「日本以外の国では嫌われてるんだ!」あの『シャークネード』を生んだアサイラム社のトップに突撃インタビュー!!

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ライター:BANGER!!! 編集部
「日本以外の国では嫌われてるんだ!」あの『シャークネード』を生んだアサイラム社のトップに突撃インタビュー!!
(左から)アサイラム社 COO ポール・ベールズ、CEO デヴィッド・マイケル・ラット

世界的大ヒットシリーズ『シャークネード』をはじめとする、モンスター、ディザスター、パニック、SF、パロディなど、常識ハズレでオリジナリティ溢れる愛すべきトンデモ映画を量産するアサイラム社の創業者であり、トップであるCEOデヴィッド・マイケル・ラット氏とCOOのポール・ベールズ氏にインタビューを慣行!現在の作風に至る経緯や、『シャークネード』誕生秘話を語ってもらった。

「僕たちは無節操な人間だから、お気楽なB級映画が作りたかったんだ」

―まずはアサイラム社の始まりから教えてください。

ラット:アサイラムは25年ほど前に、もう1人の男性と一緒に創業したんだ。最初は彼のアパートを使っていたよ。当時、僕らはある映画製作会社をクビになったばかりで、最初の2、3年は製作会社の下請けと、配給業務をしていた。専門はインディー映画。今でこそサメが台風にのって飛び交う『シャークネード』シリーズのような映画が専門だけど、当時はアート系の映画を扱っていたんだ。これ誰にも言わないでね!

(左から)デヴィッド・リマゥイー氏(創業者)、ポール・ベールズ氏、デヴィッド・マイケル・ラット氏

―アート系の映画を扱っていたのに、なぜ路線変更を?

ラット:若かったし、お金が必要だったからアート系を扱っていたけど、多くの人は小難しくて映画祭で賞を取るような映画より、B級映画の方が好きだってことに気付いたんだ。例えばドラマ作品を売ろうとしたときに、かわいいビキニ姿の女性の背景が爆発してるようなB級映画っぽいポスターを使うと、お堅い単館系のポスターをそのまま使うより、よっぽど集客数が伸びた。結局、一般の人たちはB級映画を観たいんだっていう事実を、マーケティングが明確にしてくれたってわけさ。僕たちは無節操な人間だから、単純に観客が観たい映画、楽しくてお気楽なB級映画が作りたかったんだ。

―もし「アサイラムの映画って何ですか?」と尋ねられたら、どうお答えになりますか?

ラット:一般的には脚本家は何年もかけて企画を練り、基盤となる三幕構成に仕上げる。その一幕目と二幕目で、ストーリーや登場人物の設定、展開もしっかり描けているのが普通だね。ところがアサイラムの映画はその部分を排除して、三幕目から始まるんだ。もう怪獣には追いかけられてるわ、前置きなしで話は進むわ、登場人物はすでに窮地に立たされてるわで、いきなりクライマックスで始まりそのまま終わる、というのが特徴だね。

ベールズ:少し付け加えると、アサイラムの映画はビール片手にくつろいで楽しむ映画だということ。疲れて仕事から帰り、ただただゆっくりしたい時にビールを飲みながら、大いに楽しんで、深く考えずに済む映画なんだ。

(左から)デヴィッド・マイケル・ラット氏、ポール・ベールズ氏

「アサイラムで経験を積んで、もっと大きな企画で稼いでくれればいい」

―ロサンゼルスに多くの映画製作会社がある中で、アサイラム社のどういったところが個性的なのでしょうか?

ラット:他の製作会社は断り方を知っていて、僕たちは断り方を知らない、っていうことだね。

ベールズ:他の会社は、止めるタイミングも分かってるよ。

ラット:確かに(笑)。僕たちにはその判断能力がないね。まるで中毒患者のように映画を作り続けるだけ。アサイラムで働く人たちにいつも伝えているのは、ここは大学病院で研修するのと同じようなものだということ。やる気とエネルギーのある人材が集まって、ただ映画作りに集中する。ここではお金はたいして稼げない。ここで稼いでいるのは僕ら経営者だけだ。他の誰にも分け前を与えたりしないから!

ベールズ:機密情報を公にするなよ(笑)。ぜんぶ冗談です。

ラット:すまんすまん。話を戻すと、ここで仕事をして時間を費やすということは、誰よりも映画作りに対する強い想いがあるという証拠さ。アサイラムには初心者もたくさんいるし、それぞれが経験を積んで、もっとお金を稼げる企画に移っていく。素晴らしいことだと思うよ。踏み台にしてもらって全く構わない。僕たちもそうして欲しいと思っているから。

ベールズ:アサイラムと他社との違いは、私たちは心からB級映画を愛している、ということ。よく「いつになったちゃんとした映画を作るんだ?」と聞かれるけど、そんなこと気にもしない。賞とかね……ラットは欲しいらしいけど。とにかく私たちは、バカげた映画が好きなんだよ。

ラット:でも、そんな映画ばかりじゃあない。アサイラムは“良質”のスリラーだって作っている。テレビ放送向けにも、いろいろ楽しみながら作っているんだ。僕たちはビジネスに疎い生粋の映画人でありクリエイターだから、アサイラムは僕たちの想像力を活かすことのできる格好の場だ。毎日ワクワクしながら仕事場に来ているよ。

―予算の問題が常にあるということは理解できました。予算の問題以外の要素で、何を一番大切にしていらっしゃいますか?

ベールズ:私が大切にしているのは、ジャンルどおりに映画を作ること。ホラー映画ならホラー映画を、忠実に作るんだ。巨大サメや巨大タコの映画であれば、そのジャンルに忠実な映画を作るということを大切にしているよ。

(左から)ポール・ベールズ氏、デヴィッド・マイケル・ラット氏

「正直、日本以外の他の国では本当に嫌われてるね(笑)」

―アサイラム社の功績の一つは、コミュニティーを広げる手助けをしていることだと思いますが、それはファンを獲得するための会社の方針ですか?

ラット:僕たちはファンが大嫌いだし、コミュニティーも嫌だ。勝手にできたんだよ。……えっ、違ったっけ?(笑)。まあ、長生きすればいつかは良いことがあるもので、会社ができてからすでに数十年経ったから、ファンもついた。本当に嬉しいことだよ。全く想像していなかったし、僕たちの方が驚いているくらいさ。僕たちが作品を愛する気持ちと同じ気持ちを持つファンが世界中にいるという事実が不思議で、それを僕たちも一緒に楽しんでいるよ。

ベールズ:まあ本当のことを言うと、それって日本だけで、他では嫌われてるけどね。

ラット:そうそう。言いたくないけど、他の国では本当に嫌われてるから(笑)。

―では、そんな日本のコアなファンについて聞かせてください。ファンとコミュニケーションをとる機会はありましたか?

ラット:日本のコアなファンの情熱はとんでもないね。ツイッターやインスタなんかのSNSでDMをもらうし、とてもエキサイティングだ。私の子どもは2人ともビデオゲームの道に進みたいらしいんだけど、自分の親父が日本で知られた人物っていうことが信じられないみたいだね。「仕事も見つかるぞ」って言ってるんだけど、かなり驚いてたね。僕自身も驚いてるんだけど。

―『シャークネード』の第1作目(2013年)をプロデュースしている時点では、どう展開するとお思いでしたか?

ラット:それまでにも、多くの映画を<SYFY(NBCユニバーサル傘下のケーブル局)>用に作っていたんだ。ディザスター系も作ったし、変わったコンセプトの映画も作った。『シャークネード』は、その中の一つに過ぎなかったんだよ。だから僕たちは、それ以上でもそれ以下でもない、いつもの映画という見方をしていた。ただ、成功するとは感じていたね。タイトルのネーミングも良いしキャストも良かったから、良い結果が出ることは分かっていた。放送を見ていたら次から次にコメントがツイッターに届いて、そのときツイッターを覚えたばかりだったから、何かヘマをやらかして壊したのかと思ったよ。横にいた妻に「ツイッターアカウントを壊しちゃった」って言った記憶がある。会社のITに連絡を取って「直してくれ」と伝えたら、「大丈夫です、全て順調です」と言われたんだ。それでも僕は、ずっと「壊れてるから直してくれ」って言ってて。でも実際には、世界中で放送を見た人がコメントを寄せてくれていたってわけさ。

ベールズ:『シャークネード』っぽい映画を何作も作ってきた。もし、まだ私たちの他の作品を観ていない人がいたら、ぜひ観てほしい。『シャークネード』とよく似てるから。そして私も同じ経験をしたよ。放送された夜のツイッターの動きを見て、私たちの人生が変わったと実感したんだ。

ラット:僕の場合、その実感は後々になって来たね。夜中の3時に有名人からのツイッター投稿を読み、その翌朝にはそれがニュースになっていた。それがあまりにも現実離れした出来事だったし、不思議だった。ツイッターで話題になるのと、ニュースに取り上げられるのでは、重みが違うから。あれから全てが変わったね。

『シャークネード』
発売中
税抜価格:¥4,800
発売:アルバトロス株式会社

「『シャークネード』はマイケル・ベイ作品を彷彿とさせる。こっちは予算がないだけ」

―たくさんのアサイラム作品がある中で、なぜ『シャークネード』がここまで人気になったのでしょう?

ラット:だって僕は優秀な映画制作の人間だから。天才っぽいでしょ?

ベールズ:最初は大嫌いだっただろ。

ラット:うるさいよ、それを言うな(笑)。

ベールズ:私は、いくつかの要因があったと思う。まずは奇抜なタイトル。それに、映画の内容自体もタイトルに負けないハチャメチャな内容だった。そして何より、多くのセレブがツイッターに書いてくれたことで、人気に火がついたんだ。

ラット:それに、この映画はアサイラムならではの作品だ。その基盤がしっかりしている。最初の段階で、すでに主人公たちに“危機”が迫っていて、その難易度がどんどん高くなり、激しさを増すという構造だ。それに、マイケル・ベイ監督の作品を彷彿とさせる深刻さも併せ持っている。ただ、マイケル・ベイ監督よりも予算がないだけ。

ベールズ:めちゃくちゃで安上がり。

ラット:そう、めちゃくちゃで、安上がり。

―『シャークネード』をきっかけに、他のアサイラムの作品も観るファンが増えたと思いますが、私たちファンは将来的に何を期待すればいいですか?

ラット:『シャークネード27』、シャークネード・チャンネル、おもちゃに人形、シャークネード・コミックブック、かな。でもこの会社は、元々しっかりした策略のない会社なんだ。たまたまこんなに大きな成功を手にしたけれど、それを今、体現している最中だね。僕たちは1か月に映画を2本制作しているだけでなく、テレビシリーズで大成功した『Zネーション』(2014年~)と『ブラック・サマー:Zネーション外伝』(Netflix:2019年~)もある。両作品共、とても好評だったよ。

2020年には、もっと多くのシリーズものや、特大ヒット作を出したいね。今のところ、『シャークネード』を真似た作品を繰り返し作るつもりはないけど、あれは偶然の産物であり宝物のような存在で、『シャークネード』のレベルに達する作品を今後もたくさん作り出していきたい。そして、これまでのように僕たちの特色であるハチャメチャな作品を楽しみながら作ることは間違いない。今後も規格外のことをしていくから、期待していてほしいね。

―ラスベガスで『シャークネード』のショウを計画中と聞きましたが、本当ですか?

ベールズ:ラスベガスのシーザーズ・エンターテインメント社から、『シャークネード』のライブショウをしないか? と打診があったんだ。今は運営資金を調節している段階さ。関係者は皆とても楽しみにしているし、おそらくいい結果が出るであろう手応えも感じている。私たちもとても楽しみにしてるよ。『シャークネード』の素晴らしい第二の人生だと思う。血と踊りが盛りだくさんな、ラスベガスならではのショウになるはずさ。

―では最後に、日本の熱狂的なシャークネードファンにメッセージをお願いします。

ラット:『シャークネード』の熱狂的なファンの皆さま……他にやること探しなさい。

ベールズ:そうだ、どうしちゃったんだ?

ラット:何でこうなったんだ? ありがとね~!!

最後に、2019年に映画専門チャンネル ムービープラスが開催したイベント「アサイラム祭り」で上映されたデヴィッド・マイケル・ラット氏からのスペシャルメッセージ動画をご覧ください。

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