(ただ本作の雰囲気は、どっちかというとエメリッヒ版ゴジラっぽいのはご愛敬)。

『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』©2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

その一方、重要人物っぽく描かれてきた多くのキャラクターがどいつもこいつもタメもなしにあっさり食われては退場していくため、後半になるにつれ「ああ、またか」と感じなくもない。ドタバタなモンスターパニック描写などによって低予算なりにスケールの大きさを演出していた前作『ロード・オブ・モンスターズ』に比べると、似たような林や荒野のロケ地ばかりが続く本作はどうもこじんまりとしており、派手さや冒険感に欠ける。

『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』©2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

そして最後の最後まで2匹の怪獣がまともにやり合わない。これもまたお約束ではあるが、さすがに前作を観ているとやや厳しめの評価を下さざるを得ないだろうか。

『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』©2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

ところで、本作ではロシア人が重要なポジションを占めている。しばしばロシアがヤバめの悪者にされがちなアサイラム製アクションorパニック映画の中では、なかなか扱いのいい部類に入るだろう。

『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』©2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

文:知的風ハット

『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2021年12月放送

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『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』

宇宙からの飛行物体が北米の砂漠に墜落。それは30年以上前に打ち上げられた宇宙探査船で、実験動物として乗せられた猿のエイブラハムが生存していた。大気に触れて巨大化したエイブラハムは研究施設から脱走。さらに墜落地点で外宇宙物質に接触したトカゲも巨大生物に変身してしまう。

制作年: 2021
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