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日本のスタントチームが 『ジョン・ウィック:コンセクエンス』のアクションを作った! 川本耕史&伊澤彩織が語るキアヌ、ドニー、真田との激レア撮影秘話【前編】

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ライター:#ギンティ小林
日本のスタントチームが 『ジョン・ウィック:コンセクエンス』のアクションを作った! 川本耕史&伊澤彩織が語るキアヌ、ドニー、真田との激レア撮影秘話【前編】
川本耕史 伊澤彩織
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「“『るろ剣』やってたんだ? すごい!”って」

―川本耕史さんはファイトコレオグラファー、伊澤彩織さんはスタントパフォーマーとして参加された『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の大阪コンチネンタルホテルでの戦闘シーンは素晴らしすぎました! あまりのアクションの熱量のすごさに「これがクライマックスなのか」と思うぐらいの衝撃を受けました。

川本伊澤:ありがとうございます(笑)。

―お二人が本作に参加することになった経緯を教えてもらえますか?

川本:『るろうに剣心』シリーズ(2012年ほか)でアクション監督をしていた谷垣健治さんとチャド・スタエルスキ監督が知り合いで。チャドさんが谷垣さんに「次の『ジョン・ウィック』は日本をテーマにしたいから、刀や空手などのファイトを作れる人を知っていたら紹介してほしい」と相談して僕が紹介された、という感じです。

―谷垣健治さんの紹介だったんですね。

川本:それで日本人の男性スタントマンたちと2021年3月に、大阪コンチネンタルホテルのシーンを撮影するためドイツに行きました。そして「女性スタントが必要だから日本のチームに連れてきてほしい」と言われたので、女性スタントで一番信頼できる伊澤さんと和田崎愛さんに6月に合流してもらいました。

伊澤:私が参加した時は、5人の日本人の先輩方とアメリカのチームがいて、私と10人ぐらいの日本人が追加で合流しました。それからドイツ、フランス、ブルガリアからも徐々にスタントパフォーマーが集結して、撮影が始まる頃には50人くらいいましたね。

―ご自身が参加される以前の『ジョン・ウィック』シリーズには、どんな感想を抱いていたのですか?

川本:1作目『ジョン・ウィック』(2014年)を観た時に、素晴らしいなと思いました。撃ち合いの距離感の斬新さで、銃撃戦の新しい歴史を作った作品だと思います。だから、今回呼んでいただいた時は「『ジョン・ウィック』か!」って興奮しました(笑)。

伊澤:私もシリーズのファンだったので「『ジョン・ウィック』だ!」って思いましたよ(笑)。1作目を初めて観た時は、衝撃でした。スゴ腕の殺し屋だけどテキパキ殺すのではなく、苦戦しながら倒していく、その姿を長尺で、俳優の全身が映るようなサイズで撮影して、銃のリロードなどの所作もちゃんと見せてくれるところに感動しました。すごく好きな作品です!

川本耕史

―チャド監督や本作の出演者、スタッフたちはお二人の過去作を観ていましたか? 

川本:みんな『るろうに剣心』シリーズは観てましたね。「あんなアクション、どうやって撮ったんだ!?」と聞かれました。皆さん、いい意味で「Fuck’n Cool!」と言ってくれて。

伊澤:私もスタントマンの人たちに「『るろ剣』参加したんだ!? すごい!」って言われました。

―伊澤さんが主演されている『ベイビーわるきゅーれ』シリーズは、海外のアクション映画情報サイトでも高い評価を得ています。今回の作品でご一緒された方たちで観ている方はいましたか?

伊澤:ちょうど1作目の『ベイビーわるきゅーれ』(2021年)の公開がはじまる時に、『ジョン・ウィック~』のドイツの撮影に行かせてもらっていたので、日本での舞台挨拶をすっぽかしてしまって……(笑)。

川本:舞台挨拶に行けなかったのは僕のせいです(笑)。

―2021年は伊澤さんにとって、初主演作『ベイビーわるきゅーれ』公開、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』参加とビッグイベントだらけの年だったんですね。

伊澤:そうですね。『ジョン・ウィック~』の撮影中、チャドさんに「今、日本で上映しているんですよ」と、『ベイビー~』のラストファイト・シーンの動画を観てもらったんです。そしたら、「おお! フィメール・ジョン・ウィック!」と言ってくださって。

―本家から最高の褒め言葉をいただいたんですね(笑)。

伊澤:『ジョン・ウィック』シリーズの銃撃戦の所作に影響を受けていたので、すごく嬉しかったです。最高の褒め言葉でした(笑)。

伊澤彩織

「リアルな暴力として人を制圧するヌンチャクの使い方を見せたかった」

―お二人が参加した、大阪・コンチネンタルホテルでの戦闘シーンはキアヌ・リーブスさん、ドニー・イェンさん、真田広之さん、マルコ・サロールさんというアクション映画ファンには奇跡のような面子が集まっただけでなく、大阪コンチネンタルホテルと主席連合の兵隊たちが入り乱れて戦うゴージャスな戦闘シーンになっています。このシーンのファイトコレオグラファーを全部、川本さんが担当されたんですか?

川本:基本的にはそうですね。

―撮影現場には、ファイトコレオグラファーの川本さん以外にもアクション出身のチャド・スタエルスキ監督、ファイトコーディネーターとして<87イレブン・アクション・デザイン>のジェレミー・マリナスさんもいますよね。ファイトシーンの振り付けは、どのような経緯で決まっていったのですか?

川本:現場の流れで変わりましたね。大阪・コンチネンタルホテルの屋上で、シマヅ・コウジ(真田広之)の娘アキラ(リナ・サワヤマ)とキアヌ・リーブスさんが同時に戦っているシーンでは、僕はリナさんを、ジェレミーさんがキアヌさんのアクションを担当しています。ホテルの中にある美術館に入ってからの銃撃のアクションは、僕がキアヌさんのアクションを担当しました。

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』®, TM & © 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

―大阪・コンチネンタルホテル内の美術館での戦いといえば、キアヌさんがヌンチャクを使って戦うシーンが印象深かったです。

川本:ヌンチャクを使うファイトはチャドさんが「やりたい」と言ったんです。それで僕がヌンチャクの戦い方のベースをリハーサルで作って、それをジェレミーさんが改良していった感じです。キアヌさんがヌンチャクを自分の首にかけたり、ヌンチャクの鎖の部分を手に巻きつけて一本の棒みたいに持って使うアイデアは、伊澤さんです(笑)。

―あれ、カッコ良かったです!

伊澤:ありがとうございます(笑)。

―これまでのアクション映画でヌンチャクを使うと、ブルース・リーのような使い方になるんですけど、今回の使い方は斬新かつアグレッシブで「実際は、この映画のような使い方をして人を倒すのかな」という説得力に満ちあふれていました。

川本:乱暴な戦いにしたかったんです。リアルな暴力として人を制圧するヌンチャクの使い方を見せたい、と思ってベースを作りました。

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』®, TM & © 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

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『ジョン・ウィック:コンセクエンス』

裏社会の掟を破り、粛清の包囲網から生還した伝説の殺し屋、ジョン・ウィック。地下に身を潜めながら、全てを牛耳る組織:主席連合から自由になるために立ち上がった。組織内での勢力拡大を狙う若き高官、グラモン侯爵は、これまで聖域としてジョンを守ってきたニューヨークのコンチネンタルホテルを爆破、ジョンの旧友でもあった盲目の達人ケインを強引に引き入れ、ジョン・ウィック狩りに乗り出す。そんな中、日本の友人シマヅの協力を求めてジョンが大阪のコンチネンタルホテルに現れた……。

監督:チャド・スタエルスキ
脚本:シェイ・ハッテン マイケル・フィンチ

出演:キアヌ・リーブス
    ドニー・イェン 真田広之
    ビル・スカルスガルド ローレンス・フィッシュバーン
    シャミア・アンダーソン ランス・レディック リナ・サワヤマ
    スコット・アドキンス イアン・マクシェーン

制作年: 2023