BL×ホラーかと思いきや!?『ダニエル』はシュワちゃんとティム・ロビンス&スーザン・サランドンの息子たち競演の青春妄想スリラー

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ライター:野中モモ
BL×ホラーかと思いきや!?『ダニエル』はシュワちゃんとティム・ロビンス&スーザン・サランドンの息子たち競演の青春妄想スリラー
『ダニエル』©2019 DANIEL FILM INC. ALL RIGHTS RESERVED.

かつて“封印”したはずのイマジナリーフレンドが再び現れ……

『ダニエル』の原題は『Daniel isn’t Real(ダニエルはリアルじゃない)』。ダニエルは、主人公の青年ルークにしか見えない、実体を持たない存在だということがはっきりしているイマジナリーフレンドだ。しかし、観客の私たちはスクリーン上でアクターが演じるダニエルの姿をしっかり目にするし、物語のうえで彼が(実体はなくとも)存在する理由には、さまざまな可能性がある。しかもこれはホラー映画。作りものとしての映画の表現の面白さを、わかりやすく見せることができる構えだ。

『ダニエル』©2019 DANIEL FILM INC. ALL RIGHTS RESERVED.

ある日、家を抜け出した幼い少年ルークは、陰惨な銃乱射事件が起こったあとの現場に出くわしてしまう。そこで出会ったのが謎の少年ダニエル。父親が家を去り、不安定な母親とふたりで暮らすルークにとって、ダニエルは大の親友となった。ただしダニエルの姿が見えるのはルークだけ。そうして少年たちは日々なかよく遊んで過ごすのだが、ある出来事をきっかけにルークはダニエルを「封印」する。

『ダニエル』©2019 DANIEL FILM INC. ALL RIGHTS RESERVED.

時は流れ、大学生になったルークは生家を離れて寮生活を送っているものの、おとなしい性格ゆえにあまり周囲に馴染めていない。母親も最近はだいぶ精神状態が悪そうだ。心配して一時帰省したルークの前に、幼い日のイマジナリーフレンドだったダニエルが青年に成長した姿で現れる。いつでも傍らにいるダニエルのアドバイスを得て、大胆な行動に出られるようになったルークは、アーティスト志望のキャシー(サッシャ・レイン)と出会って急接近。苦しい毎日に笑顔が戻ったのも束の間、次第にダニエルはルークを支配しようと不穏な動きに出るのだった。

『ダニエル』©2019 DANIEL FILM INC. ALL RIGHTS RESERVED.

まさに超・セレブ! な二世俳優ふたりの浮世離れした佇まいが怪しさを促進

ルーク役のマイルズ・ロビンスは、『ショーシャンクの空に』(1994年)のティム・ロビンス、『テルマ&ルイーズ』(1991年)のスーザン・サランドンという、ハリウッド映画史に残るような有名アクターふたりの息子である。現在28歳とのことだが、愛嬌のあるベビーフェイスで、たしかに父親の面影を感じさせる。

『ダニエル』©2019 DANIEL FILM INC. ALL RIGHTS RESERVED.

ダニエルを演じるのはパトリック・シュワルツェネッガー。父親は言わずと知れたアクション・スターで元カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガー、母親はジャーナリストでジョン・F・ケネディの姪にあたるマリア・シュライバー。はじめはボディビルダーとして世に出た筋肉自慢の父親とはまた違った路線の、細長くシュッとしたハンサムである。

『ダニエル』©2019 DANIEL FILM INC. ALL RIGHTS RESERVED.

ふたりとも生まれからしてトップクラスに恵まれたセレブリティであり、庶民としては「素直に褒めるのもなんだかシャクだな」という気持ちがわいてこなくもないのだが、さすがに視線を浴び慣れている感じで、荒唐無稽なホラーの登場人物として様になっていた。動きも含めて見た目の漫画力が強いというか。

さすがのイライジャ・ウッド製作! 耽美なポスタービジュアルを裏切るグチャドロ描写

日本版のポスターはこのグッドルッキングなふたりを前に出し、ホラー色の薄い静かなイメージになっているが、のっけから死体が血まみれだし、身体がぐにゃっと歪んで内蔵が露出するようなエグい表現も含まれているので、苦手な人は要注意。グロに耐性があって漫画的なバカバカしさを愛せる人なら、「やりたいことを詰め込みました!」という欲張りな勢いを楽しむことができるだろう。キャンパスライフを送る主人公がアート系の女の子とお近づきになるということで、パーティや古本屋デートで披露される小ネタも笑顔を誘う。

『ダニエル』©2019 DANIEL FILM INC. ALL RIGHTS RESERVED.

監督・脚本のアダム・エジプト・モーティマーは、長編デビュー作『デッド・ガール』(2015年)が映画祭で評価され、Netflixで『ホリデイズ』(2016年)を監督。本作が長編監督3作目となる。共同脚本のブライアン・デリューは、2009年に刊行された本作の原作小説の著者であり、『デッド・ガール』にも携わっていたとのこと。製作はアクターとして成功を収めた後、プロデューサーとしても精力的に活動しているイライジャ・ウッド。今観ておくとのちのち面白いことになるかもしれない、フレッシュな才能が集結した作品だ。

『ダニエル』©2019 DANIEL FILM INC. ALL RIGHTS RESERVED.

文:野中モモ

『ダニエル』は2021年2月5日(金)より公開

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『ダニエル』

両親の離婚により孤独な幼少期を過ごしていたルーク。心に大きな傷を負った彼の拠り所は、ダニエルという名の、自分以外には見えない親友の存在だった。ある事件をきっかけに、そんな“空想上の親友”を封印したルークだったが、時が経ち不安と孤独に苛まれたことで長年の封印からダニエルを呼び起こす。カリスマ性に溢れ妖しくも美しい魅惑的なダニエルは、孤独なルークにとって再び“唯一の理解者”となっていく。やがてルークの生活は一変。すべてが順調に進み、いつしかダニエルを必要としなくなるが、ダニエルはそれを許さず、次第にルークを支配しようと動き出す―。

制作年: 2019
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