ヒューが『ラブソングができるまで』で歌ったあの曲を12歳で作曲したクライドが映画音楽を語る(2/2)

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ライター:森本康治
ヒューが『ラブソングができるまで』で歌ったあの曲を12歳で作曲したクライドが映画音楽を語る(2/2)
『Re:LIFE~リライフ~』オリジナル・サウンドトラック
音楽:クライド・ローレンス, コーディー・フィッツジェラルド
品番:RBCP-2966 定価:2,400円+税
発売元:Rambling RECORDS
最高にポップでソウルフルなニューアルバム「リヴィング・ルーム」をひっさげて、待望の初来日公演をブルーノート東京で行ったクライド&グレイシー兄妹のユニット<ローレンス>。彼の映画音楽家としての一面にクローズアップ。

「今の場面どう?」「音楽がよかった」では作曲家としていい仕事ではない⁉︎

―あなたは6歳の時、お父さんが脚本を担当した『デンジャラス・ビューティー』(2000)の挿入歌“Miss United States”を作曲し、その後『ラブソングができるまで』(2007)でヒュー・グラントが歌っていた“Dance With Me Tonight”を作曲しています。この曲はどのようにして出来上がったのでしょうか?

“Dance With Me Tonight”はクラシックな80年代風のバラードをイメージして書いたんだ。劇中の架空バンド<PoP!>には、既に大ヒット曲という設定の“PoP! Goes My Heart”があったから、僕の仕事はバンドのソング・カタログにバラードを加えることだった。<PoP!>の基になった80年代のバンドの曲をいろいろ聴いて研究して、キャッチーな曲を作ったつもりだよ。歌詞はエモーショナルかつシンプルに。最初に作ったデモは、もっと僕の普段のスタイルに近い70年代風の曲だったけど、スタジオでより80年代っぽい感じにしたんだ。

―『噂のモーガン夫妻』(2009)では“The Long Message”と“New York is Where I Live”を作曲していますね。これらの曲について教えてもらえますか?


“The Long Message”はメリル(サラ・ジェシカ・パーカー)が養子斡旋所の留守番電話に長いメッセージを入れる場面で流れるエモーショナルなピアノ・インスト曲。そして“New York is Where I Live”は、フランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」のような雰囲気を目指して作った曲。偉大なジャズ・シンガーのスティーヴ・タイレルに歌ってもらえたから、ニューヨークに帰ってきたモーガン夫妻の映像にマッチしたクールな曲に仕上がったと思う。この時の僕はまだ若かったから、ビッグバンドのオーケストレーションに携わったり、彼らの素晴らしい演奏をスタジオで見たりすることが出来たのは貴重な経験だったよ。

―このように映画の挿入歌の作曲経験はありましたが、『Re:LIFE~リライフ~』はあなたがスコア(劇伴)をフルに作曲した初めての作品でした。映画音楽の作曲で難しかったことや、この映画でお気に入りのシーンがあったら教えて下さい。

ワオ、いい質問だね!

ソングライターとして一定の経験を積んでから、映画音楽家として仕事をすることになった場合、最も難しいのは「(映画音楽は)自分のために曲を書くのではない」「映画の一場面は音楽のためにあるのではない」というのを理解することだった。映画音楽家はその作品に奉仕しなければならない。例えば誰かが映画を観て「今の場面どうだった?」「音楽がよかったね」と言っていたら、それは作曲家としていい仕事をしたとは言えないんだ。「あれはすごくいい場面だった」と言ってもらえるようにしなければならない。それを学べたのはとても有意義な経験だった。今もそのことを実践しているよ。
僕が好きなシーンは…キース(ヒュー・グラント)が前途有望な学生をマンハッタンで映画プロデューサーに紹介して、自分は(ハリウッドに復帰するのではなく)教師になるべきなんだと思い立って、バスでビンガムトンに戻る一連のシーンだね。あそこは音楽もいいものが書けたと思う。ほかにも“Manhattan Bound”というロックな曲を書いたシーンや、“Mark Funkerberg”というファンク調の曲を書いた、キースが学生たちのFacebookを閲覧するシーンも気に入っているよ。

 

―なるほど、キースがFacebookを見ている場面でファンクな曲だから、タイトルがマーク・ザッカーバーグをもじった「マーク・ファンカーバーグ」だったんですね

そのとおり!(笑)

というわけで、筆者の質問にとても気さくに答えてくれる言葉の端々から、クライドの才能と映画音楽への真摯な姿勢が伝わってくるインタビューだったように思う。グレイシーの歌が聴ける『噂のモーガン夫妻』、そしてクライドのボーカル曲とメロディアスなスコアが楽しめる『Re:LIFE~リライフ~』を、この機会に是非もう一度ご覧頂きたい。なお『Re:LIFE~リライフ~』については、筆者がライナーノーツを書かせて頂いたサウンドトラックアルバムもよろしくということで…。

 

インタビュー/文:森本康治(映画音楽ライター)
Special thanks to Clyde Lawrence

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