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午後ローで28日(木)放送! ステイサム×ジェニロペ『PARKER/パーカー』は名匠T・ハックフォードの職人芸サスペンス

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ライター:#齋藤敦子
午後ローで28日(木)放送! ステイサム×ジェニロペ『PARKER/パーカー』は名匠T・ハックフォードの職人芸サスペンス
『PARKER/パーカー』(C) 2012 INCENTIVE FILM PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

プロの職人芸が光る、本格犯罪サスペンス映画

“仕事は完璧に、無駄な殺しはせず、落とし前はきっちり”

『PARKER/パーカー』(2013年)は、自分に課した掟を律儀に守る非情なプロの犯罪者パーカーが、自分を裏切った仲間たちに復讐するまでを描いた犯罪サスペンス映画だ。

『PARKER/パーカー』(C) 2012 INCENTIVE FILM PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

原作はエドガー賞を3度受賞したベストセラー作家ドナルド・E・ウェストレイクがリチャード・スターク名義で書いた「悪党パーカー」シリーズの<地獄の分け前>。シリーズはこれまで何度も映画化されており、リー・マーヴィン、ロバート・デュバル、メル・ギブソンら、タフで強面の男臭い俳優が悪党パーカーを演じてきた。

今回のパーカーは、水泳の飛び込み選手からモデルを経て映画界に進出し、いまや『エクスペンダブルズ』シリーズ(2010年~)や『ワイルド・スピード』シリーズ(2013年より参加)で活躍する肉体派俳優、ジェイソン・ステイサム。共演は世界の歌姫ジェニファー・ロペス。『ファンタスティック・フォー』(2005年/2007年)の岩男ザ・シング役のマイケル・チクリスや、『ブルージャスミン』のボビー・カナヴェイルらが脇を固める。他に名優ニック・ノルティや、ブロードウェイ・ミュージカルの名女優パティ・ルポーンが友情出演。

『PARKER/パーカー』(C) 2012 INCENTIVE FILM PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

では、ざっとあらすじを。愛妻クレア(エマ・ブース)の父で旧友ハーレー(ニック・ノルティ)の持ち込んだ話に乗って、メランダー(マイケル・チクリス)ら新顔の仲間4人とオハイオ州のステート・フェア(収穫祭)の売上金を強奪したパーカー。だが、4人組は奪った金を元手に、さらなる強盗をもくろんでおり、話に乗らないパーカーを撃って逃走する。運よく通りかかった農家のトラックに助けられたパーカーは、最後に耳にした強盗計画から4人組の行方を割り出し、落とし前をつけるためにフロリダ州パームビーチへ。そこで高級物件を扱う不動産屋レスリー(ジェニファー・ロペス)に会い、4人組の隠れ家を割り出すが……。

『PARKER/パーカー』(C) 2012 INCENTIVE FILM PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

きっちり演出、しっかりB級! 名匠ハックフォードの職人芸

本作の見どころは何といっても、名匠テイラー・ハックフォードの職人芸。その見事な演出力は、牧師に扮した(髪の毛があるので一瞬誰だかわからない)ジェイソン・ステイサムが現れるオープニングから、ステート・フェアのさまざまな催しを見せつつ、売上金を奪って逃走するまでを一気呵成に見せる最初の強盗場面から発揮されている。

『PARKER/パーカー』(C) 2012 INCENTIVE FILM PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ハックフォードといえば、第55回アカデミー賞で2部門受賞の『愛と青春の旅だち』(1982年)だが、当時はリチャード・ギアのファンでもなく、映画にあまり感心しなかった私は(まず“愛と青春の…”という題名がイヤ)、その後、ほとんど興味を持てずに来た。彼を見直すきっかけになったのは、ジェイミー・フォックスが第77回アカデミー賞主演男優賞を受賞した『Ray/レイ』(2004年)あたりから。彼のフィルモグラフィーを調べてみると、音楽を中心にした、ある種のテイストがはっきり見てとれるし、私の大好きなヘレン・ミレンが妻だと知ったことも大きい(あんないい女が惚れるなら、きっといい男に違いない、と)。

『PARKER/パーカー』(C) 2012 INCENTIVE FILM PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

さすがベテランと思うのは、描くべき部分と省略すべき部分を心得て、テンポよく終盤まで引っ張っていくところ。脇役のキャラの立て方がよく、隅々まで気を抜いていないところ。全体をB級テイストに仕上げているところ、だろうか。パーカーは、裏切った者にも助けてくれた者にもきっちりペイバックする律儀な男だが、ハックフォードの演出も彼に劣らずきっちりしている。

『PARKER/パーカー』(C) 2012 INCENTIVE FILM PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ミステリー小説業界では、よく古典的名作を指して“本格”という言葉が使われるが、『PARKER/パーカー』などは、さしずめ本格B級犯罪サスペンス映画と呼ぶべき作品かもしれない。銃撃戦やカーチェイスで、ど派手に盛り上げない、玄人好みのアクション映画である。

『PARKER/パーカー』(C) 2012 INCENTIVE FILM PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

文:齋藤敦子

『PARKER/パーカー』はテレビ東京「午後のロードショー」で2021年10月28日(木)13時40分より放送、CS映画専門チャンネル ムービープラスで2021年10月吹替放送、11月字幕吹替 放送

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『PARKER/パーカー』

自らに課した3つのルール、(1)ターゲットは汚い金、(2)悪い奴しか殺さない、(3)仕事は完璧に美しく――に従い、闇社会を冷酷非道に生き抜くプロの天才強盗パーカーは、相棒ハーリーの呼びかけで集められたメランダーら4人と組み、大金が集まるオハイオ・ステート・フェアを襲撃し、大金を手にするが、仲間の不用意な行動で市民を死なせてしまう。

怒ったパーカーはメランダーからの次の誘いを断る。それに激怒したメンバー達は、パーカーを銃撃、分け前をもらえないまま瀕死の状態で道端に置き去りにされてしまう……。通りがかりの家族に助けられ、なんとか一命を取り留めたパーカーは、彼らに報復すべく、次の目的地であるパームビーチへと乗り込む。

制作年: 2013
監督:
出演: