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現在の「ハリウッド・アクション」を形作ったのは誰?マーヴィン&イーストウッドの貢献と意外な共通点

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ライター:#谷川建司
現在の「ハリウッド・アクション」を形作ったのは誰?マーヴィン&イーストウッドの貢献と意外な共通点
『ポイント・ブランク』『ダーティハリー』劇場パンフレット:筆者私物
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クリント・イーストウッドが自身の進むべき道を見つけた二作品

マーヴィンからバトンタッチしてドン・シーゲル作品の顔となったイーストウッドは、『ダーティ・ハリー』ではサンフランシスコ市警殺人課の刑事を演じて好評を博した。組織のはみ出し者で、凶悪犯の人権など糞食らえとばかりに追い詰めて情け容赦なく撃ち殺す男、ハリー・キャラハンだ。そして4本の続編も製作され、うち『ダーティ・ハリー4』(1983年)では監督を兼任。そのイーストウッドが、ハリー・キャラハンとは別の刑事役を演じて大ヒットし、その後の彼の路線を決定づけたのが『ガントレット』(1977年)だ。

『ガントレット』劇場パンフレット:筆者私物

マフィアに関する大事な証言をする囚人護送の任務に就いた冴えない刑事という役だが、実はそれを命じた警察上層部はマフィアと繋がっており、護送役のイーストウッド共々囚人を消そうと殺し屋を差し向ける。迫りくる危機を次々と回避するうちに、彼の刑事としての本来の実力も開花していくのだが、護送される囚人というのが実は女性で、それをイーストウッド自身の監督主演作『アウトロー』(1976年)で起用し気に入ったソンドラ・ロックに演じさせている。これを機に、イーストウッドとソンドラ・ロックはパートナーとなり、彼女は計6本のイーストウッド主演作品でヒロインを演じることになった。

『ガントレット』© 1977 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

その意味で、『ガントレット』は1970~80年代におけるイーストウッド映画のプロトタイプとなったとも言え、二人の共演作品の数々はイーストウッドにとって、身内で楽しんでアクション・コメディ路線の映画を作っていた時代の記念碑になった。

ドン・シーゲル監督からイーストウッドへの継承

イーストウッドは2000年代以降もっぱら格調高い映画の数々を監督する巨匠というイメージになったが、監督業に進出したのは早く、監督兼主演として手掛けた第1作は『恐怖のメロディ』(1971年)だから、既に監督歴54年という長いキャリアだ。

主演を兼ねた監督作品はアクション、西部劇、コメディ、ドラマと様々なジャンルだが、アクション系の作品だと、やはりドン・シーゲル監督から受け継いだバイオレンスシーンが特徴的なハードボイルド・タッチのアクション映画の延長上にある。師匠シーゲルと違うところは、イーストウッド監督作品の場合は師匠よりもカラッとしていて笑いもあり、よりメインストリームのハリウッド映画になっているところだろう。

『ダーティハリー4』© Warner Bros. Entertainment Inc.

シーゲル監督、イーストウッド主演の作品は5作品あるが、その最後の顔合わせとなったのが『アルカトラズからの脱出』(1979年)。これはタイトルの通り、速い潮流で誰もが溺れてしまうため脱出絶対不可能とされたサンフランシスコ湾に浮かぶ孤島アルカトラズの刑務所から泳いで脱獄する囚人の物語。

――実は、リー・マーヴィンの『殺しの分け前/ポイント・ブランク』もこの島が重要な舞台となっていた。仲間から裏切られ、廃墟となっていたアルカトラズ島に独り取り残されたマーヴィンが、この島から泳いで海岸まで辿り着いたという設定だ。

『殺しの分け前/ポイント・ブランク』©2025WBEI

監督としてドン・シーゲルを受け継いだ形のイーストウッドは、監督兼主演作品としてアカデミー作品賞・監督賞に輝いた『許されざる者』(1992年)を、師匠であるドン・シーゲルとセルジオ・レオーネに捧げたのだった。

文:谷川建司

『ダーティハリー』『ガントレット』ほかクリント・イーストウッド主演作はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2025年6月放送

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