伝説の殺し屋がドラマで復活!『ジャッカルの日』エディ・レッドメインが語る「スイス時計みたいに緻密」な暗殺スキル
「ジャッカルはスイス時計のように緻密なキャラクター」
――あなたが演じるジャッカルはまた、妻と子供がいて家族をとても大切にしています。かなり複雑なキャラクターですが、あなたの目からみて、彼は本当に家族を愛しているのでしょうか。それは殺し屋にとって可能だと思いますか。
僕は彼が妻と子供を深く愛していると信じているよ。彼には反社会的とも言える何かがあって、僕はそこに魅力を感じた。彼は一匹狼で孤独な存在。長らくそれが自分の人生だと思っていた。でも、ある女性と出会って彼の気持ちが変わる。ただし彼のアキレス腱は、二つの異なる人生を両立させることができると思っていたこと。もちろん彼が家族を愛しているからといって、彼のおこないを正当化できるわけではないけれど。
僕は以前、『グッド・ナース』(2022年)という映画で実在のシリアルキラーを演じたことがあるけれど、あの作品ではなぜ彼があのような恐ろしい行動をとったのかは説明されていない。僕らはつねに人間として理由を探し、その心情を理解しようとするけれど、それは必ずしも理解できるものだと思わない。その人の資質、育ち、トラウマ、いろいろなものが混ざり合った曖昧な領域だ。ジャッカルも同じで、その曖昧さこそもっとも興味深いものだと思う。
『ジャッカルの日』©Carnival Film & Television Limited 2024.
――殺人鬼のような人物と、ふつうの人物を演じる場合、俳優としての心構えは異なりますか。
不思議なことに、あまり違いはないと思う。演技に関して奇妙なのは、演じている人物をジャッジしないこと。もっと瞬間瞬間、即興演奏をするようなところがある。僕は準備のプロセスが大好きで、自分のやり方は十分時間をかけて緻密に準備すること。とくにジャッカルはスイス時計のように緻密なキャラクターで、いつも細心の注意を払っているから、それらを考えるのは面白かった。でも最終的に撮影現場ではそういうことはあまり考えないし、パフォーマンスを面白くするのはカオスだと思う。まるで何かが計画通りに行かなかったとき、即興でそれに対処するジャッカルのようにね。
『ジャッカルの日』©Carnival Film & Television Limited 2024.
――準備に関して言えば、ジャッカルはまるで俳優のようにコロコロと違う人間になるゆえ、変装という点でも準備が大変だったのではないでしょうか。
たしかに撮影全体が、俳優のプレイグラウンドのように感じた。準備に関して、僕が初めてインスピレーションを得たのは、『マリリン 7日間の恋』(2011年)で、マリリン・モンローを演じたミシェル・ウィリアムズから。声音や動作など、あらゆるコーチに就きながら、彼女が徐々にマリリンになっていく様子に感嘆した。特に今回はメークアップ・アーティスト、衣装デザイナー、プロップ製作部などとのチームワークが不可欠だった。本作では、ジャッカルがマスクを被って徐々に変身していく過程を見せる場面もあるけれど、そこに彼のマニアックぶりを象徴させるというのもロナンの意図だった。
『ジャッカルの日』©Carnival Film & Television Limited 2024.
「僕の妻はすべての台本を読んでいる(笑)」
――本作の新しい要素として、彼を執拗に追う英国秘密情報部の捜査官ビアンカ(ラシャーナ・リンチ)の存在があります。宿敵が女性である点にも現代性を感じました。
それも僕がこの脚本に強く惹かれた要素だった。ラシャーナはビアンカのキャラクターを鮮烈にしてくれたね。ビアンカもジャッカルもお互い一歩も譲らないほどに粘り強く、高い技術を持ち、情熱的だ。でも最終的にそれが彼らに危険な倫理観をもたらしている。ふたりは似た者同士でありながら、その道は一方通行で、対決しか残されていない。
『ジャッカルの日』©Carnival Film & Television Limited 2024.
――ところで、あなたの奥様はあなたの台本に目を通していらっしゃると聞きました。ドラマシリーズのように長い期間でこれほど旅が多い企画の場合、ご家族への負担も大きいと思いますが、企画を受けるときに相談されたりするのですか。
お察しの通り、僕の妻はすべての台本を読んでいる(笑)。たしかにロンドンに家族を置いて、ヨーロッパを回りながら8ヶ月も滞在することは、僕にとって人生の大きな選択だ。でも妻も脚本をすごく面白がってくれて、僕の情熱を理解してくれた。
もちろん、なるべく家族に会えるように週末に帰ったり、ロケ地に来てもらったりと努力しているよ。妻の誕生日には、初めて子供たちと一緒に、ヴェネチアで過ごした。妻と娘はヴェネチアのブティックをまわって、僕と息子は広場にいて、息子はスポーツに夢中なので、広場でサッカーをしていた。ジャッカルからの飛躍が奇妙な感じだったけれど(笑)、とても美しい思い出になったね。
『ジャッカルの日』©Carnival Film & Television Limited 2024.
取材・文:佐藤久理子
ドラマ『ジャッカルの日』は2月22日(土)よりWOWOWで放送(全10話)
2月21日(金)よりWOWOWオンデマンドで1~3話先行配信
期間限定の第1話無料配信あり
放送情報:https://www.wowow.co.jp/detail/202770/
配信情報:https://wod.wowow.co.jp/program/202770
『ジャッカルの日』
超一流の殺し屋“ジャッカル”は、ミュンヘンで3815mもの遠距離にいるドイツの次期首相候補マンフレートを狙撃するという困難な暗殺を成功させる。そんなジャッカルに新たな依頼が届く。IT起業家UDCことウレ・ダグ・チャールズの暗殺だ。彼はあらゆる資金の流れを透明化する“リバー”というソフトウェアをリリースしようとし物議を呼んでいた。
一方、英国秘密情報部(MI6)の捜査官ビアンカは銃器に詳しく、ミュンヘンでの狙撃に使われた特注の高性能ライフルを手掛かりに犯人を追い始める。協力者から情報を得ようとするが、予想外の事態に陥り……。
企画:ロナン・ベネット
原案:フレデリック・フォーサイス
監督:ブライアン・カーク、アンソニー・フィリップソン、ポール・ウィルムスハースト、アヌ・メノン
出演:エディ・レッドメイン、ラシャーナ・リンチ、ウルスラ・コルベロ、エレノア・マツウラ ほか
| 制作年: | 2024 |
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2025年2月22日(土)よりWOWOWで放送(全10話)