伝説の犯罪者ボニー＆クライドをケヴィン・コスナーが追う！ Netflix『ザ・テキサス・レンジャーズ』

あの伝説の犯罪者を追うレンジャーを描いた実話に基づく物語！

2019年に配信されたNetflixオリジナル作品『ザ・テキサス・レンジャーズ』は、今からでも評判になっていい隠れた傑作だ。ロッテントマトでの支持率が平凡だったとか、そんな平均点の話はどうでもいい。BANGER!!!読者だったら、この映画を気に入ってくれるはずだ。

Netflixオリジナル映画「ザ・テキサス・レンジャーズ」独占配信中

本作は『ボニーとクライド／俺たちに明日はない』（1967年）の裏返しになっている。実在した犯罪者、バロウ・ギャングことボニーとクライドを捜査する元テキサス・レンジャーが主人公なのだ。

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すでに引退していたが、その腕を買われ現場復帰する主人公フランク役はケヴィン・コスナー。相棒役にウディ・ハレルソン。つまりバディ・ムービーにもなっている。

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往年の二枚目スター、コスナーもいまや60代だ。顔にはシワが刻まれ、腹に肉が乗っている。『アンタッチャブル』（1987年）や『フィールド・オブ・ドリームス』（1989年）のリアルタイム世代としては「あぁ、歳くったなぁ」と思う。それが映画の“重み”にもつながってくる。

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凶悪犯を追うにあたり銃の試し撃ちをしてみるが、まったく当たらず落ち込むフランク。クリント・イーストウッドが老いたガンマンを演じた『許されざる者』（1992年）を思わせるシーンだ。コスナーがイーストウッドのようにも、またブレイク作『アンタッチャブル』の老警官ジム・マローン（ショーン・コネリー）にも見えてくる。テーマ的にも、本作は『許されざる者』に近いものがある。

正義の中にある悪……その苦味を老コスナーが見事に表現！

ボニーとクライドが“活躍”したのは1930年代、大恐慌時代のアメリカだ。人々は貧困の底にあり、抑圧されていた。そんな時代に銀行（大資本家）から金を奪い、警官（権力）を殺すボニー＆クライドは、いわば“庶民のヒーロー”でもあった。

そうした時代の空気を、『ザ・テキサス・レンジャーズ』も丁寧に浮かび上がらせる。監督はジョン・リー・ハンコック。前作はマクドナルド創業の裏面を描いた『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』（2016年）だ。

『俺たちに明日はない』がそうだったように、ボニー＆クライドは感情移入しやすい存在だ。しかし法と秩序を守る立場からすれば、人殺しは人殺しである。そんな人殺しを狩るために、主人公たちもまた法と秩序を踏み越えていく。コスナー演じるフランクも、決して清廉潔白ではない。

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つまりこの映画は、単なる“正義と悪”の話ではない。悪にも正義があり、正義の中に悪がある。その苦味を、“歳くった”コスナーが見事に表現する。時々やりすぎることがあるハレルソンも、ここでは“受け”の芝居で映画に貢献する。

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ボニーとクライドが最後にどうなったかはご存じの通り。そして『ザ・テキサス・レンジャーズ』では、その後のエピソードも綴られる。『俺たちに明日はない』『許されざる者』『アンタッチャブル』とつながりながら、この映画はケヴィン・コスナーが重ねてきた年輪をたっぷり味わうことができる。地味に見えるかもしれないが、それは浮ついたところがなく、映画としての重心を低く保っているからだ。スマホの画面で見たとしても、ズッシリと手応えが残るのは間違いない。

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文：橋本宗洋

『ザ・テキサス・レンジャーズ』はNetflixで独占配信中