『ロケットマン』がカンヌでワールドプレミアをした理由

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ライター:石津文子
『ロケットマン』がカンヌでワールドプレミアをした理由
『ロケットマン』©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
ミュージカル・スター、タロン・エガートン誕生!カンヌ映画祭でコンペ外ながら、大反響を呼んだ『ロケットマン』。『ボヘミアン・ラプソディ』に続けと、勢いに乗るこの話題作とカンヌの強い繋がりを解説します。

エルトンがカンヌで陽気に歌って踊るミュージック・ビデオ

『ロケットマン』©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

英国が生んだスーパースター、エルトン・ジョンの波乱万丈の半生を描いたミュージカル映画『ロケットマン』では、『キングスマン』のタロン・エガートンが、エルトンになりきってド派手な衣装に身を包み、見事な歌を披露した。王立演劇学校時代、歌のコンテストで優勝したこともあるというタロンは、エルトン最初のヒット曲「僕の歌は君の歌(ユア・ソング)」にはじまり、「ロケットマン」、「クロコダイル・ロック」、「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」から、「アイム・スティル・スタンディング」まで縦横無尽に歌いまくり、踊りまくる。

タロンは声の出演をした『SING/シング』でも「アイム・スティル・スタンディング」を歌っていたが、実はこの曲にこそ『ロケットマン』がカンヌでワールド・プレミアをした理由がある。1983年にリリースされたこの曲のPVは当時とても流行ったが、そのロケ地こそカンヌなのだ!

カンヌを代表するホテル、<インターコンチネンタル カールトン カンヌ>のビーチでエルトンが歌って踊るシーンを再現した場面(おそらく背景は当時のPVのままで、タロンとエルトンだけ入れ替えている)には震えてしまった。

<インターコンチネンタル カールトン カンヌ(2019年5月撮影)>

この曲がヒットした当時、高校生だった筆者は、「ベスト・ヒット・USA」などでこのビデオを飽きるほど見ていたはずなのに、カンヌでロケをしていたとは気づいていなかった。いや、当時、小林克也が話していた気もするが、忘れてしまっていた。カンヌでこのシーンを観て感激したが、日本でもYouTubeなどでこのPVを見てから映画を観れば、感動は倍増するはず。カンヌでの上映後に行われたパーティーでは、エルトンとタロンが生歌を聞かせたそうで、呼んでほしかったよ。

『ロケットマン』はエルトン自身が製作総指揮を務め、80年代後半にアルコール依存症のリハビリ施設に入ったところから、人生を振り返るという設定。歌は実際にヒットした順番ではなく、エルトンの人生と歌詞がシンクロしている場面に歌が組み込まれるミュージカル形式になっている。ここで気がつくのは、エルトンの歌詞の大半を手がけた作詞家バーニー・トーピンの存在の大きさだ。バーニーの歌詞がいかに素晴らしく、そしてエルトンの心情を、そして時代を反映させていたかがよくわかる。カンヌでの公式上映では、エルトンとバーニーが揃って姿を見せ、会場を大いに沸かせた。

バーニー・トーピンを演じるのは、ジェイミー・ベル。『リトル・ダンサー』(2000年)と違ってジェイミーが踊る場面があまりないが、歌うシーンはあり、両親やマネージャーで恋人のジョン・リードから愛されず、酒やドラッグに溺れるエルトンの支えとなる親友バーニーを好演している。ジェイミーがカンヌには来なかったのが残念! ジョンを演じるのは『ゲーム・オブ・スローンズ』のリチャード・マッデン。タロンといい、ジェイミーといい、リチャードといい、英国若手俳優の演技の幅の広さには毎度のことながら驚かされる。さらにエルトンを発掘した最初のマネージャー、レイを演じた新星チャーリー・ロウもチャーミングなので要注目。そして怪物的なエルトンの母を演じたのは、ブライス・ダラス・ハワード。英国アクセントが見事で、最初はブライスだと気づかなかった!

監督は『ボヘミアン・ラプソディ』でも実質的に演出を手がけた(ブライアン・シンガーが途中降板したため)デクスター・フレッチャー。彼自身も俳優なせいか、若手の起用が今回もずばりはまっている。

文:石津文子

『ロケットマン』2019年 8月23日(金) 全国ロードショー!

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ロケットマン

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制作年: 2019
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