福山雅治主演! 『Love Letter』から25年 ― 岩井俊二監督が再び“手紙”をテーマに描く『ラストレター』

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ライター:BANGER!!! 編集部
福山雅治主演! 『Love Letter』から25年 ― 岩井俊二監督が再び“手紙”をテーマに描く『ラストレター』
『ラストレター』©2020「ラストレター」製作委員会

『Love Letter』へのアンサームービー!? 岩井組の豪華な顔ぶれが大集結

「お元気ですかー? 私は元気でーす!」― 1995年公開の映画『Love Letter』で、恋人が亡くなった雪山を訪れ、中山美穂は声を振り絞りながらこう叫ぶ。このシーンは日本映画史に語り継がれる名シーンといっても過言ではないだろう。そんな名作から25年の時を経て、岩井俊二監督が再び“手紙”をテーマに描いた恋愛映画が『ラストレター』だ。

『ラストレター』©2020「ラストレター」製作委員会

企画・プロデュースを担当した川村元気は、本作に『Love Letter』のアンサームービー的な要素を盛り込みつつ、最終的にはさまざまな岩井作品のモチーフを詰め込んだ「ベスト盤的な作品」に仕上げたと語っている。その言葉通り、キャストには『Love Letter』の豊川悦司、中山美穂、『四月物語』(1998年)の松たか子、アニメ版『打ち上げ花火、下から見るか 横から見るか』(2017年)で声優を務めた広瀬すずなど、岩井関連作品にゆかりのあるキャストを多数起用。劇中で2人の少女の掛け合いが瑞々しく映し出されるシーンは『花とアリス』(2004年)を彷彿とさせ、少女たちが夏休みの学校のプールで花火を楽しむ姿は『打ち上げ花火~』を思い起こさせるなど、岩井ファンには堪らない作品になっている。

加えて注目したいのは、岩井組に初参加となった福山雅治、神木隆之介、森七菜。そしてアニメ映画界の巨匠・庵野秀明を俳優として起用した点だろう。岩井監督でなければ実現しえなかったこの超豪華キャスティングだけでも、観る価値は十分にあるはずだ。

ひとつの“死”をきっかけにはじまった奇妙な文通

とはいえ本作のストーリーは、『Love Letter』の続編になっているわけではない。「手紙」「大切な人の死」「喪失からの再生」という3つの要素を共通項に、全く違うストーリーが紡がれていく。

『ラストレター』©2020「ラストレター」製作委員会

舞台は宮城県・仙台。主人公の裕里(松たか子)の姉・未咲(高校時代:広瀬すず)が、娘の鮎美(広瀬すず)を残して自殺したことから物語が始まる。鮎美は祖父母の家に身を寄せることになり、そんな彼女を心配した裕里の娘・颯香(森七菜)も、鮎美に付き添い夏休みの間、祖父母宅で過ごすことになった。鮎美から未咲宛に届いた高校の同窓会の招待状を受け取った裕里は、未咲に代わり同窓会に出席。そこで初恋の相手であり、未咲の大学時代の恋人でもあった小説家の乙坂鏡史郎(福山雅治、高校時代:神木隆之介)に再会する。

同窓会の後、裕里と鏡史郎は文通をはじめることになり、手紙のやり取りを重ねながら学生時代の思い出を反芻していた。そして、鏡史郎の手紙が誤って鮎美と颯香の元に届いたことをきっかけに、裕里・鏡史郎・鮎美それぞれが、未咲の死をどう受け止めこれからを生きていくのか、苦悩しながらも向き合う姿が描かれていく。

『ラストレター』©2020「ラストレター」製作委員会

時を経て届く、あの頃の“伝えられなかった気持ち”と“報われなかった想い”

高校時代の裕里・未咲・鏡史郎の、淡く切ない恋の三角関係にフォーカスを当てた前半パートは、これぞ青春! というほど甘酸っぱく輝き、この先に起こる不幸な未来が予期しえないほどの希望に溢れている。そんなキラキラとした思い出と相反するように、後半パートでは未咲の死の原因が明かされ、その元凶となった元恋人・阿藤(豊川悦司)に鏡史郎が対峙していくヘビーな内容が展開されていく。

『ラストレター』©2020「ラストレター」製作委員会

美咲への想いを断ち切れず、冴えない人生を歩む鏡史郎。姉・未咲にいつも勝てない裕里。母の死を受け入れられないでいる鮎美。暴力的でミステリアスで、簡単に人を傷つけていく阿藤。キャスト陣がそれぞれのキャラクター像を正確に掴みとり、揺れる心の葛藤を見事に表現しているのはさすが。最初からヒロインの自死という悲しい結末が用意されているものの、報われなかった想いが手紙を介してそれぞれの元へ届き、ある意味ハッピーエンドな納得のいく結末を迎えるので、鑑賞後はきっと晴れやかな気持ちになれるだろう。

魂浄化力120%! 涙を誘う美しいエンディング曲

本作では最後に、小林武史・作曲、岩井俊二・作詞で、森七菜が歌うオリジナルソング「カエルノウタ」が流れる。全てを包み込むかのような優しいメロディに森の透明感ある歌声が重なり、本作で描かれた人生の苦しさも愛しさも、全てが浄化されるような名曲に仕上がっているので必聴だ。エンドロールまでもがロマンティックな岩井ワールドを堪能できる至福の120分を、ぜひ劇場で味わってもらいたい。

『ラストレター』は2020年1月17日(金)より全国東宝系公開

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『ラストレター』

裕里(松たか子)の姉の未咲が、亡くなった。裕里は葬儀の場で、未咲の面影を残す娘の鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内と、未咲が鮎美に残した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるために行った同窓会で、学校のヒロインだった姉と勘違いされてしまう裕里。そしてその場で、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)と再会することに。
勘違いから始まった、裕里と鏡史郎の不思議な文通。裕里は、未咲のふりをして、手紙を書き続ける。その内のひとつの手紙が鮎美に届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎(回想・神木隆之介)と未咲(回想・広瀬すず)、そして裕里(回想・森七菜)の学生時代の淡い初恋の思い出を辿りだす。
ひょんなことから彼らを繋いだ手紙は、未咲の死の真相、そして過去と現在、心に蓋をしてきたそれぞれの初恋の想いを、時を超えて動かしていく―

制作年: 2019
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