祝・設立25周年!「FOXサーチライト」作品がアート映画で賞レースを席巻する!(2/2)

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ライター:BANGER!!! 編集部
祝・設立25周年!「FOXサーチライト」作品がアート映画で賞レースを席巻する!(2/2)
潤沢な予算で大作を制作する大手映画会社とは違い、“インディペンデント”と呼ばれる、小規模映画を製作・配給する「FOXサーチライト・ピクチャーズ」。だが、『スラムドッグ$ミリオネア』(2008年)以降、アカデミー作品賞受賞作品を4作品制作している。配給・宣伝に関わるアソシエイト・ディレクター平山義成さんが、映画ファン、映画祭に愛される理由を伺った。

企画に惚れ込んこんだフィルムメーカー、監督や俳優が集まってくる

『(500)日のサマー』、『gifted/ギフテッド』などで知られるマーク・ウェブ監督

―FOXサーチライトが発掘した監督にはどんな方々がいらっしゃいますか?

『リトル・ミス・サンシャイン』ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督、『スラムドッグ$ミリオネア』ダニー・ボイル監督は、FOXサーチライトで長い間、映画を作っています。それと、デビュー作がFOXサーチライト作品という監督は多いかもしれませんね。『(500)日のサマー』のマーク・ウェブ監督、『サンキュー・スモーキング』ジェイソン・ライトマン監督などが、FOXサーチライトからデビューして世に羽ばたいていきました。常連のように見える監督はいますが、決して監督を囲い込んでいるということはありません。あくまで、監督と良好な関係だから、継続して仕事をしているだけだと思います。

―新しい監督を発掘できる理由は?

常に新しい才能に着目しているからだと思います。例えば、ジェイソン・ライトマン監督は、短編映画が注目されて、FOXサーチライトで長編を製作することになりました。『リトル・ミス・サンシャイン』のジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督は、(インディペンデント映画の祭典)サンダンス映画祭で発掘しました。少数精鋭ながら、新しい才能が生まれる場に足を運ぶことを生真面目にやっている結果だと思います。

ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督(『リトル・ミス・サンシャイン』、『ルビー・スパークス』、『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』)

―第90回アカデミー賞で、『シェイプ・オブ・ウォーター』が作品賞を受賞し、第91回では『女王陛下のお気に入り』が主演女優賞を受賞していますが、FOXサーチライト作品が賞レースで支持される理由は何なのでしょうか?

最初から狙っているということではないと思うのですが、唯一言える事があるとするならば、“今までに世の中になかったチャレンジングな企画をやり続けている”ことです。フィルムメーカーのアイデアを尊重し、そこにすばらしいスタッフや俳優が集まってきます。そして、その人たちのベストパフォーマンスを引き出せているからだと思います。『女王陛下のお気に入り』では、ヨルゴス・ランティモスにとっても初の監督賞ノミネート、オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズの3人の女優がノミネートを果たしていますし、それぞれのベストパフォーマンスを引き出せる企画を形にしていった結果だと思います。

『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ監督

-FOXサーチライトの中で興行的にヒットした作品を教えて下さい。

世界的には、『スラムドッグ$ミリオネア』ですね。日本では『ブラック・スワン』、『シェイプ・オブ・ウォーター』、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』がヒットしました。

-FOXサーチライトには未公開作品も多くあると思いますが、どういった基準で公開を決めているのでしょうか?

まずは、ビジネスとして成り立つ作品を公開していく必要があります。そして、FOXサーチライトの作品においても、全世界で配給権を持っている作品とそうでない作品があります。買付作品になると、一部の国でしか配給ができない場合があります。『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』、『スラムドッグ$ミリオネア』、『ツリー・オブ・ライフ』、『それでも夜は明ける』などの配給権は、北米ではFOXサーチライトでした。日本では20世紀フォックスが配給権を持っていなかったんです。

FOXサーチライト・マガジン(パンフレット)

-FOXサーチライトと言えば、雑誌のようなデザインの映画パンフレットが人気ですが、いつからこの形になったのでしょうか?

2014年のFOXサーチライト20周年のタイミングで、前年に改めてブランドを確立させるために、パンフレットを一新しようと考えました。スタジオのカラーは不変的なものなので、統一したフォーマットで、作品単体ではなくブランドのアピールに繋がるものを作りたいと思いました。リニューアル後のパンフレットは『女王陛下のお気に入り』で14冊目になるので、映画好きな方には認知されてきたのではないかと思います。

-パンフレットの構成やデザインでこだわっている点を教えて下さい。

パンフレットの前半は、作品の内容を濃く紹介しています。そして、後半はレギュラーのコーナーとして、FOXサーチライトとはどういうスタジオなのか、最新情報や作品の深掘りコラムを掲載しています。デザインは、アーカイブしていくことに喜びを感じるものにしています。リニューアル後は不動のメンバーで編集しています。

―今後のFOXサーチライト作品について教えて下さい。

日本での公開はこれから詰めていきますが、米国で2019年公開を予定している作品をいくつかご紹介させて頂きます。まずは、ニコラス・ホルト主演で、リリー・コリンズ共演の『ロード・オブ・ザ・リング』の原作者J・R・R・トールキンの若き日々を描いた『TOLKIEN(原題)』、そしてナチス時代を舞台にしたコメディタッチの感動作で、タイカ・ワイティティ(『マイティ・ソー バトルロイヤル』)が監督・出演、スカーレット・ヨハンソンとサム・ロックウェルが共演する『JOJO RABBIT(原題)』、ナタリー・ポートマンが宇宙から帰還した宇宙飛行士を演じる『LUCY IN THE SKY(原題)』、ギレルモ・デル・トロがプロデューサーを務め、スコット・クーパー(『クレイジー・ハート』)が監督するスーパーナチュラルホラー『ANTLERS(原題)』、『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンドの次回作『NOMADLAND(原題)』などの製作が進んでいます。

―最後に、FOXサーチライト作品を楽しみにしているファンにメッセージを頂けますか。

各作品が個性的な映画なので、宣伝担当者として面白さをどう伝えていくか悩ましいです。だからこそ、観た方の反応を大切にしており、皆さんの声を聞いて日々試行錯誤しています。皆さんの声は届いていますので、どんどん声を上げて下さい。これからもフィルムメーカーをできるだけ日本に招聘し、映画ファンと交流できるファンイベントを開催するよう、心がけていきます。これからもFOXサーチライト作品を楽しんで頂けると嬉しいです。

小予算でも良作を連発!設立25周年の「FOXサーチライト」作品が賞賛される理由とは?(1/2)

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