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ミッキーは「蒸気船」の頃からワルだった?次にホラー化する有名キャラは?『マッド・マウス』監督インタビュー

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ミッキーは「蒸気船」の頃からワルだった?次にホラー化する有名キャラは?『マッド・マウス』監督インタビュー
『マッド・マウス ~ミッキーとミニー~』©MMT LTD 2024. All Rights Reserved.
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夢の国から斧をフルスイング

作品の保護という観点で著作権法は非常に有用だと思うが、単なる金儲けのために創造物を過度に独占してしまうのは賛否の分かれるところだろう。

ミッキーマウスの初出となった『蒸気船ウィリー』(1928年)は、2004年にパブリックドメイン(誰でも自由に使える状態)になるはずだった。しかし、ウォルト・ディズニー社の熱心な活動により著作権延長法(俗称:ミッキーマウス保護法)が制定され、75年で切れるはずだった著作権は95年に延長された。

95年にわたり著作権に縛られてきたキャラクターたちが「シテ……コロシテ……」と苦痛を感じていたかどうかは知る術もないが、著作権が切れるや否や鬱屈した心を晴らすが如く、おしなべて殺人鬼へと変貌を遂げている。3月7日(金)より公開の『マッド・マウス ~ミッキーとミニー~』もそうだ。

『マッド・マウス ~ミッキーとミニー~』©MMT LTD 2024. All Rights Reserved.

なぜミッキーを殺人鬼に? 監督に聞いてみた!

「ミッキーマウス」と「スタートレック」が好きなゲーセンの店長が、ミッキーのかぶりものをした殺人鬼に変貌。テレポーテーションの特殊能力を使いつつ、若者を次々とぶっ殺していく。これまで登場したパブリックドメイン・キャラクターを使ったパロディーホラーと大きな違いはないが、作品に漂う“あたおか”感は並々ならぬものがある。

一体、どこの誰が何を考えてこんな自棄っぱちの映画を作ったのか? 監督のジェイミー・ヘイリーがイベント上映のため来日しているとのことで、お話を伺ってきた。しかも、サプライズでミッキーの“中の人”を演じた、米インディーズホラー映画界の名優サイモン・フィリップも自費で遊びに来てくれていた!

ジェイミー・ベイリー監督、サイモン・フィリップス 『マッド・マウス ~ミッキーとミニー~』©MMT LTD 2024. All Rights Reserved.

「元々のミッキーのキャラクター性を引き継いでいる」

――わ、サイモンさん! まさかお目にかかれるとは思ってなかったです。

サイモン:ぼく抜きではこの映画は語れないからね(笑)。

――さて、ベイリー監督は悪戯好きですよね?

ベイリー:もちろん!(笑)。

――そこで伺いたいんですが、本作は何よりもミッキーが“いたずら”をして観客を怖がらせ、そして楽しませることに熱量を注いだように思えます。

ベイリー:理由なく殺すというのは、怖いよね。次に何をするのか分からないし。本作は純粋なキラーとしてミッキーを動かした結果なんだ。でも、『蒸気船ウィリー』のミッキーも結構なワルだからね。正直、元々のミッキーのキャラクター性を引き継いでいると言ってもいいよね。

『マッド・マウス ~ミッキーとミニー~』©MMT LTD 2024. All Rights Reserved.

――『サウスパーク』(1997年~)などでもよく目にしますが、ミッキーのようなディズニーキャラクターが暴力的な行為を行うことに魅力を感じる観客が多いのは何故だと思いますか?

ベイリー:子供時代に楽しませてくれたキャラクターが、初対面時と真逆のことをするのは、単純に面白いと思うんだ。サウスパークに登場したミッキーがまさにそれで、本作もそれに倣っているよ。サイモンは観た?

サイモン:もちろん!

ベイリー:ハハッ!(ミッキーの声マネをしつつ、殴る動作をする)

サイモン:ハハッ!

――あの……本作のミッキーはテレポーテーションしますが、あれは何か意味があったのでしょうか?

ベイリー:“中の人”が「スタートレック」のファンでもあるから……。

――エンタープライズ号のようにワープするということ……ですか?

ベイリー:いや、冗談だよ。ぶっちゃけ満足のいく答えは言えない。ただ、舞台となったゲームセンターが広いから、あちこちに出現させる一番良い方法がテレポーテーションだったんだ。神出鬼没の怖さを狙ってもいるよ。

『マッド・マウス ~ミッキーとミニー~』©MMT LTD 2024. All Rights Reserved.

次ページ:ミッキーの次に「悪くしたい」有名キャラとは?
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『マッド・マウス ~ミッキーとミニー~』

21歳の誕生日を迎えるアレックスは、バイト先のゲームセンターで店長から残業を頼まれ、夜遅くまで働くことに。一人きりの店内で不気味な人影を目撃した彼女は恐怖心を募らせるが、旧友たちによる誕生日祝いのサプライズパーティーであったことを知り安堵する。だが、楽しい時間も束の間、彼女たちの前に謎の”ヤツ”が出現。アトラクションを楽しむかのようにデスゲームを開始し、次々と血祭りにあげていく……!

監督・制作・編集・撮影:ジェイミー・ベイリー
脚本・製作:サイモン・フィリップス
作曲:ダーレン・モルゼ
出演:ソフィー・マッキントッシュ、マッケンジー・ミルズ、サイモン・フィリップス、カラム・シウィック

制作年: 2024