河村康輔「『AKIRA』の大友さんは過去を振り返らない、いつの時代も最先端を見ているアーティスト」(5/5)

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ライター:BANGER!!! 編集部
河村康輔「『AKIRA』の大友さんは過去を振り返らない、いつの時代も最先端を見ているアーティスト」(5/5)
グラフィックデザイナー/アートディレクター/コラージュアーティスト、河村康輔さん。近年では『AKIRA』で知られる大友克洋氏との一連のコラボレーションを目にした人も多いはず。巨匠の作品を文字通り“切り刻む”ことが許されたアーティストなのです。
偏り気味と自称する映画嗜好やアーティストとしてのキャリアに影響を与えた“映画体験”と、それにまつわる人生の様々なエピソードをお届けします。

大友克洋原画展の仕事は深夜に出会って1~2時間で決まった

大友さんの『MEMORIES』(1995年)とかのポスターデザインをされてた知人のデザイン事務所が僕の家の近くにあって、たまたま普通にその人とご飯食べに行って事務所に戻ったら、夜中の1時くらいに電話が鳴って「今から大友さん来るって」って言われて、「まじか」ってなって(笑)
もちろん緊張はしたんですけど、僕になんて興味を持ってくれるとも思ってなかったので、いつもどおりにしてたら、「君はなにやってるの?」って、お酒も入られてたのですごくフレンドリーに。
「切って貼って、コラージュやってます」っていう話をしたら、「なんか今、見れるのないの?」って言われて、ちょうどそのとき僕がやってた個展をテキトーに撮った写真がケータイに何枚か入ってたのでパパパって見てもらったら、すごくじっくり見て「めちゃくちゃ面白いね」って言ってくださって。
出会って1~2時間で、「これって俺の絵を使ってもできるものなの?」って言われて…。でもその時は、それが仕事のオファーだとは思ってなくて「全然できますよ」って答えたら「連絡先教えてよ」って。そしたら、もう次の日にいきなり編集さんから連絡きて、なんだろう? と思ったら、大友克洋GENGA展のメインビジュアルの件で。「大友さんから話行ってると思うんですけど」って言われて「いや聞いてないです」って(笑)。ああ、昨日言われたのってそんな大きな話だったんだ…って。
それで、次の日にはもう打ち合わせして「自由にやっていいから」って。その次の日には、いきなり大友さんのアトリエに行って原画をコピーして、「キャラクターとかを使わなくてもいいから、とにかくやりたいように、自分の作品だと思って作って」って言ってくださって。僕は、素材をもらったらそれが大友さんだろうがどんな有名な写真家の人だろうが素材として見ちゃうので、もうめちゃくちゃに作っていったら、「これ完璧だよ」って。そこから今まで、途切れずにずっと一緒にやらせていただいてます。
大友さんに初めてお会いした時に「僕は『AKIRA』はトラウマなので」って伝えました(笑)。アニメを観てすごく怖い方だと思ってたんですけどものすごく人間としてカッコよくて、優しい方ですね。ご自身では「漫画家」っておっしゃってますけど、いつの時代でもいちばん最先端で、誰よりも速いものを見てるアーティストだと思ってます。本当にすごく速いんです、全てにおいて。
普通あそこまで成功しちゃうと、何か“その人っぽいもの”を出せば、それが良くても悪くても麻痺しちゃってるというか、なんでも良くなっちゃうじゃないですか(笑)。それがまったくない人で、過去を振り返らず常に“吸収”している感じですね。面白いものは面白い、それが有名無名は関係なく、そこに対してのリスペクトとか興味はすごくあって。
逆に、どれだけ人気があって売れてても、面白くなければバスンと切っちゃう。常に自分の感覚を信じてて、世代の壁なく、新しいもの/面白いものを自分の嗅覚で追っている方なので尊敬できるというか。絶対無理だなとは思うんですけど、将来はこういうおじさんになれたらいいなって(笑)。お世辞でもなんでもなく、初めて純粋にそう思える人ができたっていう感じですね。影響はすごく受けてます。スタンス的なところも作品の作り方というかプロセスに対しても、勉強させてもらってますね。

直感と妄想を重視!僕は「勉強してないこと」が個性

僕の場合「勉強してないこと」が個性なのかなって思いますね。良い言い方をすると独学なんですけど、学校にも行ってないしデザイン会社に入ったこともないので、デザインの勉強はしていません。みんな勉強した上に自分の解釈で色をつけていくと思うんですけど、僕はもともとがゼロというか真っ白だったので、良くも悪くもすごく自由にできた。自分で自分の作ってるものが良いのか悪いのか、自分でも判断ができないんですけど(笑)。ほんと直感と妄想でしかやってないです(笑)
本がすごく好きなので、読む方ではなくてビジュアルとしての本が。あと映画観たり、音楽聴いたり、レコードジャケットを見たりして、デザインの感覚的なものを独自の解釈で勉強したというか。技術はどんどん便利になって、ソフトも触ってると覚えていくじゃないですか。ちゃんとデザインされてる人からすると「何やってんの!?」っていうようなレイアウトだと思うんですけど、基本、自分が気持ちいいか気持ち悪いかっていうだけの感覚作ってます。今のところそれで食べられてるから自分の感覚を信じとくしかないな、みたいな感じでやってます(笑)

作品をウェブ上にあげてないのに、どこで知ってくれたんだろう?

僕の場合「勉強してないこと」が個性なのかなって思いますね。良い言い方をすると独学なんですけど、学校にも行ってないしデザイン会社に入ったこともないので、デザインの勉強はしていません。みんな勉強した上に自分の解釈で色をつけていくと思うんですけど、僕はもともとがゼロというか真っ白だったので、良くも悪くもすごく自由にできた。自分で自分の作ってるものが良いのか悪いのか、自分でも判断ができないんですけど(笑)。ほんと直感と妄想でしかやってないです(笑)
本がすごく好きなので、読む方ではなくてビジュアルとしての本が。あと映画観たり、音楽聴いたり、レコードジャケットを見たりして、デザインの感覚的なものを独自の解釈で勉強したというか。技術はどんどん便利になって、ソフトも触ってると覚えていくじゃないですか。ちゃんとデザインされてる人からすると「何やってんの!?」っていうようなレイアウトだと思うんですけど、基本、自分が気持ちいいか気持ち悪いかっていうだけの感覚作ってます。今のところそれで食べられてるから自分の感覚を信じとくしかないな、みたいな感じでやってます(笑)

自分の作品を作る中で、いちばん色んなものを得ているのが映画。

今後は、映像を作りたいですね、今までにも仕事でいくつか作ってはいるんですけど。もっと自由な感じで仕事は関係なく、自分で撮らなくてもディレクションでもいいので、やってみたいなっていうのはすごくあります。
僕にとって、映画は「インスピレーション」です。「人生」とまではいかないけど、普段の生活の中心の“自分の作品を作る”っていう枠の中で、いちばん色んなものを得ているのが映画。…そうしてまた、年間200本以上観るんだろうなっていう感じです(笑)

河村康輔「いちばん最初のデザイン仕事は、吉祥寺バウスシアター経由で」(4/5)

【特集:この映画が観たい】著名人たちが人生に影響を与えた映画を語る!

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