愛おしさ倍増! 宿命を背負ったロボわんこ映画2選 『A-X-L/アクセル』と『新造人間キャシャーン』

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ライター:藤津亮太
愛おしさ倍増! 宿命を背負ったロボわんこ映画2選 『A-X-L/アクセル』と『新造人間キャシャーン』
『新造人間キャシャーン』Blu-ray BOX 発売中 ¥15,000(本体)+税 発売・販売元:ポニーキャニオン ©タツノコプロ / 『A-X-L アクセル』DVD販売:アメイジングD.C. 価格:3,800円+税 ©2018 LAKESHORE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS LLC AND OPEN ROAD FILMS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

“2大かわいい”存在=ロボット×犬を描いた2作
【アッチ(実写)もコッチ(アニメ)も】

イヌはかわいい。これはいうまでもないことだ。しっぽを振って一心不乱に主を慕うあの姿は「純粋」のひとことでは足りないほどだ。

一方、映画に出てくるロボットの中にも「かわいい属」とでもいうべき一群の存在がいる。例えば『ショート・サーキット』(1986年)のナンバーファイブや、『スター・ウォーズ』シリーズ(1977年~)のR2-D2やBB-8、『ウォーリー』(2008年)のウォーリー。『ベイマックス』(2014年)のベイマックスもここに入るだろう。彼らは基本的に真面目で一生懸命。そこに「かわいさ」が宿っている。

この2つの「かわいい」要素を考えた時、映画やアニメに出てくる「ロボット犬」がかわいいのは、至極当然のことであるという結論が見えてくる。

『新造人間キャシャーン』©タツノコプロ

最新兵器の軍用犬ロボがある青年と出会って犬=友達となる『A-X-L/アクセル』

映画『A-X-L/アクセル』(2017年)には、軍が極秘に開発した兵士サポート用のロボット犬が登場する。このロボット犬の名前がA-X-L(アクセル)だ。この名前は攻撃(Atack)、探索(Exploration)、兵站(Logistics)からつけられたという設定になっている。A-X-Lは、犬といっても大型肉食獣並のサイズがあり、口には牙と何でも砕くドリルがあり、脇にはジャンプ用のジェットがついている。さらに周辺のコンピューター・電子機器を自由にハッキングする能力も持っている。

『A-X-L アクセル』
DVD販売:アメイジングD.C.
価格:3,800円+税
©2018 LAKESHORE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS LLC AND OPEN ROAD FILMS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

このA-X-Lが、実験中の誤動作で脱走するところから物語は始まる。脱走したA-X-Lが出会ったのは、オフロードバイクのレースに熱中する青年マイルズ。A-X-Lの異様な姿に驚くマイルズだが、自分を追いかけてきたA-X-Lの体に鉄パイプが刺さって動けなくなったのを見て助けてあげる。これが2人の絆の始まりだった。物語はこの後、ヒロインとの秘密の共有、ライバルの妨害、軍の手が伸び……と定番通りに展開をしていくが、本作の一番の見所はその前にある。

『A-X-L アクセル』©2018 LAKESHORE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS LLC AND OPEN ROAD FILMS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

A-X-Lが遊びたがっていることを知ったマイルズは、自分のバイクで一緒に追いかけっこをはじめる。廃棄されたコンテナなどが点在する中をマイルズが自在に走り抜ければ、A-X-Lはコンテナに飛び乗ったり、大きくジャンプしたりと、さも楽しそうに走り回る。一緒に遊ぶことで生まれる人とロボット犬のコミュニケーション。これはまさに「ロボット犬」の魅力が際立つシーンだった。

『A-X-L アクセル』©2018 LAKESHORE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS LLC AND OPEN ROAD FILMS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

中盤以降も、こんなふうにA-X-Lのかわいげのあるシーンがあるともっと楽しかったのでは……という本作だが、このシーンを見れば脚本・監督のオリヴァー・デイリーが本作で何を描きたかったかは十分伝わってくる。ここでA-X-Lは、主人を得たことで、兵器から“犬”として生まれ直したのだ。

ロボットになっても犬だった頃を忘れていない『新造人間キャシャーン』のフレンダー

一方、『新造人間キャシャーン』に登場するロボット犬はフレンダーという名前だ。キャシャーンは、もともと東鉄也という人間だった。鉄也は、戦闘ロボット集団アンドロ軍団の世界征服を阻止するため、人間に戻れないことを知りながら機械の体である新造人間キャシャーンとなることを選んだ。

『新造人間キャシャーン』©タツノコプロ

フレンダーは、このキャシャーンの戦いをサポートするロボット犬だ。フレンダーももともとは鉄也のペット、ラッキーだった。だがラッキーがアンドロ軍団のために命を落としてしまう。そこで鉄也の父・東博士が、ラッキーの記憶を継承した電子頭脳をもとに、ロボット犬フレンダーを完成させたのだ。

『新造人間キャシャーン』
Blu-ray BOX 発売中
¥15,000(本体)+税
発売・販売元:ポニーキャニオン
©タツノコプロ

フレンダーは戦闘ロボットを破壊できる牙と爪を持ち、口から火炎を噴射することができる。さらにキャシャーンの指令により、フレンダー・ジェット、フレンダー・カー、フレンダー・タンク、フレンダー・マリンに変形することもでき、陸海空でキャシャーンの活躍をサポートするのである。

『新造人間キャシャーン』©タツノコプロ

フレンダーの一番の魅力は、なんといっても遠吠えだ。キャシャーンが声をかけた時、変身する時、折に触れてフレンダーは、柔らかいその声を響かせる。エコーのかかったその遠吠えはやや哀感を帯びつつも、戦いに向かう決意をはっきりと感じさせる。

A-X-Lが主と出会って兵器から“犬”になった存在であるのに対し、フレンダーはロボットになっても“犬”であったことを忘れていない存在なのだ。遠吠えはその象徴だ。

ロボット犬。どちらも戦いのために作られたという“宿命”を背負っている。思えばボストン・ダイナミクスが2005年に発表したロボット犬・ビッグドッグも、歩兵に随伴して物資を運搬することが目的だった。そういう意味では、戦うために作られたA-X-Lもフレンダーも、未来兵器としては案外“リアル”な存在なのかもしれない。でも、だからこそA-X-Lやフレンダーが、兵器である以上に“犬”であるように描かれていたことを忘れてはいけないような気がするのだ。

『A-X-L アクセル』©2018 LAKESHORE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS LLC AND OPEN ROAD FILMS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

文:藤津亮太

『A-X-L/アクセル』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで9月放送
『新造人間キャシャーン』はHuluほか配信中

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