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TV初!イーストウッド主演『荒鷲の要塞』ノーカット吹替版を放送!! スパイアクションさながらの豪快な戦争映画

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ライター:#高橋ターヤン
TV初!イーストウッド主演『荒鷲の要塞』ノーカット吹替版を放送!! スパイアクションさながらの豪快な戦争映画
『荒鷲の要塞』© 1968 Turner Entertainment Co. All rights reserved.

R・バートン&C・イーストウッド共演の戦争映画の傑作

「女王陛下のユリシーズ号」や「ナヴァロンの要塞」(『ナバロンの要塞』として映画化[1961年])で知られる冒険小説家、アリステア・マクリーン。そのマクリーンが映画用にオリジナル脚本を執筆し、ブライアン・G・ハットンが監督、リチャード・バートンとクリント・イーストウッドの共演で制作された戦争映画の傑作が、『荒鷲の要塞』(1968年)だ。

王道スパイ映画風に始まり、アクション全開の脱出劇へ

ドイツ軍がヨーロッパを席巻していた第二次世界大戦中期。連合軍の重要機密を持つカーナビ―米将軍が搭乗機の事故によりドイツ軍の捕虜となり、アルプス山脈の断崖に築かれた要塞「鷲の城」に幽閉されてしまう。ドイツ山岳師団が守る難攻不落の要塞からカーナビー将軍を救うため、イギリス軍情報部は歴戦の勇士スミス少佐率いる情報部員と、アメリカ陸軍レンジャー部隊のシェイファー中尉の7名の潜入チームを編成。チームはドイツ軍の軍装を身に着け、近づくにはロープウェイしか手段の無い「鷲の城」への潜入を試みるのだが……。

『荒鷲の要塞』© 1968 Turner Entertainment Co. All rights reserved.

見えない内通者を欺きながら「鷲の城」への潜入を図る前半は、王道のスパイ映画的な展開であり、内通者をあぶりだし、潜入の真の目的を達成してからの脱出劇はアクションに次ぐアクション。この流れは、マクリーン原作の大傑作『ナバロンの要塞』と同じスタイルである。そんな痛快アクションシーンを演出するハットン監督は、後の戦争映画に多大なる影響を与えた大傑作戦争アクション『戦略大作戦』(1970年)を撮った本格派。緊迫感に満ちた室内での銃撃戦から、ロープウェイ上の格闘、疾走感あふれる野外でのカーチェイスまで、まったく飽きさせない。さらに勇壮な映画音楽といえばこの人、『素晴らしきヒコーキ野郎』(1965年)『空軍大戦略』(1969年)『ナバロンの嵐』(1978年)で知られるロン・グッドウィンによる高揚感あふれるメインテーマ。何から何まで最高の作品である。

第二次世界大戦の爪痕が色濃く残る中での撮影

主演のリチャード・バートンは、キャリア的に良作に恵まれていない時期だったため、反戦社会主義者でありながらヒロイズムあふれる戦争冒険活劇である本作に出演しなければならないジレンマがあり、さらに妻エリザベス・テイラーとの夫婦仲も上手くいっていない辛い時期だった。そのためアルコール依存の状態となっていて、撮影現場でも酔っている姿を目撃されている(そう聞いてから観ると顔は浮腫んでおり、目もトロンとしているように思えてしまう)。

『荒鷲の要塞』© 1968 Turner Entertainment Co. All rights reserved.

それによってバートンのアクションは少なくなり、補う形でダブル主演のクリント・イーストウッドが八面六臂の大活躍を見せてくれるのだ。特にMP-40を二丁拳銃のように使って敵をなぎ倒すシーンは、本作を初見した小学生のぼくでも「さすがにそれは無理やろ……」と思いながらも、その格好良さにシビれたものだ。

ちなみに本作は1968年公開の作品であり、まだまだ第二次世界大戦で使用した車輛や航空機などが現役で使用できていた時代。劇中でも本物のキューベルワーゲンが何台も破壊されるなど、現在の感覚で言っても贅沢。そして車輛や兵器だけでなく、劇中「鷲の城」にヒロインのメリーを潜入させる潜入諜報員ハイジを演じたイングリッド・ピットはポーランド系ユダヤ人で、第二次世界大戦中は家族とともにシュトゥットホーフ強制収容所に収容されており、本作撮影時に周囲をナチスの軍服を着た俳優たちに囲まれて恐怖の記憶が蘇ったという(リチャード・バートンも空軍パイロットとして従軍していた)。

『荒鷲の要塞』© 1968 Turner Entertainment Co. All rights reserved.

1968年興収16位の大ヒット作をノーカット吹替版で!

そんな戦争の記憶が色濃く残る時代に製作された本作は、公開されるや大ヒットを記録。2,100万ドル(2020年に換算すると200億円以上)を稼ぎ出して1968年の世界興行成績で16位となった。この大ヒットによって配給のメトロ・ゴールドウィン・メイヤー社は、同じハットン監督とイーストウッドのコンビで大傑作『戦略大作戦』を制作することになるのだが、こちらはまた機会があれば別稿で触れられればと思う。

『荒鷲の要塞』
価格:Blu-ray 2,619円(税込)/DVD 1,572円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
© 1968 Turner Entertainment Co. All rights reserved.

さて、本作は2時間半を超える長尺映画だ。そのため、地上波で放送される際には多くのシーンが削られた上で吹替が付けられ放映されていたのだが、このたびCS映画専門チャンネル ムービープラスでは、地上波放送時にカットされた30分に吹替を追録。なんと5月に164分ノーカット吹替え版として放送する。こちらも絶対に見逃せない。

文:高橋ターヤン

『荒鷲の要塞【ムービープラス吹替追録版】』(左から)星野貴紀、多田野曜平

『荒鷲の要塞』【ムービープラス吹替追録版】はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2021年5月放送。1979年に地上波での放送当時山田康雄が務めていたクリント・イーストウッドを多田野曜平が、木村幌が務めていたリチャード・バートンを星野貴紀が、新たに追録シーンの収録!ノーカット版としてTV初放送。

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『荒鷲の要塞』【ムービープラス吹替追録版】

第二次世界大戦で連合軍がようやく反撃に移ろうとしている頃。“鷲の城”と呼ばれる独軍の情報本部に、米国のカーナビー将軍が捕われの身となっていた。ジョン・スミスを始めとする6人の英軍情報部の諜報員と、米国レンジャー部隊シェイファー中尉による決死の潜入・救出作戦が始まった!

制作年: 1968
監督:
出演:
吹替: