「いまだにトラウマ」「何週間もうなされた」悪夢的ファンタジー『ジム・ヘンソンのウィッチズ』の抗えない魅力
偉大なる“人形劇”の巨匠ジム・ヘンソン
「ジム・ヘンソン」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、『セサミストリート』や『マペット』シリーズ、『恐竜家族』などの“人形劇”だろう。可愛らしい表情と色とりどり個性的な見た目のマペットたちが、まるで生きているかのように躍動するヘンソン作品の数々は、控えめに言っても“子ども番組のマスターピース”である。
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しかし、ヘンソンが手がけたのは子ども向け教育番組だけではない。デヴィッド・ボウイ主演のダークファンタジー『ラビリンス/魔王の迷宮』(1986年)やフル人形劇映画『ダーククリスタル』(1982年)で監督を務め、実写映画版『ミュータント・タートルズ』(1990年)ではキャラクターデザインを担当した。
彼が率いた<ジム・ヘンソン・プロダクションズ>等の制作スタジオはパペット系だけでなく、よりリアルなアニマトロニクスも導入。『ベイブ』(1995年)や『ドラゴンハート』(1996年)に大小さまざまな動物・怪物ギミックで携わり、日本では「hungry?」のキャッチコピーで有名な日清カップヌードルのCM、そして近年も『かいじゅうたちのいるところ』(2009年)や『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(2023年)などに技術提供している(※ジム・ヘンソンズ・クリーチャー・ショップ)。
そんな巨匠ヘンソンが手がけてきた数々の作品を愛でてきた方々は既知かと思うが、彼は手繰り人形に命を吹き込む名人というだけでなく、おどろおどろしいキャラクター造形を得意とするクリーチャー・クリエイターでもあった。その意匠が発揮されたのが『ラビリンス』や『ダーククリスタル』であり、それを突き詰めて(?)生まれたのが1989年の『ジム・ヘンソンのウィッチズ』だった。
『ジム・ヘンソンのウィッチズ』© Warner Bros. Entertainment Inc.
世界中のアラフォー世代が幼少期のトラウマを証言……
『ジム・ヘンソンのウィッチズ』のポップでダークな恐ろしさ
『ジム・ヘンソンのウィッチズ』のあらすじをざっくり説明すると、魔法で小さなネズミの姿に変えられてしまった少年が、大魔女の陰謀を潰すためにドタバタ活躍するファンタジックなアドベンチャー。監督は『アラビアのロレンス』(1962年)の撮影や『地球に落ちて来た男』(1976年)の監督を務めてきたニコラス・ローグ、しかも原作は「チャーリーとチョコレート工場」や「ファンタスティック Mr.FOX」などの映画化作品で知られるロアルド・ダールという豪華さだ。
『ジム・ヘンソンのウィッチズ』© Warner Bros. Entertainment Inc.
そして、ハリウッド黄金期を支えた脚本家/監督ジョン・ヒューストンの娘であり、父が監督した『女と男の名誉』(1985年)でアカデミー賞助演女優賞を受賞したアンジェリカ・ヒューストンが演じる、世界中の子供たちを消してしまおうと企んでいる<大魔女>が本作の白眉。
『ジム・ヘンソンのウィッチズ』© Warner Bros. Entertainment Inc.
1991年の『アダムス・ファミリー』でよく知られるアンジェリカだけに素の状態でも軽く怖いのだが、文字通り“化けの皮”を自ら剥がすシーンは今観てもギミックが分からないほどリアルで鳥肌もの。しかし生理的なヤダみと同時に不思議なカタルシスもあり、目が離せなくなってしまう。
『ジム・ヘンソンのウィッチズ』© Warner Bros. Entertainment Inc.
大魔女と少年ルークの戦いはハラハラ・ドキドキで、特殊メイクやストップモーションなどCGでは表現できない“ナマの恐ろしさ”が、前情報ゼロで観てしまった少年少女にトラウマを植え付けたであろうことは容易に想像できる。
『ジム・ヘンソンのウィッチズ』© Warner Bros. Entertainment Inc.
実際、海外のファンフォーラムや動画コメントには「一生消えないトラウマを与えた」「何週間も夢に見てうなされた」「今でもちょっと怖い」とアラフォー~アラフィフ世代であろう人々から大量のコメントが寄せられているが、アン・ハサウェイ主演の再映画版『魔女がいっぱい』(2020年)経由で本作の存在を知った若い世代のファンもいるようだ。
『ジム・ヘンソンのウィッチズ』© Warner Bros. Entertainment Inc.
そんな『ジム・ヘンソンのウィッチズ』が4月、CS映画専門チャンネル ムービープラスでTV放送される。“夜中にうっかり点けたTVで……”というのが最適な鑑賞スタイルとも言える80年代の怪しさ満点の作品なので、ぜひこの機会にチェックしてみては。ちなみに『Mr.ビーン』でお馴染み、本格ブレイク前のローワン・アトキンソンも出演しているのでお見逃しなく。
『ジム・ヘンソンのウィッチズ』© Warner Bros. Entertainment Inc.
『ジム・ヘンソンのウィッチズ』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2026年4月放送
『ジム・ヘンソンのウィッチズ』
両親を亡くし、おばあちゃんと一緒に英国の海辺のホテルにやってきた少年ルーク。ペットのネズミと遊んでいるうちに、大魔女たちが世界中の子供を消そうとしているのを知ってしまった。魔法の薬でネズミに変身させられたルークは、おばあちゃんの助けを借りて大魔女の陰謀に立ち向かう!
監督:ニコラス・ローグ
出演:ジェイセン・フィッシャー、アンジェリカ・ヒューストン、マイ・ゼターリング
| 制作年: | 1988 |
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CS映画専門チャンネル ムービープラスで2026年4月放送