伝説の殺し屋がドラマで復活!『ジャッカルの日』エディ・レッドメインが語る「スイス時計みたいに緻密」な暗殺スキル
あの『ジャッカルの日』がエディ・レッドメイン主演で蘇る
英作家フレデリック・フォーサイスのベストセラーにして、1973年にはフレッド・ジンネマン監督により映画化され世界的ヒットとなった『ジャッカルの日』が、新たにドラマシリーズとなって蘇った。ジャッカルに扮するのは、『博士と彼女のセオリー』や『ファンタスティック・ビースト』でお馴染みの演技派、エディ・レッドメインだ。
もっとも本作は、オリジナルと時代設定を変え、現代を舞台に、「IT企業の億万長者が世界のパワーバランスを揺るがす」という極めて今風のテーマを扱うとともに、プロの殺し屋として七変化を繰り返すジャッカルの、最新の特殊メーク技術を用いたみごとな変身ぶりが披露される。自身で製作総指揮も務めた渾身の本作について、レッドメインに訊いた。
『ジャッカルの日』©Carnival Film & Television Limited 2024.
「興味深いと思ったのは、道徳的な曖昧さ」
――フレデリック・フォーサイス原作の『ジャッカルの日』は以前にも映画化されていますが、まず本作に惹かれた理由を教えてください。
僕の仕事の選び方は、実を言うといつも直感的なものなんだ。でもエドワード・フォックスが演じた映画版『ジャッカルの日』(フレッド・ジンネマン監督/1973年)は父のお気に入りで、僕も子供の頃に彼の映画を観ていた。まだ子供だったにも拘らず、何か魅了されるものがあったのを覚えている。たぶん時代がかった感じが響いたのかもしれない。スパイ活動とか暗殺とか。あと綿密な計画や理論があって、それが展開されたときの一種のカタルシスみたいなものも感じた。
今回、最初の3話分の脚本が送られてきたのを読んでみて、とても新鮮で強い魅力を感じた。読む前は少し不安もあったよ。好きだったものを台無しにしたくなかったから。でも本シリーズは現代が舞台だったのと同時に、オリジナルのエッセンスもあるように感じられた。要は早く先が読みたいと、虜になったんだ。
『ジャッカルの日』©Carnival Film & Television Limited 2024.
――オリジナルを知っていたことは、この役を演じる上でインスピレーションになりましたか。
うん、というのもロナン・ベネット監督は、原作やジンネマン版に大きな愛と敬意を持っていたから。原作にとても忠実な引用もあるし、映画版のショットのレプリカのようなところもある。たとえば僕が個人的にも興味をそそられたのは、フォックスが映画のなかで木にロープをかけて結び目を作る場面。僕らも同じシーンを撮ったのだけど、このすごく簡単そうに見える行為が実際やってみるととても難しくて、そのために何ヶ月も練習しなければならなかった。それでフォックスの労力がすごくよく理解できたよ。
『ジャッカルの日』©Carnival Film & Television Limited 2024.
――一方、原作やジンネマン版は、ド・ゴール首相暗殺がテーマでしたが、現代が舞台の本作は、IT起業やマネーロンダリングの問題といった現代的なトピックです。だれが善で誰が悪か単純に割り切れない要素が強調されているように感じました。
オリジナルの映画と原作では、善と悪の二項対立があった。ド・ゴールが善であり、ジャッカルはカリスマ的だけど悪であるという。でもロナンが本作でやろうとしたことは、僕らが生きている現代の社会を反映したもので、世界がもはや二元的ではなくなり、すべてが一直線上にある。
僕が興味深いと思ったのは、その道徳的な曖昧さだ。そして本作に出てくるUDC(ウレ・ダグ・チャールズ)のような人物、ハイテク大富豪で彼が行使する権力とその政治的能力。政治家はこういった人々に操られ、もはや誰が本当の権力者であるかわからない。それは実際、現実の世界で起こっていることだ。
『ジャッカルの日』©Carnival Film & Television Limited 2024.
『ジャッカルの日』
超一流の殺し屋“ジャッカル”は、ミュンヘンで3815mもの遠距離にいるドイツの次期首相候補マンフレートを狙撃するという困難な暗殺を成功させる。そんなジャッカルに新たな依頼が届く。IT起業家UDCことウレ・ダグ・チャールズの暗殺だ。彼はあらゆる資金の流れを透明化する“リバー”というソフトウェアをリリースしようとし物議を呼んでいた。
一方、英国秘密情報部(MI6)の捜査官ビアンカは銃器に詳しく、ミュンヘンでの狙撃に使われた特注の高性能ライフルを手掛かりに犯人を追い始める。協力者から情報を得ようとするが、予想外の事態に陥り……。
企画:ロナン・ベネット
原案:フレデリック・フォーサイス
監督:ブライアン・カーク、アンソニー・フィリップソン、ポール・ウィルムスハースト、アヌ・メノン
出演:エディ・レッドメイン、ラシャーナ・リンチ、ウルスラ・コルベロ、エレノア・マツウラ ほか
制作年: | 2024 |
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2025年2月22日(土)よりWOWOWで放送(全10話)