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初来日アッル・アルジュンが語る!『プシュパ 君臨』の背景から方言演出、役作りまで深堀りインタビュー

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ライター:#安宅直子
初来日アッル・アルジュンが語る!『プシュパ 君臨』の背景から方言演出、役作りまで深堀りインタビュー
アッル・アルジュン
『プシュパ 君臨』©Mythri Movie Makers 2024
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アッル・アルジュンが語る『プシュパ 君臨』

長らく彼が演じてきたやんちゃな若者でもなく、「プシュパ・ラージュ」の虚勢と凄みもなく、生身のアッル・アルジュンがそこにいた。こちらをまっすぐに見据え、静かな深い声で澱みなく受け答えするその姿には、大スターの風格が確かにあった。

1月15日、映画『プシュパ 君臨』前夜祭での舞台挨拶に臨む前、過密スケジュールの合間をぬって主演スターであるアッル・アルジュンに話をうかがった。

『プシュパ 君臨』©Mythri Movie Makers 2024

「娘とスクランブル交差点、息子と地下鉄、妻とは銀座・浅草」

――すでに何度も尋ねられていることと思いますが、『プシュパ 君臨』の重要な舞台の一つでありながらロケはしていない日本にいらっしゃって、実際の日本の印象は?

本当は日本で撮影を行う予定でしたが、パンデミック時の渡航制限などさまざまな事情で叶いませんでした。そのため、日本の商売相手、ヒロシと会談する料亭のような建物も、巨大なセットを組んで撮影しました。ですから今回の訪問が正真正銘の初来日です。

空港で出迎えてくれた人たちとの短いやりとりが、日本のファンとの初の出会いでした。これから舞台挨拶で、もっとたくさんの人に会うのが楽しみでたまりません。

アッル・アルジュン
『プシュパ 君臨』©Mythri Movie Makers 2024

――舞台挨拶で日本のファンと対面すること以外で楽しみにしていることがあったら教えてください。また、到着されてから今までの間に楽しまれたことは何かありましたか?

家族でそれぞれに楽しんでいます。娘と一緒に渋谷駅前のスクランブル交差点を体験しましたし、息子は日本の地下鉄に乗る希望を叶えました。妻とは銀座でショッピング、そして浅草の浅草寺も観光しました。

もちろん日本料理も。私たち家族は皆、日本食が大好きです。ハイダラーバードには日本食レストランがありますが、本場の味はさすがです。特に肉料理は素材の質が格別でした。

 

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「自分の可能性を押し広げるターニング・ポイントとして、完璧な機会だと思った」

――『プシュパ』シリーズは、最初の段階でアルジュンさんが主演することは決まっていたのでしょうか。あるいはアルジュンさんのキャスティングが先にあって、あなたのためにストーリーが書かれたのでしょうか。

スクマール監督の方から私にアプローチがありました。私がオーケーしてから、私に合わせてキャラクターの練り込みが行われました。そういう意味では私のためにテーラーメイドされたものと言えるかもしれません。

――プシュパというキャラクターは、これまでのあなたのフィルモグラフィーの中でも特別に荒々しく土の香りがするもので、「スタイリッシュ・スター」、「アイコン・スター」というこれまでのあなたのタイトルとは正反対のものです。これを演じるのは、かなり勇気のいるものだったのではないでしょうか?

確かに、これまで演じてきたキャラクターとは全く異なるものでした。自分がある種の華やぎのある役柄で知られていることは認識しています。しかし、ごつごつとした荒くれたキャラクターを演じ、私の別の側面を披露するまたとないチャレンジとして、本作には全力で取り組みました。自分自身の可能性をさらに押し広げるターニング・ポイントとして、完璧な機会だと思ったのです。

『プシュパ 君臨』©Mythri Movie Makers 2024

――役作りで工夫した点、苦労した点があれば教えてください。また、チットゥール方言はあなたにとって簡単なものでしたか?

役作りの中で、チットゥール方言は確かに最も手強かったですね。私たちが普段話している標準的なテルグ語とはかなり違うものでしたから。4ヶ月にわたり特訓しました。

ちょうどパンデミックの頃で、度重なるロックダウンがあり、スクマール監督とボイストレーナー、脚本家、それに私とが、それぞれ違う場所からビデオ会議にアクセスして訓練したんです。午前中3時間、午後に3~4時間にもおよぶこともありました。本1冊に相当するほどの台詞をノートに書き出して練習しました。

『プシュパ 君臨』©Mythri Movie Makers 2024

――あの“手の甲で顎を撫でる”スタイルは誰がいつ考えついたのですか?

プシュパのトレードマークとなるアイコニックなスタイルは確かに必要で、ずっと考えていたんです。けれども決めかねている状態で、ともかくアクションシーンの撮影に臨みました。そこで、撮影の最中に頬から顎につたう汗を拭うため手の甲で拭ったんです。監督はそれを見逃さず、「これでいこう」ということになりました。つまり偶然の産物なんです。

それ以降、パワフルな台詞を口にする場面でこのジェスチャーを加えました。『プシュパ 覚醒』では左手だけでしたが、『プシュパ 君臨』では両手でやっていますよ。パート3ではどうなるでしょうね?(笑)

『プシュパ 君臨』©Mythri Movie Makers 2024

「スクマール監督は若い才能にチャンスを与える人なんです」

――本作中盤の「ガンゴー・レーヌカー・ジャータラ」の長大なシーンに強烈な印象を受けました。ですので、これを中心に質問させてください。ダンス、アクションのいずれもが素晴らしかったです。ダンス振付師とスタント振付師の名前を教えていただけますか?

ダンスの振り付けは大勢の振付師からなるチームでしたが、統括したのはヒンディー語映画界が本拠地で、その他の映画界でも手広く活躍しているガネーシュ・アーチャーリヤ・マスターでした。【※1】

スタント振り付けはまだ若いナバカントという人で、私たちは“ナブ”と愛称で呼んでいます。『プシュパ』シリーズのような大作では普通はベテランにお願いするのですが、監督がナバカントには非常に見どころがあると考えていたんです。そして実際に素晴らしい仕事をしてくれました。監督は若い才能にチャンスを与えることをする人なんです。【※2】

【※1】ガネーシュ・アーチャーリヤについてはNTR Jr.も以下の記事で言及しています。

――「ガンゴー・レーヌカー」という結合した名前を持つ神格について調べても見つかりませんでした。ガンガンマ女神、レーヌカー女神は見つかるのですが。これは本作の中にだけ存在する女神ですか?

実際にチットゥール地方で崇拝されている女神です。女神はその村々で違う名前を持っているので、本やインターネットでは見つからないかもしれません。そして、この祭礼は「ジャータラ」と呼ばれる種類のものです。

ジャータラは“エキジビション”という意味で、作中に見られるように、市(いち)のような空間で展開し、男性信徒が願掛けのために女装して詣でることもあるんです。これは実際に毎年ティルパティで行われている宗教慣行です。【※3】

『プシュパ 君臨』©Mythri Movie Makers 2024

【※2】ナバカント(Nabakanth):北東インド・マニプル州にルーツを持つ新進のスタント振付師。マニプルの伝統武術タンタ(Thang-Ta)の実践者である父の指導で各種武術を習得し、テルグ語映画のアクションシーン撮影の現場で14歳から働き始め、29歳にして本作『プシュパ 君臨』で独り立ちした。「ガンゴー・レーヌカー・ジャータラ」とクライマックスの長大な格闘シーンで振り付けを担当。この後も、ラーム・チャランやプラバースなどの出演作でスタント振り付けを担当する予定。

【※3】本作の舞台であるチットゥール県の隣、ティルパティ市にあるタータイヤグンタ・ガンガンマ寺院の「ガンガンマ・ジャータラ」では、男性信徒が苦行あるいは奉納の一形態として女装して詣でることで有名。

次ページ:アルジュンの「方言」解説&推薦インド作品
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『プシュパ 君臨』

南インドにのみ自生する高級木材・紅木(こうき)の密輸組織で、底辺から頂点まで成り上がったプシュパ。政治の中枢へと支配を広げながら、国境を超えて勢力を伸ばしていくプシュパは、コンテナに潜伏して横浜港に到着する。
一方、かつて屈辱を与えられた警視シェーカーワトは、プシュパを徹底的に潰そうと復讐に燃える。やがて、警察や政府を巻き込んだ抗争が始まる……!

監督・脚本:スクマール(『ランガスタラム』)
出演:アッル・アルジュン(『仕置人 DJ』、ファハド・ファーシル『ヴィクラム』)、ラシュミカー・マンダンナ(『シーターとラーマ』)ほか

制作年: 2024