ガイリチ&ステイサムがネクストレベルに到達!『キャッシュトラック』は超ストイックな重厚クライムサスペンス

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ライター:BANGER!!! 編集部
ガイリチ&ステイサムがネクストレベルに到達!『キャッシュトラック』は超ストイックな重厚クライムサスペンス
『キャッシュトラック』©2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)、『スナッチ』(2000年)、『リボルバー』(2005年)で相性の良さを証明してきたガイ・リッチー監督とジェイソン・ステイサムが、ひさしぶりにタッグを組んだ。ステイサムがあからさまに“謎多き男”を演じる『キャッシュトラック』は、ネタバレ厳禁の超重厚なクライム・サスペンスに仕上がっている。

『キャッシュトラック』©2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

ネタバレ厳禁! ずっしり重いステイサム劇場

本作のあらすじを説明すると、無職のステイサムが現金輸送専門の武装警備会社に入社するも、ソッコーで強盗に襲われてしまう。が、ワルどもを異常な手際の良さでパパッと瞬殺したステイサムは、同僚たちからヒーロー扱いされる。しかし、数カ月後に襲ってきた強盗たちは、ステイサムの顔を見るなり慌てて逃げ出してしまった。さすがの同僚たちも「こいつ、なんか怪しくね……?」と引きはじめた裏では、凶悪な強盗集団がブラック・フライデーを狙った大規模強奪計画を練っていた……といったところか。

『キャッシュトラック』©2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

プロットが似た作品を挙げたりしてもネタバレになるので、原題の『Wrath of Man』(人の怒り)がヒント、とだけ言っておこう。ちなみに本作は2004年のフランス映画『ブルー・レクイエム』のリメイクなのだが、リッチー監督とステイサムが組めば物語自体の印象もガラリと変わるというもの。しかも、終始ムッツリなステイサムはいつもどおりとして、つい数年前にディズニー映画を手がけたばかりの監督とは思えないバイオレンス描写など、過去のタッグ作にはなかった重厚な演出にじわじわと期待値が高まっていく。

『キャッシュトラック』©2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

就職面接を受けるステイサムにニヤニヤしつつ、彼の目的は何なのか? 誰かを探しているのか? どこでスキルを身に着けたのか? などなど、徐々に事実が明かされていく過程がしっかり作り込まれているので、むしろこのまま明かされずに3時間くらいステイサム劇場を見ていたい……という気分になるファンもいるだろう。バイオレンス~アクションにありがちな「なんで誰も通報しないんだよ」みたいなツッコミどころもなく、ゴツゴツした人たちの終始シリアスなやり取りからは、リッチー監督の「今までとは違うものを」という本気度が伝わってくる。

『キャッシュトラック』©2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

C・ノーランを意識? 終始重厚なクライム・サスペンス

リッチー作品のトレードマークでもある“コックニー訛り全開な田舎チンピラ”や“ガチャガチャしたスピーディーな編集”はかなり控えめなので、本作はいわゆる“みんなが待っていた”リッチー×ステイサム映画ではないかもしれない。しかし、マイケル・マン監督の名作『ヒート』(1995年)には劣るものの銃撃戦はスリリングだし、悪い人たちの上下関係描写などには日本のやくざ映画のような趣もある。さらに、クリストファー・ノーラン作品が頭をよぎる“ダーク”な演出を敷きつつ、ボケッとしていたら置いていかれるほどの複雑さはなく、視点や時系列を行き来しながらも物語自体は大きく章分けされ、チェスでもしているかのように理路整然としている。

『キャッシュトラック』©2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

ステイサム以外のキャスティングもバッチリで、どんどん親父さんに似てきているスコット・イーストウッドはスカーフェイスな悪役がハマりすぎていて心配になるレベル。Netflix『マインドハンター』(2017年~)でお馴染みのホルト・マッキャラニーは意外なほどの演技の幅広さを披露しているし、あのアンディ・ガルシアをある重要なポジションでチョイ役起用していたりするのは、リッチー監督の豊富な経験による好采配だろう。あと出オチ的な登場のラッパー、ポスト・マローンにはベスト・オブ・チンピラ賞を贈呈したい。

『キャッシュトラック』©2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

ステイサム目線、チンピラ目線、強盗目線で描かれる、安っぽい希望の光みたいなものは排除した、お先真っ暗な裏世界の仁義なき戦い。それでも不思議と気分は沈まないところが、リッチー監督×ステイサムのケミストリーなのかもしれない。こういう重厚な映画こそ大きなスクリーンで観て、久々の娑婆の空気だぜ……みたいな表情で劇場を後にしたいものだ。

『キャッシュトラック』©2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

『キャッシュトラック』は2021年10月8日(金)より新宿バルト9ほか全国公開

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『キャッシュトラック』

LAにある現金輸送専門の武装警備会社フォーティコ・セキュリティ社。日々、百貨店やカジノ、銀行などあらゆる場所から集められた現金を積んだ現金輸送車(キャッシュトラック)を運転するのは、特殊な訓練を受け厳しい試験をくぐり抜けた強者の警備員たち。ヨーロッパの別の警備会社の倒産で職を失くし、フォーティコに雇われた新人パトリック・ヒル、通称“H”。同僚の“ブレット”の指導のもと、試験をぎりぎりで合格した彼は周りから特に気に留められる存在ではなかった。

しかし、ある日彼の乗ったトラックが強盗に襲われ仲間が人質に取られた時、驚くほど高い戦闘スキルでそれを阻止する。Hによって皆殺しにされた強盗への過剰防衛を疑うFBIも捜査に動くが、フォーティコの社長は仲間と現金を守り切った彼を英雄扱いする。Hはフォーティコでの地位を徐々に確立していくが、その数カ月後、新たな強盗によってHの乗るトラックがまた襲われる。しかし、今回は彼の顔を見た犯人たちがなぜか金も奪わずに逃げ出してしまった。

同僚のブレットやデイヴは彼が一体何者なのかを疑い始め、Hの周囲は疑心暗鬼に陥る。そんな中、感謝祭の次の金曜日、全米で最も現金が動く日とも称される“ブラック・フライデー”にフォーティコ社に集められる約1億8,000万ドルの大金を狙った緻密な強奪計画が、静かに進行していた……。

制作年: 2021
監督:
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