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なぜボロクソに酷評された?ぶっとびSF超大作『ジュピター』を今こそ再評価!ウォシャウスキー監督のアイデア満載

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ライター:#BANGER!!! 編集部
なぜボロクソに酷評された?ぶっとびSF超大作『ジュピター』を今こそ再評価!ウォシャウスキー監督のアイデア満載
『ジュピター』© 2015 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC All Rights Reserved

覚えてる? ウォシャウスキー監督作『ジュピター』

2015年製作の映画『ジュピター』について、「大好きだよ!」「傑作だよね」と評価する映画ファンは……正直多くないだろう。ご存知『マトリックス』(1999年)で名を馳せたウォシャウスキー姉妹が『スピード・レーサー』(2008年)と『クラウド アトラス』(2012年)に次いで監督したSF超大作だが、公開時は評価が振るわなかった。

『ジュピター』© 2015 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC All Rights Reserved

物語のあらすじは、単調な日々に辟易していた労働者階級の女性がある日いきなり銀河をめぐる大冒険に巻き込まれる――という、今どきのマンガよりもよっぽどマンガらしい展開。もちろんヒロインのキャラクター背景には“選ばれし者”的な王道設定もあり、トンデモな事実を秒で受け入れる様子も今どきの“異世界転生もの”さながらだ。

『ジュピター』© 2015 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC All Rights Reserved

キャストは豪華で、売れまくりのイケイケだったミラ・クニス、コメディからアクションまで出まくっていたチャニング・テイタム、アカデミー賞受賞と同タイミングで怪演を見せたエディ・レッドメイン、さらにショーン・ビーンやヴァネッサ・カービー、ペ・ドゥナ、テリー・ギリアム(!)など錚々たる面々が出演している。しかもウォシャウスキー監督としては初の3D作品と、まさに鳴り物入りの話題作だった。

『ジュピター』© 2015 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC All Rights Reserved

なぜ公開時は酷評された? 改めて鑑賞してみたら……

いざ劇場公開されてみれば、映像は非常に美しく壮大で、IMAXのスクリーンで鑑賞するべきクオリティ。まるで80~90年代の映画のようにコテコテの説明パートから始まり、序盤の解説テンポも悪くない。しかし、大手メディアでは映像の美しさを称賛する一方で、作品全体としては酷評が相次いだ。マンガ的な王道展開のはずなのに、ボケっと観ていると置いてけぼりにされてしまう飲み込みづらいストーリーが主な要因だ。

『ジュピター』© 2015 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC All Rights Reserved

コメディでも人気を博していたテイタムの尖った耳など、中途半端な特殊メイクも嘲笑の的になった。物語に重厚さを与えてくれるはずのレッドメインの熱演は、なぜかシリアス風のコントに見える。世界観構築のためにディテールを凝った反面、宇宙空間の法則を無視したご都合描写などのせいで、結果的に物語への集中を阻害するノイズが多発。冒険活劇らしからぬ画面の“暗さ”も、観客の期待感とのバランスが悪かったのかもしれない。

『ジュピター』© 2015 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC All Rights Reserved

ただ、今改めて本作を観ると、ノイズに感じていたディテールが最高に楽しかったことに気づかされる。とくに中盤以降、クニス演じるジュピターが異星人たちに追われる地球パートは、アナログとハイテクの対比が秀逸でワクワクが止まらない。彼女が自身の運命を受け入れてからの本格的な銀河パートも、過去の様々なSF映画を想起させるコメディ展開で楽しませてくれたりする。

『ジュピター』© 2015 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC All Rights Reserved

ウォシャウスキーがアイデアを詰め込んだ珍作にして重要作

なによりウォシャウスキー監督が脳内にストックしていたであろうアイデアを目一杯詰め込もうとした意欲が感じられ、中には2020年代を先取りしていたようなSF描写も多々あり、細かなツッコミどころをスルーすればロマンたっぷりのSFドラマとして楽しめてしまう。どことないシュールさはギリアムのゲスト出演、つまり『未来世紀ブラジル』へのオマージュと考えれば納得(?)。肝心のクニスの演技、というか存在感がSFに合っていない感はあるものの、そのへんはスルー対象の範疇だ。

『ジュピター』© 2015 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC All Rights Reserved

あの『マトリックス』シリーズだって、思わず噴き出してしまうようなバカバカしいシーンが(とくに日本人からすれば)山ほどあったではないか。とにかくクライマックスあたりから「これ、どうやって締めるんだろう?」と気になって仕方がない、実際ズッコケそうになるラストまで含めて、『ジュピター』は今こそ観ておきたい2010年代屈指の珍作にして重要作と言えるだろう。

『ジュピター』© 2015 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC All Rights Reserved

『ジュピター』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2026年4月放送

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『ジュピター』

偉業を成す宿命の星座に生まれながら、働きづめの日々を送るジュピター。ある日、謎の戦士ケインが現れ、自分が宇宙最大の王朝一族の末裔だと知らされる。王朝の覇権を争う3人の継承者たちは、亡き母と同じ遺伝子配列を持つジュピターが、生まれ変わりとして引き継ぐ地球を狙っていた。

監督:ラナ・ウォシャウスキー リリー・ウォシャウスキー
出演:チャニング・テイタム ミラ・クニス ショーン・ビーン

制作年: 2014