尾上松也が撮影秘話(と熱烈アメコミ映画愛)を語る! 映画『すくってごらん』 ももクロ・百田夏菜子と初共演

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ライター:SYO
尾上松也が撮影秘話(と熱烈アメコミ映画愛)を語る! 映画『すくってごらん』 ももクロ・百田夏菜子と初共演
尾上松也氏

尾上松也、初主演映画(とアメコミ映画愛)を熱弁

音楽、色彩、和テイスト、そして金魚すくい……。大谷紀子の漫画を実写映画化した『すくってごらん』(2021年3月12日[金]公開)は、多種多彩な要素が煌めくエンターテインメントだ。

『すくってごらん』©️2020映画「すくってごらん」製作委員会 ©️大谷紀子/講談社

些細な出来事で、田舎町に左遷されてしまったエリート銀行員の香芝(尾上松也)。彼はそこで、幻想的な雰囲気をまとった金魚すくい店の店主・吉乃(百田夏菜子)と出会い、惹かれていく。そこに個性豊かな住人たちが絡み、事態は思わぬ方向へ……。

『すくってごらん』©️2020映画「すくってごらん」製作委員会 ©️大谷紀子/講談社

『ボクは坊さん。』(2015年)の真壁幸紀監督が、色鮮やかで摩訶不思議な世界観を構築すれば、映画初主演となる松也が動も静も何でもござれの熱演で魅せ、百田が涼やかな色香で観る者を惑わす。そして響き渡るは、歌にも定評のあるキャストたちの美声――。『すくってごらん』は、目と耳を絶え間なく刺激し、ワンダーな映像体験へと誘っていく。

『すくってごらん』©️2020映画「すくってごらん」製作委員会 ©️大谷紀子/講談社

百聞は一見に如かずを地でいく本作に、主演の松也はいかにして挑んでいったのか。歌舞伎にミュージカル、テレビドラマと多方面で活躍する彼に、「観たことのない映画の作り方」を語ってもらった。

さらに後半では、アメコミ映画好きの松也に2021年以降の期待作についてもインタビュー。愛がほとばしる熱烈トークも併せてお楽しみいただきたい。

エンターテインメントの根本を体現した作品

―『すくってごらん』はこれまでになかったタイプの映画ですが、松也さんご自身はオファーを受けられた際、どういった部分に興味を抱いたのでしょう?

もっとも惹かれたのは、挑戦的でトリッキーな作品を形にしようとする真壁監督と制作の皆さんのチャレンジ精神かもしれません。

お話をいただいた際に、原作と脚本もそれぞれ読ませていただきましたが、「金魚すくい」をテーマにした今までなかったお話に、原作にはない“歌”という要素を加えると伺って、正直最初は想像がつきませんでした。音楽もまだない状態でしたし。

ただ、明確に「面白さ」がわからない状態だったからこそ、皆さんの心意気に引っ張られたし、僕を必要としてくださるのならば一緒にその船に乗り込みたいと思いました。

―テキストの状態だと、なかなか想像しえない部分もありますよね。

いやもう本当にまったく見えなくて(苦笑)。「ここで曲が入って、なんとなくこんなメロディで……」ということは伺ったのですが、現場に入る前にはイメージできていませんでした。もちろんラップのシーンやダンサーさんとのシーンなど、東京でリハーサルをしてから撮影現場の奈良に向かったのですが、その時点ではまだピンと来ていなかった(笑)。

ですが、そのぶん現場でどんどんイメージが繋がっていく瞬間は、演じていても爽快感がありました。真壁監督ともよくお話しをたのですが、ひょっとしたらくだらないと感じてしまうようなことを一所懸命にやることが、エンターテインメントの根本だと思うんです。そういう意味で『すくってごらん』は、エンタメの真髄を突いた作品といえるのではないかと。

―「現場で発見する」アプローチで挑むにあたって、何を拠り所に演じていったのでしょう。

登場人物の“想い”ですね。想い、心というものが、作品の中できちっとブレないように心がけました。特に香芝に関しては突然ラップを始めたり歌いだしたりしますが、演じている本人としてはいたく自然な、普通のことだと思って演じていました。

―役の行動に“必然性”をもたらす、というような考え方ですね。

はい。観る方にとっては滑稽に映ってもいいのですが、演じている僕らが「滑稽だ」と思ってはいけない。滑稽さを「見せる」という意識になってしまうと、それだけで終わってしまうじゃないですか。そうではなく、役をきちんと演じるために、この“リアルとフィクションの狭間”を追求していきましたね。

ラストシーンは撮影の順番的にも最後でしたので、そこに至るまでに、香芝の気持ちや行動がどう腑に落ちるように作っていくか――。これは真壁監督とも現場で都度感じたことを話し合い、共有して、共通認識として持っていけるようにしていきました。

現場で感じたことを、リアルタイムで役に反映

―なるほど、テクニカルな部分というよりは、メンタルの部分をじっくり話し込んで作っていったのですね。

そうですね。テクニカルな部分は、たとえばダンスシーンやラップシーンなどの“確認”で済むので、役のモチベーションというか、“腹”をどう作っていくかを話し合いましょう、という方向性は最初から一致していました。

―現場で感じたことを吸い上げていく作り方ですと、共演される方との“呼吸”で、また新たなインスピレーションが生まれそうですね。

それはありますね。実際に現場でお芝居を合わせてみることで、想定していたものとは違う感情が生まれてきたり、それによって歌い方が変わってきたり……。百田さん演じる吉乃に想いを伝えるシーンなどは、あえて何も決めずに、その場で生まれた“感覚”を皆で共有して作っていきました。

『すくってごらん』©️2020映画「すくってごらん」製作委員会 ©️大谷紀子/講談社

―お話を伺っていると、皆さんが相当、能動的に携わる現場だったんだなということが伝わってきます。

作品自体が、どんなものになるのか予想できなかったのも大きいと思います。映画やドラマの多くは、脚本を読んだ際にそこに至るまでの過程がある程度はイメージできるのですが、今回は真壁監督の頭の中で完成しているものを理解するためには、現場で体験するしかなかった。逆に凝り固まってしまっていたら、柔軟に対応できなかったと思います。

原作に対するアプローチも、僕は読み込んでいきましたが、百田さんには真壁監督から「あまり原作を読みすぎないようにしてほしい」とリクエストがあったそうです。もちろん原作を大切に扱い、常に意識はしているのですが、あくまでも映画『すくってごらん』の“居方”を重視するのだ、という意志はすごく伝わってきました。

そういう現場だったからこそ、僕もその場で感じたことをどんどん役に盛り込んで、皆さんと一緒にリアルタイムで香芝という役を作っていった感覚はありますね。

24時間、作品のことだけを考えられる環境だった

―松也さんは本作で映画初主演を飾り、劇映画のご出演自体も約10年ぶりです。参加したことで、「演じる」ことへの意識は変わりましたか?

演じる側としては、歌でもモノローグでも、ついつい「こうしたらこう見える」と打算的に考えがちですが、本作はそうした「演技プラン」が全く通用しないものでした。そのため、最初は「どうしたらいいのだろう」と大変だった面もあります。

でも、自分がどんなに真面目に突き詰めて作ったとしても、それがどう観てくださる方に伝わるのかはお客様次第ですし、意図通りにいかないこともありますよね。ですがきっと、それがものづくりの面白さだと思うんです。

その中で作り手がブレずにやっていくためには、“軸”の置き所が大切なんだと気づかされました。軸をどこに置くかで、全く違った作品になる。本作のように、多数の要素を扱った作品を経験したことで、得られた発見です。

『すくってごらん』©️2020映画「すくってごらん」製作委員会 ©️大谷紀子/講談社

―観客の“受け取る自由”を担保しつつも、作り手としては必然性や説得力を持って、きちっと提示する。ある種のバランス感覚ですね。

そういった感覚に至ったのは、今回の撮影方式もあったと思います。1ヶ月くらい奈良にいて、ずっと同じメンバーと行動して、時間が空いたり早く撮影が終わったりしたらみんなでご飯を食べに行って……。舞台を作っているときの密度に似ていましたね。

24時間『すくってごらん』のことを考えて全員が過ごすという環境に身を置き、「いま、作品を作ってるんだ」という一体感と高揚感を抱いていました。ものづくりにどっぷり浸かることのできる、贅沢な時間でしたね。

アメコミ映画好きの松也に聞く、2021年の期待作

―松也さんといえば、大のアメコミ映画好きとしても知られています。2021年はMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の新作も多数控えていますが、心境はいかがですか?

実はいま、あえて『ワンダヴィジョン』(2020年~)を観ずにとってあるんですよ。

―それはなぜでしょう?

リアルタイムで観ると、次のエピソードが更新されるまで1週間待たなくてはならない。あれがつらくて……(笑)。とても話題になっていますし、僕自身も楽しみにしていたからこそ、完結したら一気見しようとぐっと堪えています。

尾上松也

―配信開始日に全話アップのスタイルではないからこそ、悩ましいですね。

唯一追いかけてしまっているのが『マンダロリアン』(2019年~)ですね。シーズン2も最高でした!

これは『スター・ウォーズ』シリーズですが、アメコミ関係だと『ブラック・ウィドウ』(2021年4月29日[木・祝]公開)や『ヴェノム』の続編、『スパイダーマン』に『バットマン』の新作……今後も続々とありますよね。気になるものだらけで困っちゃいます。

いやぁ、でもまだまだ続く『アベンジャーズ』シリーズ(2012年~)が今後どうなっていくのか……。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)でファルコンがキャプテン・アメリカから盾(シールド)を受け継ぎましたが、その後が観たいですね。

―『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は、3月19日から配信開始されますね。

もうすぐじゃないですか! これは『ワンダヴィジョン』を急いで観ないといけないですね(笑)。僕はキャプテン・アメリカが大好きなので、彼の描写が少しでも入っていたらと想像するとワクワクします。『エンドゲーム』で描かれなかった部分もありますしね。

それから、アベンジャーズの次のリーダーが誰になるのか……。アイアンマンもキャプテン・アメリカもいない中で、ソーがトップにならなければいけないけど、地球にいなさそうだし(笑)。

―ソーといえば『マイティ・ソー/ラブ&サンダー』(原題:2022年公開予定)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』(原題:2023年公開予定)が控えていますね。

それらも期待しています。リーダー候補だと、キャプテン・マーベルもいますね。MCUはどんどん広がっていくので、無限に楽しめます。僕も話が止まりません(笑)。

取材・文:SYO
撮影:町田千秋

『すくってごらん』は2021年3月12日(金)より全国公開

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『すくってごらん』

大手メガバンクのエリート銀行員・香芝誠は、些細な出来事がきっかけで左遷され、荒んだ気持ちを抱えて東京本店から片田舎の町へやってきた。そこで偶然かつ運命的に、金魚すくいの店を営む美女・吉乃と出会い、一目ぼれをする。持ち前のネガティブな性格と左遷のショックから、香芝は心を閉ざし仕事だけを生きがいにしようと心に決めながらも、吉乃の事が頭から離れない。何とかお近づきになろうとするが、秘密を抱える吉乃の心もまた閉ざされたままだった。果たして、香芝は金魚のように彼女の心もすくうことはできるのか―?

制作年: 2021
監督:
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