年末年始だけでOK?Netflixで本当に今イッキ観できるドラマのススメ

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ライター:#アナイス
年末年始だけでOK?Netflixで本当に今イッキ観できるドラマのススメ
「DEVILMAN crybaby」©Go Nagai-Devilman Crybaby Project
今年もお疲れ様でした。年末になるにつれて、何故か知らないけど会社から全然帰れない日が続いたり、忘年会の嵐で寝不足がちになったり……。もう年末年始は自宅で療養していたい、自分の時間を楽しみたい。そんなあなたに心の底から勧めたい、年末年始の休みにイッキ観できるNetflixで配信中のドラマをジャンル別に紹介したいと思う。

年末年始、自宅に籠りたいそこのあなたを、Netflixという名の果てしない宇宙(沼)が待っている

1、全人類がカタルシスを感じまくるアニメ『DEVILMAN crybaby』

普段アニメを観慣れていない映画ファンにこそ、観てほしい本シリーズ。永井豪の『デビルマン』を原作とし、多少オリジナルの要素を踏まえつつも原作の起承転結を10話で描いている。

タイトルにもある“crybaby”とは“泣き虫”という意味で、主人公の不動明もといデビルマンのことを指す。心優しく純粋で善良な彼と、その親友の飛鳥了はある日パーティに参加する。そこで明は「デーモン」に憑依され、デビルマンとなり人間界に身を隠す悪魔を退治していくのだけど……。

徐々に人間が、悪魔の存在に気づき始め「隣人こそ悪魔なのではないか」という疑心暗鬼となっていく。もうこう説明するだけで、本作で何が起きるか、勘の良い方はわかるかもしれない。明はデビルマンとして、本来仲間である悪魔を退治していくが、その過程で彼らにも愛や感情があることを知る。では、人間と悪魔の違いとは、何か。人間らしさとは、何なのか。そんな問いを、湯浅政明監督独特の映像美で描いていく。正直、エロもあればグロもあり。後半にかけて胸糞悪くなるが、途中で観るのをやめることなんてできない。それが“人間”というものだ、と観続けた先にあるカタルシスを味わってほしい。

Netflix『デビルマン crybaby』

2、不器用すぎて実直に恋愛ができない大人子供の話『ラブ』

私が多分Netflixオリジナルドラマで一番好きなシリーズ『ラブ』。もう出てくるキャラが奇人変人不器用人のオンパレード!キラキラした人なんて全然でてこない。しかし、「あるある」「いるいる」と常に思わせる“リアルさ”が、このドラマで一番重要な点だ。

正直、恋愛は不器用だ。モテないし、好きな人ができてもどうしたら良いかわからない。そんな我々の代表者として二人の主人公が立ち上がり、恋に落ちる覚悟を決めてくれる。ミッキーはセックス/ドラッグ依存症で、自分に近づくものを意に反して滅茶苦茶にしがちなラジオ局に勤める女子。一方ガスは超非モテで、子役の先生をしながら脚本家になることを夢見るお人好し男子。時には子供っぽくて大人になりきれないこの正反対な二人が、不器用ながらも恋に向き合っていく。

このシリーズの何が良いって、泥臭い人間模様を描く天才のジャド・アパトー(『40歳の童貞男』、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』)が製作していることもあり、一貫して非常に現代的な恋愛について描かれていることだ。例えば、ミッキーとガスのiPhoneを通してのやりとりや、どちらかの友達が多いパーティに顔を出した時の疎外感とか。

名作の恋愛映画を観たって、実は何も参考にならない事に気付いてしまった。『プリティ・ウーマン』なんか、自分が最高に可愛い娼婦でリッチなリチャード・ギアを掴まなえなきゃ(その前に90年代に戻らなきゃ)意味がない。『メラニーは行く!』もそうだ、こういう映画で描かれていることは素敵だけど、実際は嘘だ!自分の恋愛はそんなに名作になりきらない。それを観て、恋の参考にするなんて難しい。

そんな風に思った人こそ、このドラマは指南役となり親友役となり参考になる(?)。

Netflix『ラブ』

3、名監督が手がける凄まじすぎるサスペンス『マインドハンター』

純粋に『セブン』とか『ゴーン・ガール』みたいなサスペンスを味わいたいのであれば、間違いなく『マインドハンター』を推したい。デヴィッド・フィンチャーが手がけているからと言えばそれまでだが、本シリーズほどイッキ観する価値がある作品はないかもしれない。

実在するFBI捜査官が著書の同名ベストセラーをドラマ化。1977年のペンシルベニアを舞台に物語は進んでいきます。主人公のフォードはFBIの若手捜査官であり犯人との交渉を専門とします。冒頭の立てこもり事件で、彼が交渉中に犯人が自殺をしてしまう。説得しきれなかった事を負い目に感じる彼は、その後上層部からFBI本部で教鞭を執ることを勧められますが、本当は現場にいたい。そんな矢先に同じ本部で講師をしていたラスマンに出会い、「殺人犯の動機を理解するのは不可能」という意見に触れる。

その後、社会学を専攻する大学院生のデビーとバーで出会い「社会の問題は犯罪として現れる」という新しい観点に触れ、そこから犯罪学に興味を持ったフォードはどんどん好奇心に突き動かされるままに進んでいき、闇に引き摺り込まれていく。

実はそこまで過激な描写もなく、グロ耐性がない人も割と観やすいシリーズ。逆に刺激が少なくて物足りないと思うかもしれないが、安心してほしい。ラストに、強烈な一発を喰らうことになるのだから。

Netflix『マインドハンター』

4、もう人生詰んだかもしれないコメディ『Sick Note ~診断書で人生復活?!~』

年末だし、2018年を振り返って自分のダメさ加減に辟易としたり、これからお先真っ暗だったりする人もいるかもしれない。しかし、このドラマの主人公も相当人生詰んでいる。

一話の冒頭から、会社には行かずに彼女の家でゲームをしていて、とにかく息をするように嘘をつくダメ男ダニエル。我慢ならなくなった彼女に別れを告げられ、アパートから追い出される。会社に行けば、同僚からは無視され、上司からはクビを宣告されそうになる。彼の救いようのなさが、ものの10分ほどで十二分に理解できるのがポイントだ。

しかし彼の最悪な一日はこれで終わる事はなく、健康診断の結果を取りに行けば食道癌と宣告された。まあ、間違いだったんだけど。

しかし、癌を患った事を知った途端、周りの人間が優しくしてくれる。彼女はヨリを戻して献身的に支えてくれるし、会社の人は声をかけてコーヒーを持ってきてくれる。クビになるどころか、勤めていた保険会社の広告モデルにまでになってしまう。まさに詰んだ人生が一枚の診断書によって復活したかのように思えた。

ヤブ医者が他の人の診断書を間違えて渡しただけで、ダニエルは食道癌ではなかったことが分かると、安堵したのも束の間。このダメ男はせっかく得た素敵な人生を失いたくないと、癌患者を偽り続けることにするのだ!もう本当終わってるよ!しかし、それは災難まみれな日々の始まりとなってしまう。彼の人生が詰むのは、“これから”だったのだ。

と、ホラードラマのように思えるが、一貫してイギリス特有のシニカルなコメディタッチで描かれている。そもそも題材が若干不謹慎なところも、またそうだ。俳優も「ハリポタ」シリーズのルパート・グリントが主人公を、『ショーン・オブ・ザ・デッド』から始まる「スリー・フレーバー・コルネット3部作」でお馴染みのニック・フロストがヤブ医者を演じる。

豪華俳優の出演以外にも、ちょうど良い塩梅のテンションで#2以降は20分程度と観やすい尺なのも、本シリーズの魅力だ。

Netflix『Sick Note ~診断書で人生復活?!~』

5、今あるものを全て壊して旅に出る『このサイテーな世界の終わり』

最後にご紹介するのは、一筋縄ではいかない青春ロードトリップものだ。主人公はサイコパスで、人を殺したいという気持ちが抑えられないジェームス。そんな彼が出会ったのは転校生の変わり者、アリッサ。彼女は何もかもをリセットしたがっていて、ジェームスを誘って家出を画策する。彼は彼女を殺したいがために一緒についていく。かくして、この奇妙な二人によるこの世界からの逃避行がはじまるのであった。

魅力といえば、何といってもこのパンチの効いた設定だろう。そして、いちばん感情移入しにくいサイコパスな彼の心情変化が、ドラマを通して描かれていることだ。

ジェームスは常にアリッサを殺すタイミングを見計らっているが、情緒不安定なアリッサはそんなことも知らずに、彼と一緒になって盗んだ車を燃やしたり、ペドフィリアの男からお金を奪って逃げたり、破天荒に旅を進めていく。
しかし、その過程でジェームスは、アリッサを守るために遂に人を殺してしまう。その時、彼が何を思うのか。

退廃的で虚ろでありながらも、実は新しい世界を目指して突き進む希望を感じさせる若者の切ない“もがき”が最高だ。

Netflix『このサイテーな世界の終わり』

いつも仕事で帰りが遅く、イッキ観なんて年末年始でないと到底できない。そんなあなたが、良い寝正月を過ごせますように。

文:アナイス

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