アーミル・カーンほかインドスターが続々と「STAY HOME」動画配信!! インド映画界、新型コロナウイルスと戦う!

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ライター:松岡環
アーミル・カーンほかインドスターが続々と「STAY HOME」動画配信!! インド映画界、新型コロナウイルスと戦う!
アーミル・カーン/YouTube

いまインドのコロナ対策はどうなっているのか?

インドでの、新型コロナウイルス感染拡大が止まらない。2020年4月21日(火)朝時点での統計では、18,539人が感染し、死者は592人となった。

南インドのケーララ州で初の感染者が見つかったのが、1月30日(木)。その後3人に増え、その数のまま約1ヶ月間推移したものの、3月に入って感染者数が急増、危機感を強めた中央政府は、モディ首相が国民に呼びかけて、3月22日(日)午前7時から午後9時までを外出禁止とした。さらに、その後の3月25日(水)からは3週間のロックダウンが始まったのだが、効果は得られず、ロックダウン終了の4月14日(火)直前には感染者が10,000人を超えてしまった。現在は、さらに19日間延長されたロックダウンが5月3日(日)まで継続中である。

映画館は、中央政府が命じる以前から各州政府が閉鎖措置を取っている所が多かったが、ロックダウン以降はすべてが閉まり、生活必需品を売るマーケットなどを除いて、店もほとんど閉まっている。大通りでは警備中の警官が、外出者を見つけると長い警棒(ラーティー)を振りまわして自宅へ追い戻す。これは「ラーティー・チャージ」と言って映画でもよく出てくるシーンなのだが、日本の警棒の倍ぐらい長いラーティーを駆使しながら、人々に「Stay Home」を実践させている。

映画スターたちが自主的に動画を配信し率先して国民に自主隔離を訴える

一方で、ソフトな呼びかけで人々に影響を与えているのが、各地の映画界のスターたちだ。最初に新型コロナウイルスに関するビデオ・メッセージを出したのは、『きっと、うまくいく』(2009年)のスター、アーミル・カーンで、2月末のこと。ただし、これは中国の人々に対するお見舞いメッセージで、『ダンガル きっと、つよくなる』(2016年)や『シークレット・スーパースター』(2017年)を大ヒットさせてくれた中国の観客に語りかけたものだった。

その後3月半ばから、いろんなスターがスマホで自撮りしたメッセージをアップし始めたのだが、彼らの存在が大きくなったのが、3月22日の初の外出禁止令の時だ。モディ首相は外出禁止を呼びかけた時に、「22日は午後5時になったら門口やバルコニーに出て、感染防止のために闘っている人々に感謝し、5分間手や楽器を鳴らそう」という提案をした。それに応えたスターたちの動画が、午後5時以降すぐさまアップされたのだ。

下の映像では、『ガリーボーイ』(2018年)のランヴィール・シンと『パドマーワト 女神の誕生』(2018年)のディーピカー・パードゥコーン夫妻、『パッドマン 5億人の女性を救った男』(2018年)のアクシャイ・クマールと『クリッシュ』(2013年)のリティック・ローシャン、大物スターのアミターブ・バッチャンと息子アビシェーク・バッチャン、アイシュワリヤー・ラーイ夫妻はじめ、『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!』(2012年)のヴァルン・ダワン、『マガディーラ 勇者転生』(2009年)のラーム・チャラン等々、いろんなスターが午後5時の行動に参加した姿が捉えられている。

この日はシャー・ルク・カーンもメッセージを寄せ、「家にとどまろう」と呼びかけたが、この後、長期のロックダウンが始まってからは、サルマーン・カーン、アクシャイ・クマールら大物スターが次々とメッセージを寄せた。

また、数人の若手スターが20秒間の手洗いダンスをしてみせる連続動画や、外出禁止で通いのお手伝いさんが来ないため、自ら炊事や掃除をするスターたちの姿もアップされた。カースト制の意識が残るインドでは、掃除をするのは被差別カーストの人という固定観念を持つ人も多いのだが、『チェイス!』(2013年)の女優カトリーナ・カイフがインド式ほうきで床を掃く姿や、セレブ女優シルパー・シェッティーが庭掃除をする姿は好感を持って迎えられ、いろんなチャンネルが後追いアップした。

これは激レア! 大スター大集合の超豪華リモート映画動画が続々登場

また、映画人らしい面白い試みも登場した。豪華スターが勢揃いした短編映画である。

アミターブ・バッチャンの「私のサングラスはどこに行った?」から始まるこの映画の出演者は、ディルジート・ドーサーンジ、ランビール・カプール、ソーナーリー・クルカルニー、マンムーティ、ラジニカーント、チランジーヴィ、シヴァ・ラージクマール、プロセンジト・チャテルジー、モーハンラール、アーリアー・バット、プリヤンカー・チョープラと合計12人。インド各地の映画界からトップスターが集められ、それぞれの母語でセリフをしゃべっているのだ。あり得ない夢の共演なのだが、厳密に言うと共演ではなく、それぞれが自宅で撮った映像をつないだものだと最後に明かされている。この「Stay Home」短編映画『ファミリー』は360万回再生(4月21日現在)され、他のチャンネルでも引用されたりして、世界中のインド映画ファンにアピールした。

これに刺激されたのか、上の短編でヒゲを剃っていたテルグ語映画界の大物俳優チランジーヴィも、「自宅製作映画」を発表。同じテルグ語映画界の大物スター、ナーガールジュナ、自分の甥である映画スター、サーイ・ダラム・テージとワルン・テージという4人で、音楽監督コーティの曲に合わせ、手洗いや「Stay Home」を呼びかけるミュージック・クリップをアップした。

歌のリップ・シンクロならお手のものの彼らは、ドラマチックに盛り上げるのがさすがにうまい。テルグ語がわからなくても、英語の単語がいろいろ出てくるので何を言っているかが想像できるし、つい、「♪Let’s Do It Together♫」とかサビを歌ってしまいそうになる。また、『バーフバリ』シリーズ(2015年~)のプラバースが4千万ルピー(約6千万円)寄付したのを始め、ほとんどのスターが何らかの形で、新型コロナウイルスと戦うための寄付をしているのもインド映画界ならではだ。

長期のロックダウン命令が出てからすぐ、4月公開予定作はもちろんだが、5月公開予定作も早々に公開延期が発表され、撮影も中止。5月末には、イスラム教の断食明け祭(イード)恒例となっているサルマーン・カーン主演作『ラーデー(原題)』(韓国映画『ベテラン』のリメイク)などが封切られる予定だったが、お楽しみは先延ばしとなった。そのかわり、スターたちがアップする動画で彼らに会え、豪華な自宅もちょっぴり覗けたりする。極小スクリーンを通して観客に呼びかけながら、いまインド映画界は新型コロナウイルスと戦っている。

文:松岡 環

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