『ブラック・ウィドウ』 アベンジャーズになった“人間兵器”ナターシャと疑似家族の愛、過去を精算する闘い!

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ライター:杉山すぴ豊
『ブラック・ウィドウ』 アベンジャーズになった“人間兵器”ナターシャと疑似家族の愛、過去を精算する闘い!
『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

ナターシャが過去を精算する物語

「待ちに待った」という言葉が、これほど似合う映画はないでしょう。その期待に十分応えてくれる作品でした。歴代MCU映画の中でも上位に来る出来栄えです。

『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

映画『ブラック・ウィドウ』は、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)で、あの衝撃の選択をしたブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフの知られざる冒険を描きます。物語は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)から『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)までの空白期間、ナターシャはなにをしていたのか? なにをしなければならなかったのか? です。

『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

ネタバレを避けるため極力ストーリーの詳細については触れませんが、今回、ナターシャの身にふりかかるトラブルは、彼女がアベンジャーズに参加する以前の出来事と大きく関わってきます。従って、この事件を解決することはナターシャ自身の過去を清算することでもあるのです。

『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

そしてもう一つ。アベンジャーズに入る前に、彼女には“家族“がいました。ある大国が諜報活動をするため作った“疑似家族”です。この家族をめぐる物語が軸になっています。

『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

アベンジャーズのヘルプなし! まるで『007』なスパイ・アクション

うまいなと思うのは、『シビル・ウォー』でアベンジャーズが分裂状態にあり、ナターシャも当局から追われている身なので、彼女の応援をするヒーローがいないのです。そして先ほど書いたように彼女の過去や家族に由来する戦いだから、極めてナターシャの私闘に近いわけです。ブラック・ウィドウのソロ映画として描くには十分なお膳立てでしょう。最後の最後でキャプテン・アメリカやアイアンマンが応援に駆け付けたら、彼らの映画になっちゃいますからね。

『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

しかし、スケールの小さな話かというとそんなことはない。ナターシャが戦う相手は、世界を裏で操ろうと企む悪の組織です。実はナターシャも、この組織によって作られた“人間兵器”であり、だから自分と同じような人間(女性)がもう生まれなくてすむように彼女は戦う。このへんは石ノ森章太郎先生の「サイボーグ009」的展開です。そして劇中、『007/ムーンレイカー』(1979年)が引用されますが、全体的に『007』っぽい。要は様々なアクションの見せ場があり、クライマックスは悪の組織の大要塞での大団円バトルとなる。

『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

そう、MCUにおけるナターシャは超人ではなく普通の人間ですから、超能力やスーパーメカが飛び交うSF活劇というよりもスパイ・アクションの方が似合う。(『007』っぽいと言えば『007/慰めの報酬』[2008年]のオルガ・キュリレンコが意外な役で登場します!)

『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

もうひとりのブラック・ウィドウ、フローレンス・ピューが最高!

さて、僕らはもちろんナターシャの活躍を楽しみに観に行くわけで、ナターシャは本当に魅力的なのですが、ちょっと“浮気”してしまうぐらい素敵な人物が登場します。それがフローレンス・ピュー演じる、もう一人の“ブラック・ウィドウ”、エレーナ・ベロワです。

『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

エレーナはナターシャの“疑似家族”における妹ですが、今回この姉妹が大活躍します。エレーナはサポート・キャラというより、もう一人の主役。そしてエレーナは典型的な生意気な妹キャラなのです。だから、この2人の姉妹トークがとにかく楽しい。

『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

特に、エレーナがナターシャの“あること”をディスるシーンは爆笑ものです。本作で描かれる事件は、『アベンジャーズ』(2012年)でロキがナターシャの血に塗られた過去の一つとして言及する「ドレイコフの娘」が発端になっています。ここで、9年前のあの映画のセリフがつながり、そしてこれからのMCUへとつながる伏線がちゃんと盛り込まれています。MCUの構成力に改めて脱帽しました。

『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

くりかえしますが、この作品は『エンドゲーム』の前の時間を描くので、僕らはこの後のナターシャの運命を知っています。観終わって思うのは、本作の戦いで過去を清算でき、かつての家族と絆をとりもどしたからこそ、彼女はなんの未練もなく、あの『エンドゲーム』での決断が出来たのではないでしょうか?

『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

『エンドゲーム』では彼女の運命に涙しましたが、ちょっと救われた気持ちになりました。エレーナ/フローレンス・ピューのMCU入りを心から歓迎しながら、ナターシャ/スカーレット・ヨハンソンに改めてありがとうと言いたい。最強かつ最高の姉妹に、ぜひ会ってください。

『ブラック・ウィドウ』©Marvel Studios 2021

文:杉山すぴ豊

『ブラック・ウィドウ』は2021年7月8日(木)より劇場公開、7月9日(金)よりディズニープラス プレミア アクセス公開

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『ブラック・ウィドウ』

ブラック・ウィドウの前に突如現れた“妹”エレーナ。姉妹は、自分たちを暗殺者に育てたスパイ組織レッドルームの秘密を知ったことで命を狙われる。唯一の味方は、かつて組織が生み出した“偽りの家族”だけ。だが、この家族の再会によって、レッドルームの恐るべき陰謀が動きだす! ブラック・ウィドウの作られた過去との戦いが、世界の命運を握る。

制作年: 2020
監督:
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