激渋テーマなのに批評サイトで「97%高評価」の理由とは?実在の開拓者をマッツ・ミケルセンが熱演『愛を耕すひと』
18世紀デンマーク開拓史の重要人物
「北欧の至宝」という枕詞も不要となった世界的名優、マッツ・ミケルセンの主演作『愛を耕すひと』が2月14日(金)より公開中だ。第96回アカデミー賞で国際長編映画賞デンマーク代表に選出された本作で描かれるのは、マッツの母国デンマーク開拓史の英雄と呼ばれる実在の人物である。
『愛を耕すひと』© 2023 ZENTROPA ENTERTAINMENTS4, ZENTROPA BERLIN GMBH and ZENTROPA SWEDEN AB
18世紀デンマーク。退役軍人のルドヴィ・ケーレン大尉は、貴族の称号を懸け、ひとり荒野の開拓に名乗りを上げた。しかし、それを知った有力者フレデリック・デ・シンケルが、ありとあらゆる手段でケーレンを追い払おうと躍起になる。襲いかかる自然の脅威とデ・シンケルからの非道な仕打ちに抗いながらも、しかしケーレンは開拓を諦めない。
やがて、シンケルのもとから逃げ出した使用人の女性アン・バーバラや、家族に見捨てられた少女アンマイ・ムスとの出会いにより、ケーレンの頑なに閉ざした心に変化が芽生えてゆく。つらく厳しい挑戦の果てに、それぞれが見つけた希望とは……。
『愛を耕すひと』© 2023 ZENTROPA ENTERTAINMENTS4, ZENTROPA BERLIN GMBH and ZENTROPA SWEDEN AB
マッツ・ミケルセンは映画ファンの期待を裏切らない
本作はおそらくフレデリク5世の時代、しかも史実をベースにしたデンマーク開拓時代という渋いテーマにも関わらず、辛口で知られる某レビューサイトで批評家スコアと観客スコアともに95%超えという驚異的な支持を得ている。その高評価の大きな理由の一つがマッツ・ミケルセンで、「マッツは当然のように素晴らしい」という信頼感が伝わってくる。どんな作品でどんな役を演じていても観客を釘付けにする、唯一無二の存在感に抗うことはできない。
『愛を耕すひと』© 2023 ZENTROPA ENTERTAINMENTS4, ZENTROPA BERLIN GMBH and ZENTROPA SWEDEN AB
そんなマッツが開拓に挑む荒野ヒースは「岩と砂しかない不毛の地」という表現がいっさい大げさでないレベルの不毛ぶり。その広大さも相まって絶望するしかなく、しかもそれがズズーンとオープニングのタイトルバックになっていて、序盤から卒倒しそうになる。
そこに重なる原題『Bastarden』は、“出自のはっきりしない者”というケーレンの存在を示す。なお英題は西部開拓になぞらえた『The Promised Land(約束の地)』というもので、「困難への挑戦」「苦しみに耐える不屈の精神」といった宗教的背景は開拓精神とも繋がってくる。
『愛を耕すひと』© 2023 ZENTROPA ENTERTAINMENTS4, ZENTROPA BERLIN GMBH and ZENTROPA SWEDEN AB
『愛を耕すひと』
第62回ベルリン国際映画祭でふたつの銀熊賞に輝いた、18世紀デンマーク王宮を舞台にしたラブストーリー『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』(12)以来となる、ニコライ・アーセル監督と“北欧の至宝”マッツ・ミケルセンの二度目のタッグが実現。ふたりが再び描くのは、時を同じくしたデンマーク開拓史の裏に隠された、ある愛の物語。
監督:ニコライ・アーセル
脚本:ニコライ・アーセル、アナス・トマス・イェンセン
原作:イダ・ジェッセン「The Captain and Ann Barbara(英題)」
出演:マッツ・ミケルセン、アマンダ・コリン、シモン・ベンネビヤーグ
制作年: | 2023 |
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2025年2月14日(金)より全国公開中