“丹波哲郎”がつなぐ意外な2作『007は二度死ぬ』と『映画クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦』

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ライター:藤津亮太
“丹波哲郎”がつなぐ意外な2作『007は二度死ぬ』と『映画クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦』
『映画 クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦』
<同時収録>クレしんパラダイス!メイド・イン・埼玉
価格:¥1,800+税
発売元:シンエイ動画
販売元:バンダイナムコアーツ

『007』日本代表“タイガー田中”が『クレしん』で結実!?
【アッチ(実写)もコッチ(アニメ)も】

丹波哲郎という人はとてもスケールが大きい俳優で、一昔前の言い回しでいうならば“日本人離れした”というか“バタ臭い”というか、そういった形容がとても似合う。『日本沈没』(1973年)の山本総理がはまり役として知られるのも、そのスケールの大きさが、日本沈没という重大事を受け止めるのにふさわしかったからだ。

『007は二度死ぬ』(1967年)は『007』シリーズの第5作。宇宙船が謎の飛行物体に捉えられるという事件を追って、ショーン・コネリー扮するジェームズ・ボンドが日本を訪れるという内容だ。この時、ボンドを受け入れる日本側の組織のトップが、タイガー田中というキャラクターで、これを演じているのが四十代半ばの丹波哲郎である。

いつも余裕の笑みを浮かべ、ボンドと堂々と渡り合ってさまになっているのはさすが丹波哲郎。さらにはボンドを誘って温泉に入り、裸の付き合いをしたりもする(周囲にビキニ姿で洗い係の女性をはべらせいるあたりがいかにも1960年代のアジア感、女性感ではあるが……)。ここでも丹波哲郎のバタ臭いスケールの大きさが、胸毛モジャモジャのボンドの隣にあって、妙にマッチしているのであった。

丹波哲郎は後に、このタイガー田中を意識してドラマ『Gメン’75』(1975~1982年)の黒木警視を演じたという。『Gメン’75』は大ヒットドラマで、これもまた丹波の代表作である。

「丹波と風呂」の物語がまさかの映画『クレしん』で繋がった!

一方、実は『映画クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦』(1999年)もまた、極めて丹波哲郎成分の高い作品なのだ。本作は映画『クレヨンしんちゃん』の第7作目で、日本の温泉を守る「温泉Gメン」と、風呂嫌いのテロ集団「YUZAME」の戦いに、しんちゃんほか野原一家が巻き込まれる、という内容である。

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まず、この「温泉Gメン」のトップである草津が超優秀で豪放な性格かつ、ちょいちょいエッチなことを言うのが、世間的な丹波哲郎のイメージに沿った造形だ。というか草津は初登場の時点で名前を聞かれて(冗談で)「丹波哲郎です」と名乗るのである。これは、あからさまに寄せているキャラクターで、演じた小川真司も、そこは多少意識していたと思う。

さらに、本作は「丹波哲郎っぽいキャラクター」が出てくるだけではない。丹波哲郎本人も「丹波」という役で登場しているのである。冒頭から謎の人物として登場する「丹波」だが、その正体はなんと“温泉の精”なのである。“精”とは、丹波哲郎の無駄に大きすぎるスケールの使い方としてはとても正しくて、その点で、有名俳優がゲスト的にアニメに出るものとは一線を画している。これは確かに丹波哲郎にしか演じられない役柄なのである。

丹波という名前に「ふざけないで!」と言われても、「本当だからしかたがない」と応えるその説得力。そしてあの独特の台詞回しで飄々と、伝説のパワーを秘めた“金の魂の湯”の力を語るのであった。

そしてこの「丹波」、「俺はジェームズ・ボンドと一緒に風呂に入ったことがある」と呵々大笑するのである。30年余りの時を越えて、丹波哲郎と風呂の物語はここに繋がるのであった。

文:藤津亮太

『映画クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦』はAmazon Prime Videoほか配信中

『007は二度死ぬ』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年8月ほか放送

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