『007』と『ルパン三世』 シリーズ継続に欠かせないそれぞれの“変化”を考察する!

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ライター:藤津亮太
『007』と『ルパン三世』 シリーズ継続に欠かせないそれぞれの“変化”を考察する!
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『ルパン三世 ルパンVS複製人間』編集部私物

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『007』シリーズと『ルパン三世』の“関係”について教えてくれたのは、ライター業の大先輩である中島紳介の原稿だった。中島は『ルパン三世』(第1シリーズ)の魅力を、時代の変化と絡めて“大人向け”というキーワードに集約した上で、こう記す。少し長いが引用してみよう。

そうやって考えてくると、ここでいうオトナとは実は《若者たち》のことだったことに改めて気づく。車や銃に対するフェティシズム、美女とファッションの誘惑、犯罪的冒険への憧れ、男同士の潔い友情、ギャンブルやゲームがもたらす快感――等々、旧ルパンだけでなくシリーズ全体を彩る魅力のすべてが、大人になろうと背伸びしている若者世代特有の興味の対象であり、彼らの文化を支える大きな要素となっていることは言うまでもないだろう。モンキー・パンチの原作も含めて、そもそもの誕生から『ルパン三世』が娯楽映画の王者『007』シリーズ(1962年~)を意識し、それに対抗するかたちで作られているのは明らかだが、それも若者、大人というキーワードから見れば十分に納得できる。

かつて多くの日本人、特に男性にとって『007』=ジェームズ・ボンドこそは余裕のあるオトナの男の代名詞だったわけで、そのイギリスふうディレッタンティズムの持つ知的遊戯性、すなわち“アダルトな子供っぽさ”こそが日本人に最も欠けているメンタリティなのだ。そして、小説や映像の分野を問わず多くのクリエイターがそこから大きな刺激を受けたことは、60年代後半にそのテの亜流作品が大挙して生み出されていることからも伺える。

※キネマ旬報社「THE ルパン三世FILES ルパン三世全記録~増補改訂版~」所収「ルパンはどこから来て、どこへ行くのか?」より。

――とても端的に『007』シリーズと『ルパン三世』の魅力を言い表している一文だ。これを読むと、現在も継続中のこの2つのシリーズだが、人気のポイントはその初期から大きく変わっていないのだということに気付かされる。とはいえ、だ。半世紀を越えてシリーズを継続していくには、時代に併せて変化していく必要もある。

キャスト交代でシリーズを継続する『007』と“参照先”を変えてきた『ルパン三世』

『007』シリーズは、それを主演俳優の交代という形で実現してきた。ショーン・コネリーからロジャー・ムーアへの交代、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナンを経ての、ダニエル・クレイグ。「セクシーな男性とはどのような存在か」「時代に合ったリアリティはどのあたりか」。登場するハイテクガジェットが進化するだけではなく、むしろそういったポイントを、主演俳優のキャスティングの段階でチューニングしていくことで『007』シリーズは継続してきたのだ。

一方、『ルパン三世』もキャストの交代はあったが、それは残念ながら、ルパン三世というキャラクターを確立した山田康雄の死去という悲しい出来事であった。だから、それによってルパン三世というキャラクターの表現は変わることはなかった。山田の後を継いだ栗田貫一が、インタビューのたびに「自分は常に山田の演技を念頭においてアフレコしている」と語る通りである。

そのかわり『ルパン三世』は“参照先”を変えたのだ。1980年代以降の『ルパン三世』は、『007』シリーズのDNAを色濃く受け継いでいる『インディ・ジョーンズ』シリーズ(1981年~)からの影響が感じられる。その結果、先行して『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)があったとはいえ、次第にルパンが狙う“お宝”として「古代の秘宝」が定番の1つとなっていった。そしてさらに時間が経過し、そこからも変化して、ITも含めた現代性を加えようとしたTVシリーズが、2015年の『ルパン三世(PART IV)』、2018年の『ルパン三世 PART5』だった。

『007』シリーズも『ルパン三世』も、時代に合わせて少しずつ変化をしながらずっと継続していくだろう。そんな変化を見届けるつもりで見るのも、長寿シリーズの楽しみではある。

文:藤津亮太

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