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ジョニデ主演『MINAMATA』上映! 加瀬亮&真田広之の演技が光った第70回ベルリン国際映画祭

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ライター:#齋藤敦子
ジョニデ主演『MINAMATA』上映! 加瀬亮&真田広之の演技が光った第70回ベルリン国際映画祭
Landmark Media Landmark Media/Newscom/Zeta Image

日本史上最悪の公害事件を描く! 今季ベルリンで最も期待を集めた『MINAMATA』

オープニングの翌日は、第70回ベルリン国際映画祭で最も期待の高かった映画、ジョニー・デップがプロデュース・主演した『MINAMATA』が上映。主演のデップ、真田広之らがレッドカーペットに登場し、ファンから大きな喝采を浴びた。

『MINAMATA』 © Larry D. Horricks

『MINAMATA』は、写真家ユージン・スミス(デップ)を主人公に、第二次世界大戦中の怪我とPTSDに悩まされ、写真家としての自信を失った彼が、アイリーン(美波)と出会い、水俣病を告発する決定的な写真を撮るまでを中心に描いていく。監督は現代美術家で、これが長編2作目のアンドリュー・レヴィタス。

『MINAMATA』 © Larry Horricks / HanWay Films

ただ、肝心の水俣の部分は日本で撮影できなかったせいか、違和感があったのが残念だった。俳優の中では、スター性を消して役になりきった加瀬亮と熊本弁をマスターした真田広之が光った。水俣病について興味を持たれた方は土本典昭監督による渾身のドキュメンタリー(※『水俣病 その30年』[1987年]ほか多数)があるので、機会があったらぜひ見ていただきたい。

『MINAMATA』 © Larry Horricks / HanWay Films

米の気鋭監督から仏の重鎮、独のベテラン監督まで注目作品目白押し!

『First Cow』© Allyson Riggs/A24

今年のコンペティションの中で、私が最も期待していた1本、ケリー・ライカートの『ファースト・カウ(原題)』(訳:最初の雌牛)の上映が2020年2月22日にあり、期待に違わずとても面白かった。

『FIRST COW』監督ケリー・ライカート photo by Atsuko Saito

舞台は開拓時代のオレゴン。森の中で出会って友達になった元パン屋の青年クッキー(ジョン・マガロ)と中国人移民のキン・ルー(オライオン・リー)が、村長(トビー・ジョーンズ)の雌牛のミルクを盗んでケーキを作り大儲けするが、ミルクを盗んだことがバレてしまうというストーリー。ライカートの描く西部には、現代の資本主義社会や貨幣経済への批判ともとれる寓意が込められているが、映画の冒頭に“鳥に巣、蜘蛛に巣、人に友情”というウィリアム・ブレイクの言葉を掲げたライカートは、あくまで友情の物語だと言う。

『Le sel des larmes』© G. Ferrandis 2019/RECTANGLE PRODUCTIONS CLOSE UP FILMS -ARTE FRANCE CINEMA RTS RADIO TELEVISION SUISSE

フランスからは、ポスト・ヌーヴェルヴァーグの重鎮フィリップ・ガレルの『Le sel des larmes(原題)』(訳:涙の塩分)が登場。父親(アンドレ・ウィレム)の職業を継いで家具職人を志す青年リュック(ローガン・アントゥオフェルモ)と、彼が巡り会う女性たちとの関係を描いたもの。脚本はガレルとジャン=クロード・カリエール、アルレット・ラングマン、撮影はレナート・ベルタという豪華な布陣。主人公が出会った女性と次々に恋に落ちるところはいかにもフランス映画だったが、主人公を暖かく見守る父親の姿に、ガレル自身の思いが投影されているように思えた。

『Undine』© Christian Schulz/Schramm Film

ドイツのベテラン監督クリスティアン・ペッツォルトの『ウンディーネ』は、ウンディーネ(水の精)という名の女性と潜水夫の悲恋をファンタジックに描いたもの。ペッツォルトは2018年のベルリンのコンペ作『未来を乗り換えた男』が日本公開されたばかりだが、『ウンディーネ』も『未来~』のフランツ・ロゴフスキとパウラ・ベーアの共演で、ペッツォルトの巧みな演出で見せる。

さて、週末を過ぎて、いよいよ後半に入ったベルリン映画祭だが、ホン・サンス、リティ・パン、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)、サリー・ポッターらの登場はこれから。

取材・文:齋藤敦子(Text & Photo by Atsuko Saito)

第70回ベルリン国際映画祭は2020年3月1日(日)まで開催

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