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シャイア・ラブーフ脚本家デビュー! 父とのトラウマを乗り越える『ハニーボーイ』 FKAツイッグス長編初出演!

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ライター:#夏目知幸
シャイア・ラブーフ脚本家デビュー! 父とのトラウマを乗り越える『ハニーボーイ』  FKAツイッグス長編初出演!
『ハニーボーイ』© 2019 HONEY BOY, LLC. All Rights Reserved.

注目の子役ノア・ジュープ主演! シャイア・ラブーフが自身の体験を基に脚本執筆

『ハニーボーイ』は、病んでるお父さんとの二人暮らしで自分も病んじゃった元天才子役・オーティスが青年になってトラウマと向き合い、自分を見つめ直す映画。PTSDの疑いで施設に入ってカウンセリングを受けながら過ごす現在と、父と過ごした過去が交互に描かれます。

『ハニーボーイ』© 2019 HONEY BOY, LLC. All Rights Reserved.

天才子役を演じる天才子役ノア・ジュープはもちろん最高ですが、なんと言っても見所は父役のシャイア・ラブーフ。本作の脚本も手がけています。彼は自分の体験をもとに書いた物語の中で、トラウマの元になった父を演じたわけです。この点をおさえて見たほうが、知らずに見るより何倍も感じることの多い映画だと思います。

『ハニーボーイ』© 2019 HONEY BOY, LLC. All Rights Reserved.

父が息子に放つ言葉の一言一言は、同時に父を演じるシャイア自身にも向けられている。これがけっこう息苦しいんだけど、家族って愛しくて息苦しいものだっていうことを思い出させる仕掛けになってる。親子の掛け合いはフランクだけど、幸せな空気と一触触発の緊張感のある空気の間を境目なく行き来して「いつ何が壊れるかわからない」怖さが濃く匂う。

『ハニーボーイ』© 2019 HONEY BOY, LLC. All Rights Reserved.

人気シンガーソングライターFKAツイッグス長編映画初出演! 意外な好演に注目

アルマ・ハレル監督の力量なのか、撮影を担当したナターシャ・ブライエのセンスが大きいのか、とにかく画が終始イカしてる。抜け出せないつらい日常にあっても、少年は世界の美しさを知ってる。プールに反射する太陽の光、怪しく赤い夜の灯り、好きな女の子の肌。そのつや、温もり、寄りかかれる何か。それらが淡く優しい、ちょっと影のある色合いで映し出されます。めちゃくちゃ綺麗。

『ハニーボーイ』© 2019 HONEY BOY, LLC. All Rights Reserved.

どっかで見たなと思ったら、女の子、FKAツイッグスじゃん! 演技、すげーいいです。彼女のファンの方は、彼女を見るためだけでも劇場に足を運ぶ価値ありです、本当に。本作が長編映画デビュー作とのことなのでお見逃しなく。

『ハニーボーイ』© 2019 HONEY BOY, LLC. All Rights Reserved.

僕にはトラウマがない、もしくはまだ気づいていないので、とてもフラットな目線で見れました。もし似たトラウマを持っていたら辛かったかもしれない。けど、辛いってことは客観視できてないってことだよ~と暗に言ってくれる作品だから、そんなことわかってらい!! と憤慨しつつ新しい視点を得るヒントを胸に映画館を後にしたろうな、と想像します。

『ハニーボーイ』© 2019 HONEY BOY, LLC. All Rights Reserved.

この映画の懐の深さは、「子役」という稀有な存在をただの一人の「子供」として描いたことが大きいです。忘れがちだけど、どんなに有名な人もただの人間だし、同じように、どんなに有名な子供もただの子供。社会にはいくらでも自分の代わりがいるのに、自分の抱える問題を代わってくれる人は誰もいない。その点は僕らとなんら変わらない。なんてことを考えました。

『ハニーボーイ』© 2019 HONEY BOY, LLC. All Rights Reserved.

文:夏目知幸

『ハニーボーイ』は2020年8月7日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

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『ハニーボーイ』

若くしてハリウッドのトップスターに躍り出たオーティスは、撮影に忙殺されるストレスの多い日々の中で、アルコールに溺れるようになっていた。2005年のある夜、泥酔して車を運転し事故を起こしたオーティスは、更生施設へ送られる。そこでPTSDの兆候があると診断され、「まさか」と驚くオーティス。原因を突き止めるため今までの思い出をノートに書くようにと言われたオーティスは、過去の記憶を辿り始める。真っ先に思い出すのは、父のこと。

10年前の1995年、子役として活躍する12歳のオーティスは、いつも突然感情を爆発させる前科者で無職の“ステージパパ”ジェームズに振り回される日々を送っていた。そんなオーティスを心配してくれる保護観察員、安らぎを与えてくれる隣人の少女、撮影現場の大人たちとの交流の中で成長していくオーティスは、新たな世界へと踏み出すのだが──。

制作年: 2019
監督:
出演: