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なぜロバート・デ・ニーロは“コメディ映画にも出る”のか? オスカー2度受賞の名優が「マフィアなセルフパロディもOK」なワケ

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ライター:#谷川建司
なぜロバート・デ・ニーロは“コメディ映画にも出る”のか? オスカー2度受賞の名優が「マフィアなセルフパロディもOK」なワケ
『グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告』©2020 MARRO WWG LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
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オスカー7度ノミネート・2度受賞の名優、コメディ映画への出演歴

デ・ニーロというと、若い頃から徹底的な役作りで演じる人物に成りきってしまうカメレオン俳優として知られ、アカデミー賞ノミネートは『ゴッドファーザーPARTII』(1974年)、『タクシードライバー』(1976年)、『ディア・ハンター』、『レイジング・ブル』(1980年)、『レナードの朝』(1990年)、『ケーブ・フィアー』(1991年)、『世界に一つのプレイブック』(2012年)と7度を数え、うち『ゴッドファーザーPARTⅡ』で助演男優賞、『レイジング・ブル』で主演男優賞を受賞している現代の名優だ。

レイジング・ブル (字幕版)

 

若い頃に端役出演した『御婚礼 ザ・ウェディング・パーティー』(1968年)は例外として、基本的には、同世代の俳優たちの中でもアメリカ映画界の至宝というべき立場の彼は、ドラマにおいて演技力を要する難しい役を見事にこなす名優というイメージが強く、コメディ映画にはあまり縁がなかった。

『キング・オブ・コメディ』(1983年)はタイトルに反して誇大妄想狂の男の話だし、『俺たちは天使じゃない』(1989年)、『恋に落ちたら…』(1993年)、『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』(1997年)などは作品としてはコメディに分類されるものの、映画の中で彼がコミカルな演技をしているわけではない。強いて言えば、『未来世紀ブラジル』(1985年)はコミック・リリーフ的な役柄だったし、『ミッドナイト・ラン』(1988年)は賞金稼ぎのデ・ニーロと彼に捕われた男とがニューヨークからロサンゼルスまで共に旅をする中で友情を育んでいくアクション・コメディで、実はデ・ニーロにはコミカルな演技が似合うのではないか、と予感させる作品だった。

ミッドナイト・ラン (字幕版)

©1988 Universal Studios. All Rights Reserved.

50歳代後半以降に増えたコメディ映画への出演

そんなデ・ニーロがほぼ初めて本格的なコメディ映画でコミカルな演技を披露したのが、56歳の時に出演したハロルド・ライミス(『ゴーストバスターズ』シリーズの生みの親)監督・脚本の『アナライズ・ミー』(1999年)で、パニック障害に陥って精神科医ビリー・クリスタルの治療を受けるニューヨークのマフィアのボスというセルフ・パロディ的な役柄で新境地を見せた。

その後、同作品の続編『アナライズ・ユー』(2002年)、ベン・スティラーと共演した『ミート・ザ・ペアレンツ』シリーズ3作品(2000年、2004年、2010年)での元CIAのパパ役、『トラブル・イン・ハリウッド』(2008年)での周囲の人間に振り回される映画プロデューサー役、『マラヴィータ』(2013年)でのFBI証人保護プログラムによって一般人のふりをしている元マフィア役など、主として彼自身の代表作である『ゴッドファーザーPARTⅡ』、『グッドフェローズ』(1990年)、『カジノ』(1995年)、『ヒート』(1995年)などのセルフ・パロディをコミカルに演じる機会が格段に増えた。

マラヴィータ (字幕版)

アメリカの権威ある新聞や雑誌の映画批評家は、そうしたパロディ的な映画にせっせと出演するようになったデ・ニーロに対して“天から授かった演技の才能を浪費している”と批判しているが、『ミート・ザ・ペアレンツ』などは続編が2本も作られるほど大ヒットしており、つまりは観客からは支持されているわけだ。

ミート・ザ・ペアレンツ (字幕版)

©2000 Universal Studios & DreamWorks LLC.All Rights Reserved.TM & © 2012 DW Studios L.L.C. and Universal Studios. All Rights Reserved.

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