命がけで夢を追いかけた女性たちの物語!『パピチャ 未来へのランウェイ』が描く内戦下のアルジェリアの青春

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ライター:野中モモ
命がけで夢を追いかけた女性たちの物語!『パピチャ 未来へのランウェイ』が描く内戦下のアルジェリアの青春
『パピチャ 未来へのランウェイ』© 2019 HIGH SEA PRODUCTION - THE INK CONNECTION - TAYDA FILM - SCOPE PICTURES - TRIBUS P FILMS - JOUR2FETE - CREAMINAL - CALESON - CADC

内戦が激化するアルジェリアで夢を追いかけた女性たちの物語

学生寮を密かに抜け出して夜の街に繰り出す若い娘たち。わくわくしてしまう物語の幕開けだが、すぐにそれが本気で命の危険を伴う行為だということがわかり、ぞわっと寒気がする。『パピチャ 未来へのランウェイ』の舞台は、アルジェリアの首都アルジェ。内戦が激化し、アルジェリアの“暗黒の10年”と呼ばれることになった90年代だ。イスラム原理主義者が台頭し、女性に対する行動の制限がどんどん厳しくなっていく日々に、ファッションが大好きな大学生のネジュマはデザイナーになることを夢見て、ナイトクラブのトイレで自作のドレスを販売しているのだ。

『パピチャ 未来へのランウェイ』© 2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION – TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS – JOUR2FETE – CREAMINAL – CALESON – CADC

監督・脚本のムニア・メドゥールは、1978年モスクワ生まれのアルジェリア育ち。内戦時に家族とフランスへ移住したそうだ。インタビューによれば、この映画のクライマックスの事件はフィクションだけれど、「主人公の少女たちが大学構内で体験することはすべて、90年代に現地の女子学生たちが体験していたことそのままです。もちろん私も例外ではありません」とのこと。武装集団がキャンパスまで入ってきて「女の正しい服装」を指示するポスターを貼り(黒いヴェールに身を包むべし、そうでなければ我々が指導する、という脅しだ)、外国語(フランス語)の授業がアラビア語を使えと主張する女性たちによって妨害され、教授が連れ去られる。

『パピチャ 未来へのランウェイ』© 2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION – TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS – JOUR2FETE – CREAMINAL – CALESON – CADC

90年代の“共感”を覚える舞台設定と、思わず拒絶反応を起こす“理不尽”な描写

携帯電話とインターネットが登場しない、90年代(おそらく前半)の青春物語である。彼女たちの日常は、ノースリーヴのトップスにジーンズの出で立ちで遊びに出かけたり、欧米のポップミュージックで踊ったり、絵を描いたり服を作ったり、日本で過ごしていた自分たちと共通する部分も大きい。そういった楽しい時間だけでなく、道端でナンパしてくる男がウザいなんて嫌な経験も同じだ。にもかかわらず、彼女たちが経済的に自立して生きていく道は極端に狭いし、銃を持ってあたりをうろつく男たちのあからさまな暴力に晒されてもいる。「身に覚えのある経験」と「理不尽」を同時に見せられてクラクラしてしまう。

『パピチャ 未来へのランウェイ』© 2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION – TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS – JOUR2FETE – CREAMINAL – CALESON – CADC

近年は女性に対する性差別を糾弾する作品でも、「男性もまた歪んだ社会構造の被害者なのだ」という視点を含んだ作品が増え、評価される傾向にある。しかしこの作品には、そうした「男性への温情」のようなものが入り込む余地はない。ここまで不公平で残虐なことが行われていたら、「こんなシステムに安穏として乗っかっている男はみんな信用ならない」となるのも当然だと思う。監督の関心はむしろ性差別的な価値観を内面化した女性たちに向かい、それによって差別問題は単純な男女の対立ではないのだということが示される。そうして個人の自由を認めない強権と、大局に従ってしまう人間の恐ろしさが伝わってくるのだ。

『パピチャ 未来へのランウェイ』© 2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION – TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS – JOUR2FETE – CREAMINAL – CALESON – CADC

主演リナ・クードリはウェス・アンダーソン監督に抜擢され最新作でティモシー・シャラメと共演!

好きな服を着ることすら不謹慎とされるとあっては、ひとりの力で状況を劇的に好転させるのは難しい。そんな逆境においてさまざまな女性たちが共に過ごし、支え合う姿がこの映画の見どころだ。主演のリナ・クードリは見事な卵型の顔をしていて、たいへんかわいらしい。ウェス・アンダーソン監督に抜擢され、新作『The French Dispatch(原題)』でティモシー・シャラメと共演しているというのも納得だ。

ネジュマの親友ワシラを演じるシリン・ブティラも往年の宮崎萬純みたいな美人だなあと思ったら、YouTubeチャンネル登録者数56万人超、Instagramフォロワー数230万人超のヨーロッパで人気のインフルエンサーなのだそう。

 

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監督はこの映画について、「数年にわたって起こったことを、わずか数週間の時間軸に詰め込みました」と語っている。クラブでキラキラしたドレスを着てみんなで踊っていたところから、不条理な規範に従わないという理由で銃口を向けられるところまで、数週間でも数年でも「あっという間」だ。日本の場合、宗教原理主義の勢力こそ諸外国に比べて特別強いようには見えないが、政権は相変わらず身内ばかりを優遇して市民からの批判を封じ込め、ますます全体主義的な方向に向かっているように感じる。この映画に描かれた女たちの静かな闘いは、決して他人事ではない。

『パピチャ 未来へのランウェイ』© 2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION – TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS – JOUR2FETE – CREAMINAL – CALESON – CADC

文:野中モモ

『パピチャ 未来へのランウェイ』は2020年10月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか公開

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『パピチャ 未来へのランウェイ』

1990年代、アルジェリア。ファッションデザインに夢中な大学生のネジュマはナイトクラブで自作のドレスを販売している。夢は、世界中の女性の服を作るデザイナーになること。だが武装した過激派のイスラム主義勢力の台頭によりテロが頻発する首都アルジェでは、ヒジャブの着用を強制するポスターがいたるところに貼られるように。従うことを拒むネジュマはある悲劇的な出来事をきっかけに、自分たちの自由と未来のため、命がけでファッションショーを行うことを決意する―。

制作年: 2019
監督:
出演:
  • BANGER!!!
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