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はじめての『007』はダニエル・クレイグの「ジェームズ・ボン度、低め作品」からスタートするのが秘訣!?

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はじめての『007』はダニエル・クレイグの「ジェームズ・ボン度、低め作品」からスタートするのが秘訣!?
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JAMES BOND, 007 and related James Bond Indicia © 1962-2020 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. QUANTUM OF SOLACE, JAMES BOND, 007 and related James Bond Trademarks are trademarks of Danjaq, LLC. All Rights Reserved. © 2020 Danjaq LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. TWENTIETH CENTURY FOX and associated logos are trademarks of Twentieth Century Fox Film Corporation and its related entities.
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JAMES BOND, 007 and related James Bond Indicia © 1962-2020 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. SKYFALL, JAMES BOND, 007 and related James Bond Trademarks are trademarks of Danjaq, LLC. All Rights Reserved. © 2020 Danjaq LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. TWENTIETH CENTURY FOX and associated logos are trademarks of Twentieth Century Fox Film Corporation and its related entities.
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JAMES BOND, 007 and related James Bond Indicia © 1962-2020 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. SPECTRE, JAMES BOND, 007 and related James Bond Trademarks are trademarks of Danjaq, LLC. All Rights Reserved. © 2020 Danjaq LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. TWENTIETH CENTURY FOX and associated logos are trademarks of Twentieth Century Fox Film Corporation and its related entities.

▶ D・クレイグが語った “完璧ではないボンド”とは 007『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』

発展途上のボンドを描いたダニエル・クレイグ版『007』

まず断言したい。ダニエル・クレイグ版『007』は、「『007』入門者」に最適な入り口となってくれる。従来の『007』のイメージ、荒唐無稽でブッ飛んだ要素=おバカ映画度(もちろんこれも『007』の魅力だが)は控えめに、リアルな世界観と最新のアクションを纏った、まさに現代にフィットするように完璧にチューニングされた『007』だ。

そして面白いのは、このダニエル・クレイグ版『007』シリーズが、「ジェームズ・ボンドがジェームズ・ボンドに、007が007になっていく」というメタ的な構造を持っていること。それは、新しい世代のファンが次第に『007』の世界に染まっていくのと相似形を描いている。

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ダニエル・クレイグが初登板した第1作目『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)と時系列的に繋がっている第2作目『007/慰めの報酬』(2008年)では、ジェームズ・ボンドは「殺しのライセンス=00(ダブルオー)ナンバー」を与えられたばかりの新人諜報部員である。もちろん超人的に優秀なのだが、アレ? っていう失敗もしたりする。女にもモテるが、かつての007のように目が合っただけの美女が誰でも彼でもベッドインするほどはモテない。冷静に徹しきれず、私情もはさみまくり。まだまだ007発展途上、ジェームズ・ボン度003.5くらいなのだ。

『007』食わず嫌い世代も取り込む人間くさいジェームズ・ボンド

クレイグの「ジェームズ・ボン度」の低さに呼応するように、秘密兵器の「ビックリドッキリ度」も低めからスタート。秘密兵器開発担当のQは登場せず、ボンド・カーには解毒装置は付いてはいるものの、前方にマシンガンを射ってはくれないし後方に炎を吹いてもくれない。ボンド・カーの合コンがあったら「ノリ悪いよ~」と蔑まれそうな地味カーである。

だが、この人間らしい弱みを持ち、スマートさをかなぐり捨てて戦うジェームズ・ボンドの泥臭くリアルな姿こそが、「『007』ってバカげてるんでショ?」という新しい世代の拒否反応を引き起こすことなく、新たな『007』の誕生を高らかに告げることで成功に導いた。この2作品で悲痛な別離を経た007は、一人前の諜報部員へと成長していく。2作を終えた時点での最終的なジェームズ・ボン度は005くらいだろうか。

3作目となる『007/スカイフォール』(2012年)は、とてつもない傑作に仕上がった。必見である。屈指の名悪役であるラウル・シルヴァ(演じるは怪優ハビエル・バルデム)の登場で、物語は常に高いテンションを維持する。比例するように、ジェームズ・ボン度もジリジリと高まっていく……。

物語の焦点となる「ボンド・ガール」は、なんとボンドの上司、当時77歳のジュディ・デンチ演じるMである。

この作品では、「ジェームズ・ボンドの死、過去への回帰、そして再生」が描かれる。『スカイフォール』での「死」を乗り越えることで、007は真の007へと生まれ変わるのだ。それに応えるように、秘密兵器開発担当のQが初登場、さらに決戦へと向かうボンドが乗り込むのはボンド・カーの象徴であるアストンマーティン・DB5! もちろん秘密兵器内蔵!! ついにこの作品で、ダニエル・クレイグ版のジェームズ・ボン度はエンターテイメントとリアリティの完璧なバランスに達する。「バカげてる」の一歩手前でギリギリ踏みとどまるその数値は、006.9999999999……!

ダニエル・クレイグ版は『007』ジャンキー製造装置!?

では、3作で最適なバランスを導き出したダニエル・クレイグ版『007』は、第4作目『007/スペクター』(2015年)でどうなってしまうのか? そこには、後方に炎を吹きシートを空に射出するボンド・カー、そして『007』最強の悪の組織・スペクターの姿があった。そう、この作品でジェームズ・ボン度はちょっと行き過ぎてしまい、「バカげてるんでショ」の『007』に到達(逆戻り)する。

ついにジェームズ・ボン度は“007”へ。頭で理解しようすると、どう考えてもおかしい脚本。だがダニエル・クレイグ版を追いかけてきたファンは、自然とこれを受け入れてしまうだろう。つまりこのシリーズを追いかけることで、次第に高まるジェームズ・ボン度に体が慣らされていく、完璧な“『007』ジャンキー製造装置”となっているのだ!

そして目下気になるところは、ジェームズ・ボン度:007に達したシリーズが最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2020年)でどこへ向かうのか、だ。ダニエル・クレイグ最後の『007』となるこの作品で、006.99999……の黄金比を取り戻すのかもしれないし、もしかしたら007を通り超して未知の次元に突入していくのかもしれない。どちらにしても楽しみは尽きないところだ。

さぁ、あなたもまずは『007/カジノ・ロワイヤル』から足を踏み入れてみませんか?

文:タカハシヒョウリ

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『007/カジノ・ロワイヤル』『007/慰めの報酬』『007 スカイフォール』『007 スペクター』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年6月より放送

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