「観たら落ち込む映画」第1位!『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』ほか“精神崩壊系”映画4選
祝!『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』初公開
映画ファンならば名前を聞いただけでピクリと反応してしまう鬼才にして名匠、ダーレン・アロノフスキー監督の初期代表作『レクイエム・フォー・ドリーム』が、4Kリマスター版で2月6日(金)より全国公開となる。
『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』© 2000 Requiem For A Dream, LLC. All Rights Reserved.
『ザ・ホエール』(2023)『ブラック・スワン』(2010)でアカデミー賞を受賞し、『レスラー』(2008)ではヴェネツィア国際映画祭⾦獅⼦賞に輝くなど、商業的にも作家的にも⼤きな成功を収めてきたアロノフスキー監督。わずか6万ドルの低予算で製作したデビュー作『π』(1997)でサンダンス映画祭最優秀監督賞を受賞し、⼀躍世界の注⽬を集めた彼の監督2作⽬が『レクイエム・フォー・ドリーム』だ。
『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』© 2000 Requiem For A Dream, LLC. All Rights Reserved.
本作は、イギリスの映画誌<EMPIRE>が選ぶ「落ち込む映画」第1位(2009年)、アメリカのWebサイト<Taste of Cinema>が選ぶ「⼼が砕ける傑作ベスト20」第1位(2016年)に輝くなど、観れば必ず⼼がえぐられる“トラウマ級の傑作”として映画史に刻まれることとなった。
『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』© 2000 Requiem For A Dream, LLC. All Rights Reserved.
“欲望”が“狂気(ホラー)”へと変貌する<精神崩壊系映画>4選
なりたい⾃分になるため、夢を叶えるための“⼿段”として薬物に⼿を出した者たちが、依存症となり薬物に溺れ堕ちていく姿を、圧倒的なビジュアル、強烈な映像センスで描いた本作。製作された2000年から四半世紀がすぎた現在、SNS の世界的普及によって情報はますます氾濫し、⼈間の欲望は無尽蔵に増⼤しつづけている。
恐怖の正体は、外ではなく⼈間の内側――果てしない欲望が⼈を壊していく過程を、⾔葉ではなく“映像体験 ”として突きつけた『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』の日本初公開を記念し、〈欲望〉が〈恐怖〉へと変貌していく“精神崩壊系”映画4作品を厳選してご紹介。観る者の神経を直接揺さぶる、逃げ場のない恐怖の系譜を辿ってみよう。
『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』© 2000 Requiem For A Dream, LLC. All Rights Reserved.
①「成功」への欲望
『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』
(ダーレン・アロノフスキー監督/※初公開:2000年)
2026年2月6日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開
物語の舞台はニューヨーク・コニーランド。サラ(エレン・バースティン)は⼀⼈息⼦のハリー(ジャレッド・レト)と暮らしている。サラの唯一の楽しみは、TVを⾒ながらチョコレートを⾷べること。ある日、⼤好きなクイズ番組のスタッフを名乗る⼈物から出演を依頼されたサラは、サイズアウトした⾚いワンピースを着るために「ダイエット薬」に⼿を出す。
ハリーは恋⼈マリオン(ジェニファー・コネリー)との未来に向けて友⼈のタイロン(マーロン・ウェイアンズ)と麻薬売買を始める。それぞれに夢を抱いていたはずの彼らは、やがて抜け出せない地獄へと堕ちていく――。
『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』© 2000 Requiem For A Dream, LLC. All Rights Reserved.
抑えきれない成功と幸福への欲望が、やがて中毒となって精神と⾝体を同時に破壊していく。外部からのモンスターではなく、自らの<欲望>そのものがホラーになる。そして映像で全てを物語る体感映画でもある。
②「完璧」への欲望
『ブラック・スワン』(ダーレン・アロノフスキー監督/2010年)
ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナ(ナタリー・ポートマン)は、元ダンサーの⺟の過剰な愛情のもと、⼈⽣のすべてをバレエに捧げてきた。そんな彼⼥に、新作「⽩⿃の湖」で主役を務める機会が訪れる。求められるのは無垢な⽩⿃と官能的な⿊⿃という正反対の存在を同時に演じ切ることだが、⽣真⾯⽬なニナにとって、その重圧はあまりに⼤きい。さらに、⿊⿃の資質を感じさせる奔放な新⼈ダンサー、リリーの存在が、彼⼥の精神を追い詰めていく。役作りに没頭するうち、ニナは現実と幻覚の境界を⾒失い、⾃らの内なる闇に飲み込まれていく――。
ナタリー・ポートマンの⻤気迫る演技が絶賛され、第83回アカデミー賞主演⼥優賞を獲得。完璧でありたいという欲望が、⾃我を分裂させ、⾃⼰破壊へ。⾃⼰と狂気の境界が消える瞬間を描き、『レクイエム・フォー・ドリーム』からさらなる新しいジャンルを確立した。
③「愛情」への欲望
『ミッドサマー』(アリ・アスター監督/2019年)
家族を不慮の事故で失ったダニーは、⼤学で⺠俗学を研究する恋⼈や友⼈と共にスウェーデンの奥地で開かれる“90年に⼀度の祝祭”を訪れる。美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住⼈が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの⼼はかき乱されていく。
妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。孤独から解放されたい、愛されたいという欲望が、異常な共同体に“適応”してしまう。救われたように⾒える結末が、最も恐ろしい。
④「美と若さ」への欲望
『サブスタンス』(コラリー・ファルジャ監督/2024年)
50歳を超え、容姿の衰えとそれによる仕事の減少から、新しい再⽣医療<サブスタンス>に⼿を出した元トップ⼈気⼥優エリザベス(デミ・ムーア)。するとエリザベスの背を破り脱⽪するかのように若く美しい、エリザベスの“上位互換”的存在の「スー」が現れる。はち切れんばかりの美しい肢体と美貌、そしてエリザベスの経験を持つ新たなスターの登場に⾊めき⽴つテレビ業界。スーは⼀気にスターダムへと駆け上がっていく。
しかし、2つの⾝体で1つの精神をシェアする存在であるエリザベスとスーは、それぞれの⽣命とコンディションを維持するために、1週毎に⼊れ替わらなければならない。ところがスーがルールを破りはじめ……。<より良い⾃分=美と若さ>への飽くなき欲望が、⾃分で⾃分の精神と⾝体を破壊する。美と若さ欲望への執着の果てに待つ地獄なのか? それとも――。
過剰なクローズアップ、スピード感溢れるモンタージュ、注射や瞳孔といった繰り返される同⼀ショットなど、精神が壊れる感覚の映像化という点でも『レクイエム・フォー・ドリーム』との類似点が多い。